2016年9月
2016年9月29日(木曜日)
ミズナラ堅果結実調査
本日は今年第2回目のミズナラ堅果(ドングリ)結実調査を行いました。

調査地は知床国立公園内のイダシュベツと岩尾別の森(国有林)です。

調査木の横に設置されているシードトラップの中にはドングリの他に落ち葉や他の木の種子も たくさん落ちていまますが、ドングリだけを回収します。

岩尾別の調査地ではシードトラップが鉄杭から外れて地面に落ちていました。
ネットの外枠となる針金はひん曲がり、ネット自体はビリビリに破れていました。
思わず『ヒグマの仕業かな…?』と思ってしまいましたが、エゾシカもシードトラップを破壊する事があるようです。

修理のため、破損したネットを持ち帰りましたが獣のにおいが付いてしまったようで、 車内はちょっとした騒動となりました。

回収したドングリは計測しやすいよう殻斗(かくと)と言われるドングリの 帽子の部分をあらかじめ取り外します。
本日は1014個のドングリを回収しました。
これは第1回目の回収時の524個と比べ、倍近い量となりました。
ちなみに大凶作となった昨年の第2回目は9個でしたので、今年の知床のミズナラは凶作では無さそうです。
2016年9月24日(土曜日)
ヒグマ目撃情報更新、カムイワッカ湯の滝巡視ほか

今年度から実施しましたヒグマ目撃情報掲示板です。
ヒグマ目撃情報(アンケート)を基に、地図版とカレンダー版を登山口の掲示板にて確認できるようになっています。
この硫黄山登山口の他に、羅臼岳岩尾別温泉登山口、羅臼温泉登山口の計3箇所に設置しており、羅臼岳、硫黄山、知床連山縦走路のヒグマ目撃情報をチェックする事ができます。

9月のヒグマ出没状況のカレンダー版です。(9月24日更新)
皆さんから寄せられた情報は、後から登られる方の貴重な情報となっています。
入山中にヒグマを目撃された際はヒグマ目撃アンケートファイルへの記入をよろしくお願いいたします。
なお、記入されたアンケート用紙はGSSが回収し、知床情報玉手箱というサイトの中にある『週刊・知床登山情報』のコーナーにも反映され、インターネットでヒグマの出没状況を確認することもできます。

こちらは8月のヒグマ出没状況です。(8月28日更新)
9月に比べ、8月は目撃されている回数が多いようです。
おそらく、サケやカラフトマスが川に遡上する前に山の中の食料を求めていた時期に重なると思われます。

その後カムイワッカ湯の滝の巡視を行いました。
湯煙が激しく立ちこみ、幻想的な景色となっていました。

カムイワッカ湯の滝は、現在、一の滝の上部まで散策が可能です。
本日の水温は29度でした。

一の滝です。
滑りやすく急勾配となっているため下りの際は注意して下さい。
カムイワッカの滝を安全に楽しむために、滑り止め靴下や、沢靴、グリップの利くソールが柔らかいサンダル等を用意してから入りましょう。
カムイワッカ湯の滝への道路(砂利道)は、2016年10月下旬(予定)まで通行可能です。
2016年9月15日(木曜日)
ミズナラの堅果(ドングリ)結実調査
知床森林生態系保全センターでは、平成元年より毎年知床の森でドングリの結実調査を行っており、今年で28年目を迎えました。
GSSもこの調査に参加し、知床の森を見守っています。
本日は調査地の森でシードトラップという、木から落ちてくるドングリをキャッチするための網の設置作業を行いました。

たくさんのシードトラップは背負子に積み込んで、現場で組み立てていきます。

経年劣化のためか穴が開いているトラップが数個ありました。 トラップ内に落ちたドングリがこぼれ落ちないように補修をしながら設置していきます。

8月の台風の影響でトラップ設置予定箇所に木が倒れていたため、ドングリが落ちてきそうな枝を捜し、 少しずらした箇所に設置しなおします。

真っ赤なホウノキの実が落ちていました。 森は実りの時期を迎えたようです。

無事に全ての調査木にシードトラップを設置する事ができました。
今後は、毎週トラップに落ちたドングリを回収し、数量、重量、直径等を計測し、記録していきます。
ドングリの豊凶は、一昨年は調査開始以来最も大豊作、昨年は調査開始以来最も大凶作と、年によって大きな差があります。
前例にないほどの大豊作、大凶作の後ですので、今年は注目の年です。

