2015年10月
2015年10月29日(木曜日)
羅臼湖「三の沼」展望台撤去、羅臼岳(ラウス側)入林箱撤去
今日は知床横断道路が閉鎖になる前の大仕事、羅臼湖歩道内にある三の沼展望台の撤去作業と今春、 新しく設置した羅臼岳(ラウス側)入林箱の撤去作業を行いました。
 今日の羅臼湖への歩道は雪が積もり、ぬかるみのあるところでは氷が張っていました。
 二の沼より、羅臼岳を望む。 沼の水面は大部分が凍っていました。
 二の沼と三の沼では植生保護のために張ったロープを鉄ピンと共に外していきます。
 三の沼の展望台は工具を使って外していきます。 取り外したネジなど、湿地帯に落とさぬよう気をつけながら作業を進めていきます。
 展望台の撤去後は台設置のための基礎部分が残ります。 出っ張っている部分にはオレンジ色のテープを付け目立つようにしていますが、 つまずいたりしないようご注意ください。
今日取り外した展望台は、来年度、三の沼の雪がなくなり次第、設置します。
 今春、雪の重みで壊れてしまっていた歩道入口に設置してある『羅臼湖入口』の看板は、 これ以上壊れてしまわぬよう取り外して羅臼森林事務所で冬眠に入ります。
 羅臼湖での作業後は羅臼岳(ラウス側)の歩道(登山道)入口に移動し、 今年度リニューアルした入林箱も雪の重みで壊れてしまわぬよう、取り外しました。
 取り外した入林箱を三人で担ぎ、車に乗せ、羅臼湖入口の看板と共に羅臼森林事務所まで運び、 作業も無事に完了です。
10月いっぱいをもちまして、今年度の知床GSSの活動は終了となります。
知床地区は、今年、世界自然遺産登録10周年ということもあり大いに盛り上がりを見せましたが、 この先の未来も今と変わらぬ大自然を維持していけるよう心がけながら巡視と維持管理作業に従事し、 ブログで発信してきました。
当ブログを見ていただきありがとうございました!
2015年10月23日(金曜日)
カムイワッカ湯の滝巡視、ミズナラ結実(どんぐり)調査最終日
本日はカムイワッカ湯の滝巡視と、今年度のミズナラ結実調査最終日となりました。 調査は9月11日に始まり、ほぼ一週間おきに実施し、10月23日の第7回で終了しました。回収総数は55個でした。
1989年(平成元年)から始まった本調査では過去一番の凶作です。 昨年の回収総数が17,000個あまりと大豊作の年でしたので、変化が大きく感じられました。 今年の回収作業は手応えが無く、寂しい限りでした。
また、今年はサケ、マスの遡上が昨年同様少ない方で、おそらくヒグマはどんぐりにもありつけず、人里に降りてくる可能性も高そうです。
 カムイワッカ湯の滝です。観光客は4組程でした。
 一の滝です。 観光シーズンも落ち着き、この時期に来られるとゆっくりと紅葉が楽しめます。
一の滝の水温は27度と少し低めでした。 気温が下がってくると、水温も下がっていきます。
 硫黄泉の源泉はpH1.6-1.8の強酸性と言われております。 このように、10円玉を水の中に数分置いておくと、ピカピカになるほどです。
 午後からはイダシュベツ、岩尾別地区のどんぐり回収と、調査最終日のためトラップの取り外し作業です。
 まずは網を鉄ピンから外します。
 小さく折りたたんだらクルクルっと巻いて最後にトラップ数をチェックします。
 背負子に積み、大量の落ち葉に足を滑らせないよう下山します。
 調査地の森の中には大きなヒグマの糞が落ちていました。 コクワ(サルナシ)の実を食べた後のものかと思われます。 どんぐりやサケ、マスにありつけなくても他の物を食べているようです。
冬眠前の栄養補給が充分にできるといいですね。
2015年10月22日(木曜日)
羅臼岳(ウトロ側)極楽平における洗掘対応
今日は先日の爆弾低気圧と台風23号の影響により、極楽平付近で極度の洗掘が発生してしまったため、急遽、環境省や地元ガイドと合同で積雪前の緊急整備を行うこととなりました。
 今日の現場は先日作業をした650メートル岩峰よりも先の所です。 日も短い事もあって、早朝の集合となりました。
