知床森林生態系保全センターブログ(2021年12月)
令和3年12月20日 野生生物観測調査 秋
センターでは2008年から継続して野生生物の観測調査を行っています。
この調査では斜里側のオペケプ林道と羅臼側の春刈古丹林道の2カ所でそれぞれ2ヶ月間センサーの付いた自動撮影カメラを設置し、野生生物の生息状況や活動状況を調べています。
毎年6月と10月にオペケプ林道に、7月と9月に春刈古丹林道にカメラを設置することになっており、2021年8月のブログでは6月分と7月分の写真をご紹介しました。
今回は、9月分、10月分の撮影された写真をご紹介したいと思います!
まずご紹介するのはこちらのキツネの写真です。
キツネはエゾシカと並んで、撮影される頻度の高い生物です。今年の秋は、オペケプと春苅古丹合わせてエゾシカが198回撮影されたのに対し、なんとキツネは293回も撮影されています!
場所によってはほぼ同じ時間に数日間にわたってキツネが撮影されることも多いので、キツネたちの散歩コースにでもなっているのでしょうか。
続いてこちらの写真です。クマが正面からカメラに向かって来ています。私は撮影写真のチェック中にこの写真が出てきたとき、思わずのけぞってしまいました。
カメラのフラッシュに反応して飛びかかろうとしているのでしょうか、あまり大きい個体ではなさそうですが、それでも迫力のある一枚です。
この写真に写っているのは何の動物か分かりますか?
これはアライグマです。アライグマと言えば動物園などでは人気の可愛らしい動物というイメージがあるかと思いますが、実は特定外来生物に指定されており、在来生物から成る生態系に影響を与える恐れがある動物なのです。
このように外来生物が撮影された場合は、関係機関に情報共有の上、毎年、年次報告書として発行している知床白書に情報が掲載されることになります。
また、この秋期間ではクマによってカメラが弄られてしまうことが数回ありました。
カメラの設置期間中は毎週見回りを行うのですが、その際に向きがズレている、落下しているカメラが何度か発見されました。
例えばこちらの写真では、クマが至近距離で撮影されていますが、その次の写真では…
完全にカメラの向きを変えられてしまっています。きっとクマが「なんだこれ?」と興味を持ってイタズラしてしまったのでしょう。
これが見回りの直後などにやられてしまうと、次週の見回りまでの一週間、上手く写真が撮れなくなってしまうので、「それだけはやめてくれ…」と設置期間中は願っていました。
以上が9月、10月に撮影された写真のご紹介となります。
2ヶ月間で撮影された写真の中から、厳選した何枚かをご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。ぜひ、6月、7月分の写真をご紹介したブログ(2021年8月)も併せてご覧いただければと思います。
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