調査地の近くの川ではカラフトマスやシロザケが遡上しており、命を全うした魚たちが川岸で数多く見られました。
ドングリにマス、サケと命の循環を感じる1日でした。
2016年9月4日(日曜日)
ポンホロ沼、カムイワッカ湯の滝巡視
本日は台風通過後のポンホロ沼を巡視してきました。

ポンホロ沼へ向かう途中にある涸れ沢です。
融雪時期以外はその名の通り水が涸れている所なのですが、台風の影響で普通の川のようにたくさんの水が流れていました。

ポンホロ沼へ到着です。
この沼には流れ込む川もなければ流れ出す川もありません。
すり鉢状の地形の中にあるポンホロ沼は、春は雪融け水がたまり、夏に向けて沼が徐々に小さくなっていき、秋には消滅するという変わった沼ですが、この日は融雪時以上に大量の雨水が貯まり、この時期にしては大きな沼となっていました。

現在、沼のほとりを歩くルートは全て水没しています。
少しでも通常の散策ルートに近づこうとしても、あっという間に長靴以上の水位になってしまいます。 念のため、釣り用のウェダーで巡視に来て大正解でした。

通常のルート沿いにそびえ立つ、大きな樹洞があるミズナラも水没していました。

タマゴタケ
続いてカムイワッカ湯の滝の巡視です。

本日の水温は31℃でした。
こちらも台風の影響で、水量はいつもより多く、かなりの勢いで流れていました。
 
カムイワッカの駐車場には硫黄山や知床連山縦走を楽しむ登山者のために携帯トイレの
回収ボックスがあるのですが使用状況のチェックをしようと中を開けてみたところ…
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中に捨てられていたのは、一般ゴミでした。
このゴミ箱は『携帯トイレ専用』ですので、一般ゴミは必ずお持ち帰りください。
なお、携帯トイレを捨てる際、大便はゴミ箱の横にあるトイレで処分してから、携帯トイレのみを廃棄して下さい。お手数ですが、ゴミの分別をよろしくお願いします。 |

また、この携帯トイレ専用のゴミ箱にはヒグマの爪の痕と思われる穴が開いていたのですが、 前日に中身を全て処分していたため大事には至りませんでした。
ヒグマがゴミに混じる食料の味を覚えるのを防ぐためにも、このゴミ箱に一般ゴミを捨てないよう ご理解とご協力をよろしくお願いします。
2016年9月3日(土曜日)
羅臼岳登山口巡視
今日は羅臼岳羅臼温泉登山口手前の崩落地の巡視を行いました。
お盆頃から台風が頻繁に発生し、その被害は知床半島のウトロ側と羅臼側を比べると羅臼側が多くみられました。

知床国立公園羅臼温泉野営場から羅臼岳羅臼温泉登山口へ向かう歩道の脇が崩落していました。

鉄ピンとロープを張り、暗がり時に足を踏み外さないようピンクテープを付けました。
この先10メートル程度進むと…

歩道ごと崩落していました。

反対側から見た様子です。迂回するようロープを張っていきます。

通行する際は充分に注意し、山側を迂回するようにお願いします。

今年度から実施しましたヒグマ目撃情報掲示板です。
この羅臼岳羅臼温泉登山口の他には、羅臼岳岩尾別温泉登山口、硫黄山登山口の3箇所に設置しています。
出没状況をカレンダーにて確認することができます。
入林中にヒグマを目撃した場合は入林簿とは別に、ヒグマ目撃アンケートファイルへの記入もよろしくお願いいたします。
皆さんから寄せられた情報は、後から登られる方の為にも役に立ちますので、ご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。
2016年9月2日(金曜日)
羅臼湖巡視と歩道の草刈り
今日は台風後の羅臼湖の巡視を行いました。
 三の沼です。
ここはいつもとかわらない静寂な風景で台風や大雨の影響は特に見られませんでした。 今日はあいにくの濃霧で、羅臼岳までは望めませんでした。

深いぬかるみに足場として敷いていた木材が雨によって 流されていたので、元の場所に戻しておきました。
枯れ沢手前のぬかるみです。
 シュロ縄で固定した木材を新たに敷いていきます。
 作業前作業後

歩道は地域の関係機関がそれぞれササを刈る役割を担っていますが、 ここのところの長雨で現場へ行く機会が無かったようで、すっかり伸びていました。

稀少植物に注意しながら手バサミで刈っていきます。
 作業後
足下が見えるように刈ったので安心して歩けるようになりました。
 ウラジロナナカマドです。
ところどころにエゾシカの食痕がみられました。

雪融け後見頃だった花々は終わりましたが、 今はエゾオヤマリンドウの花が見頃です。
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