 標高をつめていくと、雪が歩道(登山道)に出現です。
 ここが、問題の洗掘箇所です。 ひどいところは腰ぐらいの高さまで掘れてしまい、大きな段差ができあがっていました。 この他にも大小様々な洗掘地があり、水量の激しさがうかがえます。 このような洗掘を放置してしまうと、来春の融雪水により更に悪化した状況となってしまいますので、これ以上掘れてしまわぬよう土のうを積んでの応急処置をします。
 環境省により行われた歩道(登山道)整備事業の資材(石)が極楽平の近くにありますので、 それを土のう袋に詰めてから背負子に乗せ、洗掘箇所まで運び、穴を埋めていきます。 この土のう運びが結構重たくて、大変でした…
 写真左:作業前 一番ダメージの大きい洗掘箇所です。縦方向に掘れてしまった上、横方向にも掘られ、広がりつつあります。
写真右:作業後 この場所だけで土もう袋を運ぶこと20袋以上。土のう4段と石組みの合わせ技で仕上げてみました。
 小さな洗掘箇所では土のう袋の数量はそれほど必要としませんが、 流れてきた水で横方向に掘れてしまわぬよう、隙間の無いように置いていきます。
なお、今回の作業は来春の融雪時に発生する融雪水対策です。
雪が無くなった時、この状況は大きく変わる可能性があります。
来春、この処理がどう効いてくるのか気になるところです。
 作業の後半では天気も良くなり、羅臼岳の山頂を見る事ができました。 ちなみに本日、山頂まで目指した方はいらっしゃいませんでした。
 寒い中の作業お疲れ様でした!
2015年10月16日(金曜日)
羅臼湖歩道協働維持管理作業
本日は地元関係機関と羅臼湖協働維持管理作業です。 歩道の整備や今後の維持管理について意見交換を行いました。
 羅臼岳は羅臼平上部から雪が積もっていました。
 作業内容は昨年に引き続き、歩道のぬかるみ対策用の材木の運搬と設置を行っていきます。 各自、木材を数本ずつ背負子などで運んでいきます。
 ぬかるんでいる箇所に木材を敷いていきます。
 今回の整備ではぬかるみの深いところを優先して木材を敷きましたが、道の悪さは完全に解消された訳ではありません。 羅臼湖へお越しの際は今後も長靴を着用し、ぬかるみを避けず植生保護を意識し、道の真ん中を歩きましょう!
 木道に堆積した枯れ枝の撤去。 これは木道の腐敗を防ぐために行います。
 現場状況を確認しながら羅臼湖へ向かいます。
 本日の羅臼湖です。 休憩後、グレーチング内のゴミ拾いを行いました。 ゴミの数は少なく入林者の方々が綺麗に利用されていると感じました。
 三の沼です。風も穏やかで逆さ羅臼岳も綺麗に三の沼に映り込んでいました。
 最後に羅臼湖入林箱の回収です。 積雪による入林箱の破損を防ぐため、冬の間、羅臼森林事務所の倉庫で保管します。
本日の入林者は2組2名でした。
羅臼湖歩道協働維持管理作業に参加された皆様お疲れ様でした!
2015年10月15日(木曜日)
羅臼岳(ウトロ側)看板回収作業、ミズナラ堅果調査
本日、午前は羅臼岳へ(ウトロ側)、午後からは第6回目となるミズナラ堅果調査(どんぐり回収)を行いました。
 ここしばらく、羅臼岳をはじめとする知床連山は雲の中となり、なかなか姿をみせてくれません。 今日もすっぽりと雲を被っていました。
今日は標高650メートル岩峰に設置したヒグマ注意喚起の看板回収を行いました。
 現場となる650メートル岩峰までは、ちょっと長い道のりです。 黄色く色づいた、紅葉の中を登っていきます。
 先日の台風23号の影響で新しい倒木があちこちでみられました。 歩道(登山道)を塞いでしまい、足を引っかけるなど安全面に問題のある倒木は手鋸で除去します。
 様々な葉っぱが足下を彩り、落ち葉の絨毯となった歩道をがさがさと音を立てながら進みます。
 現場に到着し、看板回収開始です。 取り外しは設置時よりも簡単で、あっという間におわりました。
 看板設置中 看板撤去後 なお、取り外した看板は冬期期間に劣化しないよう当センターにて保管します。
 午後はイダシュベツと岩尾別の森へミズナラの堅果調査に行ってきました。
