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林野庁

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主伐と植栽の一括発注による低コスト造林の基本モデルの開発

キーワード:一貫作業システム、低コスト、機械地拵え、全木集材

1 開発目的

主伐と植付を請負事業体に一括発注し、林業機械を活用した地拵えや再造林コストの低減により、造林の低コスト化を図る。

2 成果の概要

  • 全木集材を徹底すれば、地拵えを行わなくても、コンテナ苗であれば十分な植栽功程(能率)を確保できる。
  • 全木集材を行うに当たって、1.極力、作業道まで木寄せを行うことで林内に植栽に支障となる物は残さない、2.造材は作業道で行い、枝条は作業道周辺に集積する、3.収穫対象の立木は伐採を徹底し、林内を植栽可能な状態にする必要がある。
  • これらにより、一貫作業システムを導入することが可能である。
作業道に全木集材し、枝払い、造材1作業道に全木集材し、枝払い、造材

写真1 作業道に全木集材し、枝払い、造材

全木集材の徹底等による、林内の地拵え対象物の状況

写真2 全木集材の徹底等による、林内の地拵え対象物の状況

3 成果の詳細

  • 機械地拵え(筋置)は人力地拵えより功程(効率)が50%高く、コンテナ苗植栽は裸苗植栽に比べ22%高くなった。しかし、機械使用のコストが増えるため、費用の軽減は少額であった。
  • 全木集材により可能な限り枝条を林内から運び出し、造林工程では極力地拵えを行わず、コンテナ苗植栽を行ったところ、313本/人日となり、普通苗の標準功程179本/人日の175%を示した。また、造林事業の直接事業費が約20万円削減された。
  • 全木集材に加え、「林内の不用木の除去」(全木集材しても林内に残る植栽支障木の除去)あるいは「伐後の刈払い」(伐採後に植栽支障になる植生等を刈払い)を行うことで、通常の地拵え後の植栽功程(平成26年由利森林管理署実績約290本/人日)と遜色なく、コンテナ苗が有利な植栽功程で植栽できると考えられる。(表1)
  • 秋植えのコンテナ苗の枯死率(雪解け後)は3%(活着率97%)に留まった。
  • 全木集材の上、林内不用木の除去と伐採後刈払いを行った箇所(タイプA)と林内不用木の除去のみを行い植生が多くなった箇所(タイプB(植生多))でのコンテナ苗の成長を比較したところ、樹高の伸びは後者が前者よりも高かったが、根元径の増加分は前者のほうが大きかった。前者は競合植生が少ないために肥大成長が活発で、後者が植生被圧のより、上長成長が活発となったと考えられる。(表2)
  • 全木集材を徹底しても灌木等が多く残っている箇所については下刈りが必要となる。
  • 林内の不用木の除去には、1.全木集材の徹底のため、極力、作業道まで木寄を行うことで林内に植栽に支障となる物は残さない、2.造材は作業道で行い、枝条は作業道周辺に集積する、3.収穫対象の立木は伐採を徹底し、林内を植栽可能な状態にする必要がある。

表1 作業タイプ別の植付功程比較

作業タイプ別の植付功程比較

作業タイプの区分は、A(「林内の不用木の除去」と「伐後の刈払い」を実施)B(「林内の不用木の除去」のみを実施)、C(「伐後の刈払い」のみを実施)、D(両方とも実施せず。)

表2 作業タイプ別のコンテナ苗の成長状況

作業タイプ別のコンテナ苗の成長状況

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:東北森林管理局 森林整備課、技術普及課
  • 共同研究機関:森林総合研究所東北支所
  • 実施箇所:金木支署353林班い1小班(青森県北津軽郡)、湯沢支署20林班そ小班(秋田県湯沢市)、山形署68林班ち小班(山形県西村山郡)、ほか5個所
  • 開発期間:平成25年度~平成28年度
  • お問合せ先:東北森林管理局 技術普及課、ダイヤルイン(018-836-2023)

5 参考情報

印刷版(PDF : 1,625KB)

[東北森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告(PDF:3959KB)中間報告(H25)(PDF : 366KB)

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