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北海道森林管理局

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    大雪山GSS山岳パトロール日誌(2013)



    大雪山GSS山岳パトロール日誌

    2013年8月 

    2013年8月26日(月曜日) 

    赤岳

    不安定な天気が続く赤岳ですが、GSSはパトロールと同時に歩道の整備や修繕を着々と進めています。

    まずは現在の赤岳の様子をお伝えします。
    赤岳は第二花園と第三雪渓にそれぞれ20~30メートルの残雪があります。

    左:第二花園  右:第三雪渓

    第二花園 第三雪渓

    第一花園ではチングルマの綿毛が大量に見られます。

    第一花園ではチングルマの綿毛が大量に見られます。

    また、奥の平の雪融けが遅かった場所では、まだエゾコザクラやチングルマ、イワヒゲの花が見られます。

    エゾコザクラやチングルマ、イワヒゲの花が見られます

    奥の平より上の標高が高いところでは、ウラシマツツジの葉がうっすら色づいてきました。
    秋が始まりそうな予感です。

    ウラシマツツジの葉がうっすら色づいてきました ウラシマツツジの葉がうっすら色づいてきました

    さて、第二花園と第三雪渓の下部では、雪融け水により歩道がかなりぬかるみます。
    8月11日の記事に引き続き、赤岳チームは今日もコツコツ簡易木道を設置しています。
    登山客にきちんと歩道を歩いてもらい、植生を踏み荒らされないための工夫です。
    だいぶ歩きやすくなったのではないでしょうか。

    簡易木道を設置 簡易木道を設置

    さらに今日は、赤岳山頂から白雲分岐間にあった、古い看板や鉄杭などを一気に片付けてきました。

    古い看板や鉄杭などを片付けてきました 古い看板や鉄杭などを片付けてきました

    「営林署」時代の看板や、ボロボロの山火事注意看板を外して持ち帰ります。

    持ち帰った看板 持ち帰った古い杭

    もはや文字がわからない古い看板や、昔の木道を支えていた古い杭など…

    全て背負子で背負って、撤収!

    全て背負子で背負って、撤収!

    撤収してきたものの一部

    写真は撤収してきたものの一部。
    なぜか靴底も落ちていました。
    こうして地道に歩道を整備するのもGSSのお仕事です。

    雨の中、お疲れ様でした!

    雨の中の巡視活動 

    緑岳(高原温泉事務所~緑岳山頂)

    緑岳チームも、不安定な天気の合間を見て緑岳山頂までの巡視を行ってきました。
    特にここ一週間は午前中に青空でも午後から雷雨という日が多く、外作業泣かせの日が続いています。

    こちらは現在の第一~第二花畑間から見た緑岳の様子です。
    雪渓歩行箇所はいよいよこの一箇所(50メートル程)になりました。
    雪が無くなると共に最後のロープ張り作業を行う箇所でもあります。

    第一~第二花畑間から見た緑岳の様子

    現在の見所は、何と言っても第二花畑~通称「ガレ場」にかけてのアオノツガザクラ群落。
    つい先日までは雪の下だったこの場所ですが、気が付けば満開の花畑があちらこちらに広がっています。
    花たちも秋の気配を感じているのか、「早く花を咲かさねば」と言わんばかりに一斉に開花し始めました。

     アオノツガザクラ群落

    アオノツガザクラ

    アオノツガザクラ

    山頂付近では、実りの秋真っ盛りです。

    クロマメノキの実

    クロマメノキの実

    ガンコウランの実

    ガンコウランの実

    紅葉が始まったウラシマツツジ

    紅葉が始まったウラシマツツジ

    注:これらはシマリスなどの貴重な食料にもなりますので、くれぐれも採って食べたりすることのないようお願いします。(エキノコックスに感染する可能性もあります)

    そして緑岳に来られる皆さんにもう一つお願いがあります。
    山頂直下の急登箇所での歩行の際、本来のルートを外れショートカットして歩いている方が多く見られます。
    特に下山時は足元ばかりを見てしまい、いつの間にかルートを間違えてしまうということもあるかと思いますが、
    黄色のマーキングを見落とさないようにして、本来のルートを歩いていただけますようお願いします。
    ルートを外れることは植生を踏み荒らすだけでなく、この箇所は岩も多いため、落石にもつながりかねません。

    下の写真の赤部分が本来のルート、青がショートカットされて踏み跡が出来てしまっているルート。

    赤部分が本来のルート、青がショートカットされて踏み跡が出来てしまっているルート

    暫定的にピンクテープを張り、本ルートへ誘導するようにしました。

    暫定的にピンクテープを張り、本ルートへ誘導するようにしました。

    現在の緑岳山頂から見た白雲岳です。
    ちなみに右は8月3日の写真。2枚を比べてみると、徐々にではありますが確実に積雪は減っています。

    8月26日の白雲岳 8月3日の白雲岳

    【お知らせ】
    今月中旬より、GSSのパトロール事務所がある黒岳7合目・銀泉台・高原温泉の3ヶ所で、GSSがパトロールしながら集めた黒岳・赤岳・緑岳情報満載の「山情報ポスター」を始めました!

