このページの本文へ移動

北海道森林管理局

    文字サイズ
    標準
    大きく
    メニュー

     各地からの便り

    道産木質材料のバイオマス利用に係る現状と有用性

     ― 原田局長が当署管内を巡閲 

    【根釧西部森林管理署】 


    令和2年6月22日(月曜日)、北海道森林管理局より局長ほか2名が管内巡視のため来釧し、釧路市内にある大澤木材株式会社のオガ粉・バイオマス発電原料生産工場と、株式会社北都のトドマツ精油プラントを見学しました。

    1.大澤木材株式会社(北海道釧路市阿寒町)オガ粉・チップ工場

    大澤木材株式会社は当署の素材生産事業請負や立木販売といった国有林野事業実行のほか、道内2箇所(釧路市阿寒町、常呂郡佐呂間町)の工場でカラマツ製材やオガ粉、木質バイオマス発電原料(チップ)の生産を行っており、当日は成田社長と藤丸工場長にご案内していただきました。

    工場敷地内の広大な土場には、当署の国有林材も確認できます。

    椪(はい)付された原料材
    はい付けされた原料材

    工場内では、皮を剥いた丸太をオガ粉(注)に粉砕する機械が稼働しており、きめ細やかな製品が次々と生産されていく様子を見ることができました。

    (注)木材を粉末状に砕いた、いわゆる木くず。家畜の敷料や緩衝材、キノコの菌床などの用途に使われる。

    (※1)木材を粉末状に砕いた、いわゆる木くず。家畜の敷料や緩衝材、キノコの菌床などの用途に使われる。
    オガ粉に粉砕する機械

    牛舎の敷料としての利用について、酪農家の方々からは大変好評を博しており、「牛乳の出が違う」との声をいただいているということですが、逆にカビが生えているものが少しでもあると乳房炎の原因となり得るため、品質管理には細心の注意を払っているとのお話でした。

    生産されたオガ粉(赤みがかったものがカラマツ、白いものがトドマツ)
    生産されたオガ粉(赤みがかったものがカラマツ、白いものがトドマツ)

    このほかにも、トドマツオガ粉は箱詰めされた長芋の緩衝材としても利用されるなど、菌床のイメージが強いオガ粉ですが、それ以外にも多様な用途があることを認識できました。

    2.株式会社北都(北海道釧路市)トドマツ精油プラント

    続いて、海に面した釧白工業団地にある株式会社北都のトドマツ精油プラントを見学しました。

    大澤木材株式会社と同じく、当署の森林整備事業を多数請け負っていただいており、平成19年以降日本かおり研究所株式会社やエステー株式会社と連携し、「クリアフォレスト事業(注)」としてトドマツの葉から抽出した精油を生産しています。
    (注)エステー株式会社系列の日本かおり研究所株式会社が森林総合研究所と開発した、「機能性樹木抽出液」を多方面で活用するための技術ブランド。
    樹木の枝葉から抽出した精油・精水の消臭芳香効果に注目し、消臭剤やペット用トイレシートなど様々な商品展開を行っている。


    (株)北都 山﨑社長
    株式会社北都 山﨑社長から説明がありました

    トドマツの葉から抽出した精油(葉油)は、スギ・ヒノキの葉油に比べて消臭能力が高いそうで、(二酸化窒素)と混合した場合、2時間後には二酸化窒素除去率が100%という実験結果も出ています。

    最初にご案内いただいた保管庫では、これまで長らく未利用のまま林内に放置されていたトドマツの葉付き枝が集積されていました。

    降雨の影響により含水率が増加しないよう、屋根付きの庫内で乾燥を行っているということです。

    保管庫に集積されたトドマツの枝葉
    保管庫に集積されたトドマツの枝葉

    乾燥を終えた後、枝葉の粉砕作業を行います。

    細かく砕かれ少し粘り気を帯びたトドマツの葉は、業務でいつも嗅いでいる土場の香りをいっそう強くしたような芳香を放ち、森の香り成分が緊張をやわらげるなど、その使用効果の高さを推し量ることができました。

    粉砕後のトドマツ枝葉
    粉砕後のトドマツ枝葉

    粉砕した枝葉を「マイクロ波減圧コントロール抽出装置(注)」に投入して65分経てば、精油・精水抽出の完了です。
    (注)電子レンジに似た原理の減圧加熱装置で、従来の抽出装置のような蒸気加熱ではないため、残渣(ざんさ・残りかす)の水分量が格段に少なくなる。

    (※3)電子レンジに似た原理の減圧加熱装置。従来の抽出装置のような蒸気加熱ではないため、残渣の水分量が格段に少なくなる。
    マイクロ波減圧コントロール抽出装置

    抽出されたトドマツ葉油
    抽出されたトドマツ葉油

    森の香りがふんだんに溶け込んだこのエキスは、メーカーに輸送され、様々な製品へと転身を遂げることとなります。

    また、抽出後の枝葉残渣は敷料として使うため、ほぼ100%資源を有効利用しているというお話でした。

    多種多様な商品サンプルが並ぶ
    多種多様な商品サンプルが並ぶ

    これまでどちらかと言えば製材・集成材など木材そのものとしての利用に視点を置きがちでしたが、本工場見学を経て、道産オガ粉の有用性や、末木枝条をはじめとする林地未利用材の成分利用など、木質バイオマスの活用に関する知見を深めることができ、時代に合わせた意識変革の重要性を改めて実感しました。

    大澤木材株式会社、株式会社北都の皆様におかれましては、お忙しい中丁寧にご対応いただき、大変ありがとうございました。

    (業務グループ 地域技術官 丸田)

    お問合せ先

    総務企画部企画課
    ダイヤルイン:050-3160-6271

    PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
    Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

    Get Adobe Reader