 写真左:今日もトラップの中は落ち葉でいっぱいです。 写真右:どんぐり探し中。 落ち葉と一緒にどんぐりを捨ててしまわぬよう注意しながらの作業です。
そして、今週の収穫は0個。
去年の第5回どんぐり回収の時は784個でした。
なお、どんぐり調査は採れなくなるまでおこないます。
今年度の調査はもう終盤となるでしょう。
2015年10月10日(土曜日)
羅臼湖の巡視
本日は羅臼湖の巡視へ行ってきました。
 快晴のお天気となりましたが、標高の高いところの気温は平地よりはるかに低いので、羅臼湖へお出かけの際は、薄手のダウンやウインドブレーカー、手袋など用意するといいでしょう。
 羅臼湖へは知床峠の駐車場に車を止めて羅臼湖入口まで徒歩で移動します。 羅臼湖入口までの道のりは綺麗に色づいた山肌を眺めながら歩きます。
 ナナカマドの実がたくさん付いていました。
 今日の三の沼。 羅臼岳が水鏡となった沼に映り込み、逆さ羅臼岳となりました。
 今日の三の沼。 羅臼岳が水鏡となった沼に映り込み、逆さ羅臼岳となりました。
 涸れ沢から羅臼岳を望む。 今日の涸れ沢は台風23号の影響で大量の水が流れており、沢水の音で賑やかでした。
 今日の羅臼湖です。 入林者は15組17名、長靴の着用率も高く、嬉しい限りでした。
 羅臼湖周辺の黄葉状況です。 右手奥に天頂山が見えています。
 雪解けの遅かった所で、サワアザミが開花していました。 季節外れの貴重な開花に心癒やされます。
 帰り道、車で事務所に戻る途中、ヒグマに遭遇しました。 クマはびっくりしたのか道路を右往左往し、なかなか退いてくれませんでした…
もし、このような形で遭遇したら、動物(ヒグマやエゾシカ、キツネなど)の進路を塞ぐような行為はやめてください。
人や車に慣れてしまわないためにも動物に近づかないようにしましょう。
また、動物に対してのエサやりも絶対に行わないようお願いいたします。
2015年10月7日(水曜日)・14日(水曜日)
斜里高校自然体験学習
斜里高校生の一学年の2クラスと先生方、10月7日と14日に分かれて 当センターが国有林などで「知床自然体験学習」のお手伝いをさせていただきました。
内容は知床世界遺産地域内の森林散策(ポンホロ沼)、サケ・マス遡上観察(岩尾別川)、 植樹体験(ウトロ東防鹿柵内)と、森・川・海のつながりを実際に肌で感じていただきました。
 まずは開会の挨拶とスタッフ紹介を当センターにて行いました。 次に、ポンホロ沼にて説明が聞きとれるように一人一人にトランシーバーを配布しました。
 ポンホロ沼へ向かう途中の涸れ沢にて。 写真上が7日の涸れ沢で下が14日の涸れ沢です。
例年この時期には水が涸れているのですが、8日の台風23号の影響で14日に ポンホロ沼に向かった際には水が流れていました。
 ポンホロ沼では休憩を兼ねてスタッフ4名の職業講話(普段の仕事の紹介や、この仕事を 進路として選んだ経緯等)を聞いていただきました。
将来の進路を考える際の参考になれば幸いです。
 散策の後半では職業体験ということで、樹木の計測、材積計算、 その木が今まで吸収してきた二酸化酸素量の計算を実際に行っていただきました。
 まずは直径巻尺や輪尺を使い、トドマツの胸高直径を測っていきます。 サイズが分かったら材積表を見ながら計算していきます。
 ポンホロ沼の散策の後は岩尾別川にてサケ・マス遡上観察を行いました。
写真上:サケ・マスふ化場の「いけす」を覗いて見たところ…たくさんのシロザケが泳いでいました。 写真下:岩尾別川の河口付近では、これから遡上を始めるシロザケがちらほら確認できました。
 午後は国立公園外の国有林へ移動し、植樹体験です。 まずは当センター職員による植え方の説明です。
 写真左上:まずはスコップで穴を掘ります。場所によっては笹の根が横に伸びていて大変そうな所もありました。 写真左下:掘った穴に植樹していきます。今年はニレを植樹しました。 写真右:無事に植樹できた所には緑色の棒を立てて完了です!