    山情報ポスター 事務所内

    ポスターは国有林看板や事務所のドアなどに貼ってあります。登山の前後に、ぜひご覧になってください。

    事務所前には、GSSが撮影した写真満載の「○○岳はいま!」ファイルも置いています。

    こちらもぜひご覧くださいね。

    2013年8月11日(日曜日) 

    緑岳(高原温泉事務所~1700m平場上部)

    緑岳の情報です。

    現在残っている雪渓歩行箇所は3ヶ所を残すのみとなりました。

    踏み跡が多く残っているので迷うことはないと思いますが、引き続き雪渓の端部分などは踏み抜きやすいため十分注意してください。

    また、我々GSSも出来るだけロープやデポ旗などで本ルートへの誘導を行っていますが、雪渓から夏道へ入る際などは植生を踏まないよう配慮をお願いしたいと思います。

    第1~第2花畑間の雪渓の様子です。気温の低い朝などは非常に滑りやすい事もあります。

    第1~第2花畑間の雪渓の様子

    花の開花状況です。

    第1花畑:チングルマ、エゾコザクラ、エゾノツガザクラ、ミネズオウなど
    第2花畑:チングルマ、アオノツガザクラなどほぼ満開
    1700m付近:ミヤマサワアザミ、トカチフウロ、コモチミミコウモリ、など

    写真は1700m付近で、ミヤマサワアザミと石狩岳、コモチミミコウモリ

    ミヤマサワアザミと石狩岳

    コモチミミコウモリ 

    1700mの平場付近において明らかに人為的と思われるナナカマドを折った痕がありました。

    明らかに歩行の支障となるような木に関しては我々も適宜処理しておりますので、安易に樹木の伐採などはしないようにお願いします。

    人為的と思われるナナカマドを折った痕  

    1700m平場~緑岳山頂にかけてはダイセツタカネフキバッタをよく見かけるようになりました。(写真はメス)
    これからの時期は男女ペアの個体もしばしば見かけるようになります。
    また、この日は第1花畑では親子のエゾシカが見られました。

    ダイセツタカネフキバッタ

    エゾシカの親子

    親子で食べ物をむさぼる光景は「愛くるしい」の一言ですが、反面、高山植物が多く食い荒らされてしまうということを考えると少し複雑な気分にもなります。

    【再注意!】

    以前もお知らせいたしましたが、高原温泉までの町道は道幅が狭く、道路脇に側溝もあるため、脱輪して救助を呼ぶ車が8月に入っても多く見られます。

    この近辺は携帯電話も圏外となりますので簡単に救助を呼ぶ事が出来ません。

    走行する際は最徐行をお願い致します。 

    赤岳(第二花園下&コマクサ平上部)

    こちら赤岳チーム。
    背負子(しょいこ)背負って向かう先は……

    背負子(しょいこ)背負って向かう先は 背負子(しょいこ)背負って向かう先は 

    第二花園の手前です。

    このとおり、雪渓の雪解け水と雨水で、歩道が川のようになってしまっています。

    コマクサ平の上部の歩道も同じ状態です。

    第二花園の手前

    歩道がこのような状態だと、登山客は足元が濡れるのを避けるためにどうしても歩道の外を歩いてしまいます。

    結果、植生が踏まれて写真のように植生が消失してしまうのです。

    植生が踏まれて写真のように植生が消失

    ということでここ最近の赤岳チームは、使い古した木道の丸太や板を運び、歩道上に簡易木道をつくっています。

    歩道上に簡易木道をつくっています 歩道上に簡易木道をつくっています

    とても重いので、1日に運ぶことができるのは一人一個。

    かなり地道な作業になりますが、植生の保全ため、今日もがんばります!

    繰り返しになりますが、登山の際は植生を踏まないよう意識をもって歩くようにしてくださいね。

    2013年8月3日(土曜日) 

    高原温泉(パトロール事務所~緑岳山頂)

    8月に入りこれまでの湿気の多い空気から「カラッ」とした空気に変わり、
    快適な山歩きが出来るようになりました。

    そんな中、この日は緑岳山頂までの巡視を行ってきました。

    例えば…

    トムラウシ山

    道東方面の阿寒富士

    斜里岳まで望む
    多くの登山者が憧れるトムラウシ山はもちろん
    道東方面の阿寒富士や、知床半島の付け根、斜里岳まで望む事が出来ます。

    写真には収められませんでしたが、この日はさらに遠くの知床連山まで眺める事が出来、
    シーズンを通しても数日もないと言って良いほどの貴重な日となりました。

    そして緑岳の雪解けの状況です。
    第二花畑から見た緑岳
    こちらは第二花畑から見た緑岳。

    あれだけあった積雪も雪解けが進み、チングルマやエゾコザクラ等が見頃になってきています。
    ぬかるみ箇所も少なくなり、快適に歩けるようになってきました。

    雪の下が空洞になっているところ
    所々に残っている残雪箇所ではこのように雪の下が空洞になっているところもあります。
    我々も雪割り作業などは随時行っていますが、踏み抜きには十分注意してください。

