
|
アイヌ文化伝統の丸木舟「チプ」新造
【日高南部森林管理署】
令和3年2月20日(土曜日)と21日(日曜日)の2日にわたり、アイヌ文化伝統の丸木舟「チプ」を新造するため、新ひだか町静内西の沢の国有林においてカツラ大径木3本の伐採作業が行われました。
この取組は、昨年の春に千歳市及び千歳アイヌ協会よりアイヌ文化伝統の「チプ」を造るためにカツラ大径木の資源状況について問い合わせがあったのが始まりです。 その後、千歳アイヌ協会は地元の新ひだか町のアイヌ協会の協力を得ながら、林道沿線に生育し搬出の可能なカツラの大径木3本(胸高直径96センチメートル、同84センチメートル、同70センチメートル)を選定しました。
国有林では「アイヌ文化振興への貢献」を重点取組事項としており、千歳市はアイヌ施策推進法に基づく「アイヌ施策地域推進計画」の認定を受けていること、千歳アイヌ協会が同市の地域計画に記載されている団体であることなどから買受希望に応じることとしました。 伐採作業の初日には、日高南部森林管理署に千歳市、千歳アイヌ協会、報道関係者等約20人が集まり、千歳アイヌ協会中村会長より「チプ」の新造に至った経緯や関係者へのお礼の言葉が述べられ、署長からは「貴重な資源でありアイヌ文化伝承のため大切に使って欲しい。」との話がありました。
引き続き、現地に赴きアイヌ協会による「カムイノミ」(神への祈り)の儀式が執り行われ、1番の太物である胸高直径96センチメートル、樹高約30メートル、樹齢約250年(伐採後に年輪を確認)のカツラの伐採が行われました。
 アイヌ協会による「カムイノミ」(神への祈り)の儀式
参加者の多くは伐採作業を見るのは初めての経験で、安全に手際よく作業する伐採作業者の姿、山に響き渡るチェンソーの音、大きな木が轟音を立てて倒れるシーンに圧倒され感嘆の声が上がりました。
 カツラの木を安全に手際よく作業する伐採作業者
伐採作業者も大勢が見守る中での作業で緊張していたようですが、立木を傷つけることなく伐採は無事に終了しました。 倒した木は可能な限り長く造材するとして11メートルの長さに採材しましたが、元口(太い方の木口)に多少の腐れがあったため、吟味して2メートル追い上げを行い長級9メートル、末口70センチメートルの立派な「チプ」制作用の原木が確保できました。
 採材したカツラの木の元口
 1本目の「チプ」制作用の原木
翌日は、残り2本の伐採です。胸高直径84センチメートルと70センチメートルのカツラから、ともに長さ5.5メートルの「チプ」用の原木が採れました。


翌日伐採した「チプ」用の原木2本
これらの原木は千歳市内に運ばれ、8月下旬頃には「チプ」を完成させ、9月のサケを迎える儀式で使う予定とのことです。 今回の伐採風景や「チプ」制作過程については記録として動画撮影を行い、後世に残すとのことでした。
(総括事務管理官 森脇)
|
お問合せ先
総務企画部企画課
ダイヤルイン:050-3160-6271
PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。