森林管理局へようこそ トップ
報道·広報 トップ
森林管理局の仕事 トップ
公売·入札情報等 トップ
リンク集 トップ
【日高南部森林管理署】
令和3年10月14日(木曜日)に日高地域森林資源持続化推進協議会主催の「タワーヤーダ搬出作業デモ」が開催されました。この作業デモは浦河町の町有林で「近年の大雨や集中豪雨などで路網崩壊や山地災害が懸念される中、急峻な地形が多い日高地域で集材路密度を抑え環境に配慮した安全で効率的な伐採・搬出作業の可能性に向けタワーヤーダの実演・検証を行う」といった趣旨で開催されたものです。当日は森林管理局・署関係者60名以上と振興局、市町村、事業体関係者など合わせて総勢100名以上が参集し、北海道では現在ほぼ使用されていない架線集材の作業デモを見ようと多くの見学者が訪れました。開会式会場架線集材とは仮設のロープウエイの様な集材装置を使って空中にワイヤーロープを張り、伐り出した木を集積場まで安全に吊るして運ぶ方法で、主に本州の急峻地での林業で活躍しています。北海道は本州ほどの急峻地は少ないので、車両系林業機械による集材が多いのですが、日高地方については北海道でも急峻地が比較的多い場所なので架線集材が活用できる可能性があります。今回使用されたタワーヤーダは、コンラート社製(オーストリア)の自走式クローラ型タワーヤーダ「KMR4000U」で、林道だけでなく林業作業路も移動可能、設置・集材・撤去の全てをリモートコントロール可能、ワイヤーがタワー内を通る構造になっているためワイヤー破断時の事故も未然に防げるという効率的且つ安心安全な林業機械です。自走式クローラ型タワーヤーダ「KMR4000U」このタワーヤーダで集材作業を、実際に高知県で使用している(有限会社)川井木材の川井社長に実演してもらいました。タワーヤーダからの主索をつたい伐採木集材に向かう搬機伐採木に集材用ワイヤーのくくりつけ作業その後、搬機で林道まで引っ張り上げます。タワーヤーダによる集材作業林道ではハーベスタが待っていて、タワーヤーダで集材した木の枝払い、玉切り、集積を行います。集材した伐採木をハーベスタで玉切り集材用ワイヤーの接合部ここまでが今回の作業デモの一連の流れでしたが、搬機の移動速度が思った以上に早く、約85メートルの架線距離を伐採された木が搬機に吊された状態であっという間に林道まで引っ張り上げられる様子は圧巻でした。質疑応答では、タワーヤーダの最大使用可能傾斜や架線の最大延長は?等、活発な意見交換がなされました。ちなみに、今回使用したタワーヤーダは最大約45度まで使用可能であるが、30度前後の傾斜での使用が多く、架線距離は150~400メートルで作業されることが多いそうです。川井社長からはタワーヤーダを使用した架線集材を行うことで、林内に集材するための細かな作業路の作設が不要となるため、山を痛めないですむことや機械の削減、人員の抑制にもつながるとのお話があり、この点は事業体である、ひだか南森林組合の盛専務理事も「通常の伐採作業では4~5台の林業機械が必要であるが、タワーヤーダをうまく使用すれば2台くらい削減できる可能性があり、現状1年に1,000万円程度かかっている林業機械メンテナンス経費の削減にもつながるのでないかということと、機械を減らすことは大きな視点でみると二酸化炭素の削減にもつながる。」と期待されていました。北海道でもかなり昔は行われていたという架線集材が技術の進歩に伴い、今復活の兆しをみせています。適材適所なので北海道全域での使用というわけにはいかないかもしれませんが、今後タワーヤーダが日高地方の急峻地で活躍していくことを期待したいと思います。
(治山技術官 小川)
お問合せ先
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。 Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。