知内町の製材工場を見学 ~広葉樹材の需要について~
【檜山森林管理署】
当署では地域課題の掘り起こしやニーズの把握に力を入れており、若手職員の技術力向上も兼ねて令和5年8月1日(火曜日)に地元の木材工場である株式会社 湯の里木材工業所と株式会社 斉藤製作所北海道を見学させていただきました。どちらの会社も広葉樹をメインで活用し自社製品を作っているのが特徴です。
当署から8名の職員が参加し、広葉樹材の市況状況や加工方法を学びました。
最初に見学させてもらった株式会社 湯の里木材工業所の様子。快晴の上に工場内の熱気もあり、とても暑い中ご説明いただきました。
まず目に入ったのが、仕入れた丸太にスプリンクラーで水をかけている様子でした。変色を遅らせるためと防虫のために行うそうです。水が冷たければ冷たいほど効果があり、こちらでは近くの山から流れてくる冷たい水を利用して丸太を長持ちさせているとの説明がありました。株式会社 湯の里木材工業所の代表である奥山さんによると、ブナについては主にヨーロッパから買い付けており、その他の広葉樹については北海道内の銘木市等から買い付けているそうです。
12月~5月位までに丸太を仕入れた後、4月~11月頃まで水をまきます。
次に丸太を茹でる工程を見学しました。工場敷地に入った時から牧草の発酵したような香りが漂っていたのですが、なんと原因は丸太を煮沸した際に発生する匂いでした。それも樹種によって匂いが違うそうです。
「機械の中にどの樹種が入っているか分からなくなっても匂いで判別できるので大丈夫。メジロカバか否かについても匂いで分かる。」とのお話もありました。料理のようで面白い工程でした。
丸太を茹でることで、材の色味も良くなり樹皮を綺麗に剥くことができます。
樹皮を剥いだ後、大根のかつらむきのように薄く削っていきます。見学日は厚み1.2mmの単板を製造していました。
仕上がりの判断は機械に任せることが出来ないため、やはり最後は人の目で選別します。
この薄く削りとった材の厚みは主に1.0mm、1.2mm、1.5mmとなっており、2~3mm程の厚さの単板もあるそうです。これを何枚も重ね合わせ、強度をあげながら曲げ加工等を施し色々な製品を作っていきます。
斉藤製作所北海道の工場の様子です。
加工し塗装まで施すと、とても素敵な商品になりました。知内町のふるさと納税返礼品になっています。
製品を作る上で、ブナは堅すぎず柔らかすぎず丁度良い特徴を持っているそうです。しかし、国産のブナが手に入らないためドイツ等から輸入した材を使うしかないのが現状であり、その外国材も地球温暖化による天候悪化や虫による食害増加により供給が不安定になっています。
今回の見学では国産のブナに需要があることが分かり、こういった現場の声を聞き取りながら国有林の施業を計画していきたいと考えています。
お忙しい中見学を受け入れてくださった株式会社 湯の里木材工業所の皆様、株式会社 斉藤製作所北海道の皆様ありがとうございました。
(事務管理官 長岡)