知床半島発!ウトロ・羅臼GSS通信(2022)

令和4年8月28日(日曜日) ミズナラ結実調査の下見
知床森林生態系保全センターでは秋にミズナラの結実状況の調査をシードトラップ法で平成元年から毎年実施しています。
今回はその下見で対象木に問題が無いか、設置してあるシードトラップのポールが壊れていないかなどを確認しました。
順々に調査木を回っていくと、目印のピンクテープがとれてしまっている木が何本かあったため、ピンクテープをつけ直しました。
調査木のそばにあった太いトドマツが折れていました。
幸か不幸か、折れた先の方はシードトラップのポールとポールの間に倒れていたためポール自体は無事でしたが、これではシードトラップが設置できないのでポールの位置を横にずらして対応しました。
林床に派手なキノコを見つけました。
チャワンタケの仲間でしょうか?
綺麗な色ですね。
実際に練習もかねてシードトラップを設置してみます。
足下を探すと青い未熟なドングリが落ちていました。
今年はどれほどのドングリが回収されるのでしょうか?
楽しみにしております。
令和4年8月25日(木曜日) 知床岬防鹿柵の補修
今年2回目となる今回の知床岬巡視では、前回7月の巡視で確認した1ヘクタール囲い区の防鹿柵補修を行いました。
今回は当初予定していた23日の天気が悪く、延期して25日にずれ込みましたがその甲斐もあって快晴となり、海上からは知床連山が綺麗に見えました。
船に揺られること約1時間半で文吉湾に到着し、さらに林内を歩いて今回の防鹿柵補修箇所にたどり着きました。
前回巡視の際に補修した動物の掘り跡は問題なかったことから、すぐに今回のメイン作業となる傾いた柵の補修に取りかかりました。
まずは斜めに倒れかかっていた柱を、皆で呼吸を合わせながら起こします。
次に柱の前後に木杭を打ち込み、さらに針金を巻き付けて柱を固定します。
作業に没頭すること約2時間、同行した森林管理署職員の協力もあり、なんとか柵を立て直すことが出来ました。
作業終了後は知床岬の方まで巡視しました。
国後島の島影も綺麗に見えていました。
徐々に秋めいてきた知床ではありますが、引き続き業務に励んでまいります。
令和4年8月13日(土曜日) 羅臼湖の巡視
羅臼湖へは歩道入口から往復で約6キロ、所要時間は約3時間です。
時間には余裕をもって行動する必要があります。
また、羅臼湖へお越しの際は植生保護の為に長靴を着用し散策を楽しみましょう。
今年は雨降りや濃霧の日が続き湿原地帯にある歩道は乾くこともなく、ドロドロの状態が続いています。
ぬかるみを避けて歩道の脇を歩くことで植生が脅かされ、道がどんどん広がっていってしまいますので歩行の際はぬかるみを避けずに道の真ん中を歩くようお願いをしています。
羅臼湖を目指す途中には4つの沼を巡っていきます。
写真は四の沼で、一目で見渡せる小さな沼です。
四の沼の周りではサワギキョウが咲き始めていました。
林内では結実したコケモモを確認できました。
これからもっと熟れていきそうです。
笹の中に埋もれるようにして咲くエゾオヤマリンドウを見つけました。
このようにひっそりと咲かないとエゾシカに食べられてしまうのかもしれません。
令和4年8月8日(月曜日) 熊越の滝オランダガラシ駆除
この日は羅臼町にある熊越の滝で今年度2回目となるオランダガラシ(クレソン)の駆除を行いました。
環境省・林野庁・羅臼町から11名が集まり、前回よりもパワーアップした人数でオランダガラシの駆除を行いました。
まずは前回(7月8日ブログ参照)時間切れとなり残っていた箇所からスタートしました。
他のネコノメソウ等の在来種を傷つけないように注意しながら丁寧に作業しました。
作業前
作業後
一面がオランダガラシに覆われていましたので、写真からもすっきりした様子を感じていただけるのではないでしょうか。
この日は午前中の作業だけでも420キログラム程のオランダガラシを除去しました。
お昼休憩の後も、引き続き作業を継続しました。
作業前
作業後
午後からも時間の許す限り作業を行い、熊越の滝周辺は目につく限りのオランダガラシの駆除を行うことが出来ました。
駆除した箇所に在来種が定着し、本来の環境が戻ることを願い熊越の滝を後にしました。
令和4年8月7日(日曜日) 男の涙巡視
この日は男の涙周辺の巡視を行いました。
巡視を初めてすぐに、シラカバの様子がいつもと違うことに気づきました。
近づいてみると・・・・・
コエゾゼミの抜け殻が整列していて、この1本の白樺だけで10匹を超える抜け殻がついていました。
知床の夏を告げるコエゾゼミにこのシラカバは人気のようです。
引き続き巡視を進めていくと、つるっとした形状が綺麗な、タマゴタケが見られました。
このタマゴタケは有毒のベニテングダケと似ているので間違えないよう注意が必要です。
その近くにはホウキタケの仲間と思われるきのこの姿も見られました。
森の中もこういったキノコ類が見られ彩りを与えてくれています。
森を抜けると周辺にはすらっとした立ち姿が印象的なネジバナや、
キオンといった多年草が一面に広がっている様子も見られました。
その後、目に入ったアメリカオニアザミを除去し、この日は終了しました。
令和4年8月5日(金曜日) フレペの滝巡視
今日はフレペの滝の巡視を行いました。
知床財団さんが作成した、フレペの滝遊歩道の入口にある看板が新しくなっているのに気づきました。
遊歩道を進むと草原が見えてきます。
植生をよく見ていると、大量にワラビが生えているのがわかります。
他にもハンゴンソウやキオンもよく見られます。
下の写真はキオンになります。
黄色い花が綺麗ですね。
他にもこんなトゲトゲした植物が・・・
(写真をクリックすると拡大します)
アメリカオニアザミという植物で輸入穀物や牧草に混じってやってきた外来種になります。
全体的にトゲトゲしており花が上を向いているのが特徴です。
知床には在来種のアザミも生えており、中にはトゲトゲ具合が似ているものもありますので抜かないよう注意が必要です。
この写真のアメリカオニアザミはトゲトゲに気をつけながら駆除しました。
実は上記の植物には「シカが嫌いな植物」という共通点があり、シカが増えていることの影響を景色からも感じる事ができます。
シカが増える前のフレペの滝の遊歩道の草原はどんな景色だったでしょうか。
今よりも多種多様な植物を観察出来ていたのかもしれません。
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