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林野庁

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コスト1 / 2を目指した誘導伐システム(帯状伐採による複層林施業)の開発

キーワード:車両系システム、地拵え、下刈り、植付、低コスト、品種、伐採幅、スギ

1 開発目的

複層林への誘導に向けて、1.生産コスト、2.更新コスト、3.保育コストの低減に取り組む。

2 成果の概要

  • 生産コストは、グラップル等の車両系システムの活用で平均の生産性は5.1m3/人日となり、架線集材の場合の2~3m3/人日と比較し約2倍となった。(写真1)
  • 更新コストは、地拵えは坪刈りにより地拵え面積を小さくすることで、従来の枝条存置型と比較すると約50%のコスト削減となった。また、植付は従来3,000本/haを1,500本/haの低密度植栽としたことから、約50%のコスト削減となった。
  • 保育コストについては、植栽した次年度は伐採・搬出後まもなくのため、下層植生が少ないことから下刈りが省略できた。
  • 品種・系統及び伐採幅の違いによる成長への影響を調査したところ、耐陰性スギが普通スギよりも肥大・上長成長ともに優れ、伐採幅については20m幅伐採区が10m幅伐採区よりも成長が優れたものとなった。(図1)
車両系システムによる作業

写真1 車両系システムによる作業

品種・系統及び伐採幅別成長量

図1 品種・系統及び伐採幅別成長量

普通10m:10m幅伐採区における普通スギ、耐陰性10m:10m幅伐採区における耐陰性スギ、普通20m:20m幅伐採区における普通スギ、耐陰性20m:20m幅伐採区における耐陰性スギ

3 成果の詳細

  • 伐倒は、チェーンソーを用いて2人作業により実施した。集材・造材・運搬は、グラップル、スイングヤーダ、プロセッサ、フォワーダを使用。当システムでの生産性は、スイングヤーダで集材したプロットで5.91m3/人日、グラップルで集材したプロットで4.92m3/人日となり、平均で5.10m3/人日となった。当時の従来型架線作業の生産性2~3m3/人日と比較し約2倍となったが、路網密度(235m/ha)の影響も大きいと考えられる。(写真1)
  • 地拵えは坪刈りで実施し作業功程は5.7人/haとなったが、従来の枝条存置の10.8人/haと比較すると47%のコスト削減となった。但し、伐採・搬出後早期に地拵えを実施したこと、林地残材が少なかったことが影響していると考えられた。(図2)
  • 植付は従来3,000本/haであったところ、1,500本/haの低密度植栽を実施したことで約50%のコスト削減。作業功程(能率)は14.3人/haで標準功程(17.5人/ha)と比べると約18%のコスト削減となった。(図2)
  • 下刈りについては、植栽した次年度は伐採・搬出後まもなくのため、下層植生が少ないことから省略できた。その後坪刈りを実施したが、坪刈り箇所以外から灌木の繁茂が著しくなり、下刈りは坪刈りから全刈りに変更した。(図2)
  • 品種・系統及び伐採幅の違いによる成長への影響を調査したところ、品種等については、耐陰性スギ(県諫早1号、県大分5号、日向署2号、県姶良20号等など8系統)が普通スギ(アヤ、オビ、メアサ、釈迦院の4系統)よりも肥大・上長成長ともに優れ、伐採幅については、20m幅伐採区は10m幅伐採区よりも成長が優れたものとなった。(図1)
試験結果を踏まえた生産から造林のトータルコストの整理(造林コストの比較)

図2 試験結果を踏まえた生産から造林のトータルコストの整理(造林コストの比較)

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:九州森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所九州支所、林木育種センター九州育種場、宮崎大学農学部
  • 実施箇所:青井岳国有林1099ろ19林小班(宮崎県都城市)
  • 開発期間:平成19年度~平成28年度
  • お問合せ先:九州森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0985-82-2211)

5 参考情報

印刷版(PDF : 749KB)

[九州森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告2(PDF : 3178KB)
完了報告(PDF : 529KB)

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