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大型囲いワナによるエゾシカ捕獲事業の現地見学会を開催
【北海道森林管理局】
令和3年2月5日(金曜日)、苫小牧市の丸山国有林で大型囲いワナによるエゾシカ捕獲事業の現地見学会を開催しました。
当日は、北海道森林管理局の職員のほか自治体の職員、有識者やマスコミにもお越しいただき、総勢90名を超える方々が参加されました。
 会場の様子
今回、苫小牧市の丸山国有林で大型囲いワナによるエゾシカ捕獲事業を行う背景として、平成30年に恵庭市の国有林内で起きた猟銃の誤射により職員が死亡するという痛ましい事故が発生し、安全対策上、平坦地における銃猟入林を禁止せざるを得ない状況となった一方で、エゾシカの動向を調査する簡易チェックシートではエゾシカ増加傾向が確認されていることから、地元の狩猟者や関係者の意見も伺いながら、当該箇所を選定し、囲いワナを設置することとし、捕獲したエゾシカをジビエとして有効利用を図ることとしたものです。
この様な、大型囲いワナの国有林内での設置は、道東では以前から行っておりますが、道央圏では今回が初めてとなります。
大型囲いワナは、誘引したエゾシカを捕獲するための囲い込み部と、捕獲したエゾシカを生きた状態で一時的に収容するための追込み箱の、2つの構造で基本的に構成されるものです。
 大型囲いワナの全景
当日は、中塚胆振東部森林署長が開会挨拶で全道のエゾシカ被害の状況を踏まえ、対策の必要性について説明しました。
 中塚署長の開会あいさつ
その後、大型囲いワナの構造や捕獲方法について、事業者から説明した後、囲いワナの内部や、すでに捕獲されたエゾシカの状況などを見学しました。
 捕獲されたエゾシカの見学
その後、職員が行うくくりワナについて、久田利用調整係長がワナの設置方法について説明しました。
また、宗谷森林管理署で、今年度から職員がくくりワナを設置して、捕獲数が20頭以上になっていることを紹介するとともに、北海道森林管理局で市町村等に、くくりワナを貸し出している事例も紹介し、希望する市町村に貸し出す準備があることも説明しました。
 くくりワナ ※実際には雪などを覆い被せてカムフラージュします。
質疑応答では、囲いワナの設置に係る人工数について質問があり、パネルの設置等は8人工程度で可能だが、機器類の微調整があるのでトータルで15~20人工となることを説明しました。
会場にお越しいただいた地方独立行政法人北海道立総合研究機構の稲富研究主任から、囲いワナの設置には、場所、時期、方法の三要素が重要なことをご説明いただき、今回作成された「囲いわなによるエゾシカ捕獲の手引き ~草地適用型囲いわなの紹介~」について紹介していただきました。
同研究機構林業試験場道北支場の明石支場長からは、苫小牧の北海道大学演習林内に設けた調査区内の稚樹(背丈より低いもの)が、この10年間、減少してエゾシカが食べないコブシやイヌエンジュばかりになっていることを説明していただきました。
最後に、小島計画保全部長から、「エゾシカの農林被害額は38億円にのぼりそのうち林業被害は3,800万円と少なく感じるが、エゾシカによって次の世代の森林となるべき稚樹がなくなるなど、数字に表れない被害が進んでいる現状なので、国有林だけで無く民有林や関係者と手を取り合って対策を進めていきたい」と挨拶しました。
 小島計画保全部長の閉会挨拶
今回の事業の検証を行い、平坦地においてより安全で効率的なエゾシカ対策が行えるよう、引き続き検討してまいります。
(保全課監査官 根田)
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お問合せ先
総務企画部企画課
ダイヤルイン:050-3160-6271
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