この棒は今後、草刈りなどの手入れの際に稚樹を間違って刈ってしまわないための目印となります。
今回植えたニレが、将来きっと立派な知床の森を形作るでしょう。 そして知床自然体験学習で学んだ事を、どこかで活かせることを願っております。
2015年10月7日(水曜日)
ミズナラ堅果(どんぐり)調査
 本日は今年5回目となるミズナラ堅果調査で岩尾別とイダシュベツ、2箇所の調査地へ どんぐりの回収へ行ってきました。
 10月2日の爆弾低気圧の影響でしょうか、ミズナラの葉が付いた枝がたくさんトラップの中に 落ちていました。
 今回もどんぐりはなかなかシードトラップの中には見当たりません。 やっと入っていたと思ったら…
 入っていたのは、動物に食べられたどんぐりの殻が入っていました。
 今回はキタコブシの実がたくさん落ちていました。
 トラップの近くに新鮮な熊糞が落ちていました。 ヤマブドウを食べていたようです。
 ハウチワカエデも秋らしく色づいてきました。
昨年の第5回目のどんぐり回収の総数は1660個に対し、 本日の収穫は0個でした。 今年は凶作と言っていいかと思います。
2015年10月4日(日曜日)
羅臼湖巡視
知床の紅葉は大体10月中頃が見頃と言われていますが、今年はちょっと早めのようです。
 今日は羅臼湖への巡視です。 羅臼湖へは知床峠の駐車場に車をとめて、まもなく見頃を迎える紅葉を眺めながら歩道入口までの約3キロを徒歩で移動します。
 紅葉は見頃となりつつあるのに、今日はあいにくの曇り空。 羅臼岳は本日、雲の中でした。
 二の沼の近くにある展望スポット「目梨望遙台」からの眺めです。 紅葉する葉の黄色や赤が綺麗なのはもちろんですが、その他に針葉樹の緑、クマイザサの黄緑、ダケカンバの 幹の色、全ての色のコントラストが絶妙に混ざり合っていました。
 そんな息をのんでしまいそうな風景の歩道脇ではこんな感じにナナカマドが真っ赤に紅葉しています。
 その他、オガラバナ(赤)やミネカエデ(黄)の葉っぱも色づき、素敵な葉っぱトンネルとなっていました。
 ナナカマドの実があちこちで赤く色づいていました。
 本日の羅臼湖です。 羅臼湖では冷たい北風が湖面に強く吹きつけ白波が立ち、休憩できる状態ではありませんでした…。
 帰りは恒例の道路脇に落ちているゴミを拾いながら峠の駐車場に向かいます。
 峠の駐車場は風の通り道となり、さらに強い風が吹き抜け、濃霧となっていました。 風景を楽しむ観光の車は一台もなく、日曜日なのに寂しい知床峠でした。
2015年10月2日(金曜日)
カムイワッカ湯の滝
昨晩からの爆弾低気圧の影響で海も山も大荒れです。
 雨は朝になって上がり、風だけが強く残っているような状況です。 写真はプユニ岬。 青い空と海が眩しいです。
 カムイワッカ湯の滝の巡視です。 標高の低いところでも紅葉がちらほらと見られるようになってきました。
本日の水温
 一の滝の滝壺は25℃と低めでした。 気温が低いと水温も低くなってしまいます。
2015年10月1日(木曜日)
羅臼岳初冠雪
今日はポンホロ沼への巡視と、どんぐりトラップの回収を行いました。

ポンホロ沼から見えた羅臼岳の山頂部分にうっすらと雪が積もっているのが確認出来ました。

羅臼岳の初冠雪です。 調べてみると昨年の初冠雪も同日の10月1日でした。

小さくなったポンホロ沼では赤とんぼが飛んでいました。

沼の周りには秋の日差しがやさしく降りそそぎます。

ハウチワカエデが紅く染まりかけていました。 日に日に秋が深まっていくようです。

午後は第4回目となるどんぐり回収へ行ってきました。

二箇所の森に全25トラップが仕掛けてあり、その中に落ちたどんぐりを回収していきます。

トラップの中にはどんぐりよりも枯れ葉が目立ちます。
第4回のどんぐり回収は先週の17個より減って12個でした。
ちなみに昨年の第4回目の回収は10月2日で6909個でした。
信じられません・・・
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