    ヨツバヒヨドリ ミヤマキンバイ
    ヨツバヒヨドリ(歩道入口周辺)やミヤマキンバイ

    ミヤマアキノキリンソウ
    ミヤマアキノキリンソウ(コガネギク)

    ナガバキタアザミとカラフトルリシジミ
    ナガバキタアザミとその蜜を吸うカラフトルリシジミ

    コケモモの実 クロウスゴ
    コケモモ(実)にクロウスゴ(実)(少しピンボケしました、スミマセン)

    等々、雪解けの早いところでは早くも実りの秋が始まっているところもあれば、
    第一・第二花畑はこれからが花の見頃を迎えます。

    避暑を求めてぜひ緑岳に足を運んでください。 ただし、天気の良い日は日差しがまだまだ強く、
    かなり暑く感じられることもありますので、熱中症、紫外線対策は万全にしてお越しください。

    最後に、
    ヒグマ出没注意
    このように看板にて注意喚起をしていますが、
    緑岳周辺でもヒグマの目撃情報が頻繁に寄せられています。

    入林前にパトロール事務所などで事前情報を入手すると共に、
    山の中で食事をする際は、
    食べカスなど周囲に散らかすことなどのないようにお願いいたします。

    2013年8月1日(木曜日) 

    赤岳(銀泉台)

    不安定な天候が続く大雪山ですが、
    7月13日の記事で2.5メートルの残雪があった第一花園も一部を残し随分と雪が融けました。

    赤岳の歩道で雪が残るのは第二花園、第三雪渓のみとなっています。

    ぬかるみ 第三雪渓
    第三雪渓は歩道が出てきているものの、下部の方は道がぬかるんでいて歩きにくいです。

    第三雪渓上部の見頃のチングルマ
    第三雪渓上部ではチングルマなどが咲きだし、花が見頃になってきています。

    ギンザンマシコ
    駒草平にて、ギンザンマシコ(♂)の姿をとらえました。
    メスを呼んでいるところのようです。

    ギンザンマシコにシマリスが近づいてきた
    ところが近づいてきたのはシマリスでした。
    シャッターチャンス!と思いきや、シマリスに逃げられました…残念。 

    緑岳(高原温泉)

    緑岳も赤岳と同じく雪融けが進み、残雪は少なくなっています。
    雪融けが進むと、GSSはロープ張りなどの歩道整備に追われます。

    第一花畑看板設置ロープ張り
    すっかり歩道が出た第一花畑では看板設置やロープ張りを行いました。

    第二花畑看板設置 植生が傷んでしまった入口にもロープを張り
    第二花畑でも看板設置やロープ張り。
    登山者のはみ出しにより植生が傷んでしまった入口にもしっかりロープを張りました。
    人とすれ違う時、休憩する時、写真を撮る時…歩道をはみ出さないよう注意してくださいね。

    ぬかるみがひどい歩道に石を置いて補修
    ぬかるみがひどい歩道には石を置いて補修。
    全体的に歩道はぬかるんでいる箇所が多いです。しっかりとした靴で歩きましょう。

    第二花畑上部の残雪 第二花畑上部の残雪
    だいぶ歩きやすくはなりましたが、残雪やぬかるみを歩くときはご注意ください。

    ヒグマの姿を発見
    またもやエイコノ沢付近にヒグマの姿を発見!
    7月7日に見られたヒグマと同じ個体でしょうか…? 

    ニセイカウシュッペ山

    約3週間ぶりにニセイカウシュッペ山の巡視にもいってきました。

    補修道具を背負って登山 曇り空のニセイカウシュッペ山
    補修道具を背負子(しょいこ)で背負って登ります。
    天候はあいにくの曇り空…。

    天候はイマイチでしたが、花は盛りを迎えています。

    ウズラバハクサンチドリ
    ウズラバハクサンチドリ

    エゾヒメクワガタ
    エゾヒメクワガタ

    トカチフウロ
    トカチフウロ

    クルマユリ
    クルマユリ

    山頂の強風で立っている事が困難!!
    山頂に到着したものの、この日は曇り空+強風!!!
    GSSもこのとおり、立っていられませんでした。

    天気が良ければ表大雪や天塩岳方面まで一望できるニセイカウシュッペ山。
    次こそはこのブログでニセイカウシュッペ山からの絶景をお届けしたいものです…

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