このページの本文へ移動

北海道森林管理局

    文字サイズ
    標準
    大きく
    メニュー

     各地からの便り

    しらおい環境セミナー講演

    【日高南部森林管理署】


    白老町と白老環境町民会議主催の「しらおい環境セミナー」が令和3年11月27日(土曜日)、白老町総合保健福祉センターにおいて開催され、当署えりも治山事業所の島下治山技術官とひだか南森林組合の飯田英雄氏により、「「夢は砂漠化しない」~えりも岬緑化事業68年の歴史 豊かな森、海に~」という演目で、えりも岬の緑化事業について講演を行いました。

    今回の講演は、主催である白老環境町民会議の中野会長が北海道新聞に掲載された「えりも岬の緑化事業」の記事に深く感銘し講演依頼があったものです。

    冒頭、中野会長より「白老町環境町民会議は、創設より地球温暖化や身近な自然環境の保全等の活動をしている。自然環境の保全については「えりも国有林の緑化事業」に学ぶことが多いと思うので、ぜひ学んで帰ってほしい」と挨拶がありました。

    講演会
    講演会

    当日は約50名の参加者がおり、昭和28年より行っている、えりも国有林緑化事業について当署島下治山技術官がこれまでの緑化事業等についてスライドやDVDにより話を進め、合間合間にひだか南森林組合の飯田英雄氏が当時の生活状況や緑化事業の苦労話について説明を加えるという方式で講演が進みました。

    島下治山技術官からは、えりも岬は開拓以来、燃料としての樹木の伐採やイナゴの大群による地表植生の食べ荒らし、家畜の放牧など様々な要因により昭和の初め頃より砂漠化が進み砂塵が吹き荒れる状況となり、風速10メートル以上の風が年間250日以上も吹くといわれる、えりも岬の生活環境は大変過酷なものであったこと、

    砂漠化したえりも岬を代表する写真
    砂漠化したえりも岬を代表する写真

    草や木もなにも生えていないはげ山の様子
    草や木もなにも生えていないはげ山の様子

    昭和28年に浦河営林署治山事業所が開設され緑化事業が始まり、昭和32年には、飛砂と乾燥防止を目的として、海岸に打ち上げられる「ゴタ」(雑海藻)を敷き詰める「えりも式緑化工法」が開発され、草本緑化が飛躍的に進んだこと、

    えりも式緑化工法 ゴタ播きの様子の写真
    えりも式緑化工法 ゴタ播きの様子の写真

    草本緑化・木本緑化が進み、えりも岬の生活環境は飛躍的に改善され、魚が戻り、昭和45年頃から魚介類の水揚げ高が急速に伸びていったこと、現在に至るまで植樹が続けられ砂漠化していた区域はすべて植樹が終了し、順調に樹木は成長を続けていることなどの説明がありました。

    飯田氏からは島下治山技術官からの質問に応答する形で、幼い頃のえりも砂漠の話や、強風のため砂漠の砂が舞い、海を濁して魚介類や昆布に与えていた状況、緑化作業に携わっての苦労、未来への希望など多岐にわたるお話をしていただきました。

    なお、飯田氏はえりも岬生まれのえりも岬育ちで昆布漁師と森林組合の兼業で働いており、故人であるお父様(常雄氏)はNHKのプロジェクトXでも取り上げられた方で、えりも岬の緑化事業に尽力を注がれた方です。
    現在では、ご子息含め親子3代でえりも岬の緑化事業にご協力いただいています。

    講演の中で飯田氏より「山が荒れたら海が荒れる。山が豊かになれば海が豊かになる」とのお話がありました。
    この言葉は、森林を管理する人間として働いていく上で、「えりも」だけでなくどこの場所にいても大切な教訓になると思いました。

    参加者の方々より「樹木を植樹するうえで様々な試験を行ったとあるが、具体的にどのような試験内容であったのか」などの質疑応答があった後、最後は盛大な拍手の下、2時間にも及ぶ講演が終了しました。

    (西舎森林事務所 村田) 

    お問合せ先

    総務企画部企画課
    ダイヤルイン:050-3160-6271

    PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
    Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

    Get Adobe Reader