五稜郭保安林におけるアメリカシロヒトリ防除に向けたこも巻きの実施
【檜山森林管理署】
函館市街地に位置する檜山森林管理署五稜郭保安林では令和3年度から外来種の昆虫であるアメリカシロヒトリ(鱗翅目)が大発生しています。
特に夏季に幼虫が国有林から逸脱し、近隣の住宅や店舗などに侵入してしまい、たびたび苦情や問い合わせが当署に寄せられていました。
これまで当署では植栽されているヤチダモの枝打ちや職員実動による駆除などを行っていましたが、目に見えるほどの効果はなく対応に苦慮していました。
そこで今回は、函館市内で街路樹のアメリカシロヒトリの防除の研究を行っている三上修教授(北海道教育大学函館分校)によって、アメリカシロヒトリの捕獲に効果のあった「こも巻き」による防除を五稜郭保安林で試行してみることにしました。
こも巻きとは造園などで植えられているマツに対し、同じ鱗翅目の害虫であるマツカレハを防除する目的で行われていた江戸時代から続けられてきた日本の伝統的な防除法です。
幼虫が越冬のために隙間に潜り込む習性を利用し、幼虫の活動期に幹の外周にワラで作られたこもを巻き、蛹(さなぎ)が羽化する春より前に蛹がついたこもを幹から外し、マツから害虫を除去することで防除されるとされていました。
こも巻きの設置は2023年8月30日に行いました。
こも巻きを設置しようと林内に入るとすでにアメリカシロヒトリの幼虫が大発生しており、予想以上の密度に驚きました。
ヤチダモの葉につくられたアメリカシロヒトリの幼虫の巣(拡大写真あります)
順次こも巻きを設置していきますが、その際にも服のあちこちにアメリカシロヒトリの幼虫がまとわりつきながらの作業となり、暑さも相まってかなり大変な作業となりました。
こもを巻いている様子
1時間半ほどかけて準備していたこもをすべて設置を完了することができました。
こも巻きの設置が完了した様子
こも巻きの回収は12月26日に行われました。
早速回収にとりかかると、こもと樹皮の間にアメリカシロヒトリの蛹がいくつも現れました。
特にこもと樹皮が密着していた部分には多くの蛹が潜り込んでいました。
こもを撤去する様子
画像中央付近の黒い楕円状のものがアメリカシロヒトリの蛹(拡大写真あります)
こも巻きによる効果は、越冬中のアメリカシロヒトリの個体数を減らすことで世代が更新する夏季の個体数の減少を期待するものです。
今後もアメリカシロヒトリの発生がどうなるか注視していきたいと思います。
(上の国森林事務所 佐藤)
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