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北大雨龍研究林及び幌加内町との相互交流見学会を開催
【空知森林管理署 北空知支署】
令和3年10月29日(金曜日)、空知森林管理署北空知支署管内470林班において、相互交流見学会が開催されました。 この見学会は、北海道大学雨竜研究林(以下「研究林」)・幌加内町・当支署が幌加内地域の森林施業における課題を共有し、その解決に向け知見を交換することを目的とし、毎年、研究林・国有林で相互に開催しています。
先週10月22日(研究林開催)に続き、今回は国有林で開催、研究林から吉田教授をはじめ14名、幌加内町2名、国有林13名、見学会箇所で事業を実行している事業体(株式会社 旭友興林)4名の参加により開催しました。
当日は、今年度実行した全面表土戻し箇所を見学しました。 まず、担当者より、事業の目的、作業内容、問題点・課題・工夫などについて説明がありました。
 現地説明
事業の目的として、全面での表土戻しにより、ササの回復の鈍化を目指し、カンバ類の更新を促しました。 また、カンバ類の除伐など保育作業を含めた作業計画を検討し、天然力を活用した植付・下刈作業の省略による低コスト化などについて説明しました。 作業内容は、地拵をグラップル(ザウルスロボ)により行い、ア.深さ40センチメートルで掘削しササの根茎を切断、イ.表土とササを戻す、ウ.後退しながらア・イを繰り返し行う。
工夫した点としては、通常の大型機械地拵よりも深めに掘削し、ササの根茎を確実に切断するよう実施し、植付はコンテナ苗(クリーンラーチ)を500本/ヘクタール(苗間4.6メートル・列間4メートル)で実施し、表土戻しの実施にあたり、通常の大型機械地拵とのヘクタールあたりの所用人工数については、ほぼ同様で差はありませんでした。
 全面表土戻し地拵実施状況
問題点・課題として、ア、表土戻しは、ササの地上部や根茎が残り不整地のため、植付には不向きではあるが、現状は更新補助として植付を実施している。 また、天然更新が確実に見込めると判断できれば、無植栽で実施していくことを検討し、イ、全面表土戻しにより、ササの回復は鈍化すると予測されるが、草本の回復が懸念されるなど説明しました。
担当者の説明後、作業を実行した事業体より、ア、全面での施工は枝条を集めるのが大変で、伐区内に集積させたいが、場所の判断が難しい。イ、ササや枯損木を除けるのが大変だった。ウ、植付のことを考えながら作業を行ったが、もっとほぐした方が良かったのか。エ、植付の際に縦横両方を計測するのが難しいなど、作業を実施した際のコメントを受けました。
その後、現地を確認しながら意見交換を行い、参加者からは「表土を掻き起こす際に、もう少し強く荒めに行った方が良かったのではないか」「クリーンラーチは成長が早いので、カンバ類との競争としては良い」「現在、表土はデコボコとしているが、冬を越すと積雪によりある程度は均される」「表土がデコボコしている方が保水的にも霜害的にも良い」との意見がありました。
 現地で意見交換
現地見学の際に、事業体よりコンテナ苗の説明や、コンテナ苗植栽器具の「スペード」「ディプル」「プランディングチューブ」の植栽方法などについて説明がありました。
 植栽器具の説明
 コンテナ苗の説明
今後は、植生(植生高・被度など)や植栽木の成長量(樹高・根元径)、天然更新状況などについて追跡調査を行うこととしています。 先週開催された研究林、今回の国有林の取り組みでは、共に天然更新を阻害するササをどのように処理し、更新木の成長を促すのかが課題となっています。
最後に、このような見学会の場を通じ、幌加内地域の森林施業における課題を共有し、有効な天然更新や保育作業の確立に向けて情報や知見を共有し、森林づくりの課題解決に取り組んでいきたいと思います。
(主任森林整備官 秋葉)
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総務企画部企画課
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