野幌森林再生プロジェクト
「野幌森林公園」(札幌市・江別市・北広島市)は、約2,000ヘクタール(約8割が国有林)にわたり広がる丘陵森林で、世界的にもあまり例のない大規模な都市近郊林として、年間30万人以上の市民に利用されています。
平成16年9月、この森林が台風により大きな風倒被害を受けました。北海道森林管理局では、当センターを中心として、市民と協働により風倒被害跡地を自然林に再生させる「野幌森林再生プロジェクト」を実施しています。
平成16年9月に発生した台風18号の被害直後
1.風倒被害と森林再生方向
平成16年台風18号による森林被害
風倒被害総面積 | 77ヘクタール(札幌ドームの約25倍) |
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内 訳 | 国有林 71ヘクタール(天然林23ヘクタール、人工林48ヘクタール) 道有林 6ヘクタール (人工林のみ) |
野幌森林再生検討会による再生方向の検討
北海道森林管理局では、隣接する道有林等を管理する北海道と連携し、学術者や地域関係者とともに、3回にわたって野幌森林
再生検討会を開催し、森林再生のあり方について検討を重ねました。
この結果、再生目標とする森林の姿を「風に強く百年前の原始性が感じられる自然林」とし、
1.天然林被害地は、被害が単木的・分散的であることから、自然の推移に委ねる
2.人工林被害は、人手をかけ、風に強く、百年前の原始性が感じられる自然林を再生させる
3.再生活動の実施にあたっては、市民参加を積極的にすすめる
ことを主な柱とする野幌プロジェクトの骨格を決定しまし。
野幌森林再生検討会の報告書(H17.9)
2.森林再生活動の現状
野幌森林再生検討会の成果に基づき、平成17年度から様々な森林再生活動を行っており、これまで実施してきた、
活動内容をご紹介します。
主な活動内容等
みんなで森林づくり(対象地3ha)
一般市民の皆さんや地元小学校の子供たちが気軽に参加できる森づくり活動としてスタートしました。
平成17~19年の3ヶ年は風倒被害跡地に郷土樹種の植栽を行い、その後は下刈作業等を実施してきました。
団体型森林づくり(対象地15ha)
NPO団体、大学、企業等といっしょに、風倒被害跡地に植栽、保育、生育調査等を継続的に行っています。
当センターでは、各作業における技術指導や森林整備の支援を行っています。
野幌森林づくり塾
森林づくりに係る作業を実際に体験しながら、森林との関わりを深め、将来的には自主的なボランティア活動の
展開につなげていくこととしています。
例年、動植物等の専門分野の先生を講師に招いた勉強会なども行っています。
各団体等の活動状況(イベント報告など)
3.自然環境モニタリング
学術経験者と連携して森林再生活動による自然環境を把握するためのモニタリング調査を実施し、平成19年3月、
「野幌自然環境モニタリング調査指針」を策定しました。
「野幌自然環境モニタリング調査指針」(平成20年3月一部変更版)の全文(PDF:587KB)
この指針に基づき、平成18年度より植生(植栽木を含む)、歩行性甲虫、菌類(木材腐朽菌)、野生動植物(中大型
哺乳類)の4種目についてモニタリング調査を実施してきました。
野幌自然環境モニタリング調査等資料
〇モニタリング調査(結果概要)
〇モニタリング調査(報告書)
〇野幌自然環境モニタリング検討会(配布資料及び議事概要)
〇フォーラム「野幌森林公園の今~10年間の動植物調査でわかったこと~」
4.プロジェクトの評価
野幌森林再生プロジェクトのより魅力的で着実な実行に資するため、地域関係者や学識者からなる野幌プロジェクトフォローアップ委員会での評価を踏まえ、プロジェクトでは100年前の原始性が感じられる自然林を目指した森林づくりに取り組んでいます。
「野幌プロジェクトフォローアップ委員会」(平成19~21年度)資料等
当センターでは、「野幌森林再生プロジェクト」のほか、平成30年9月に発生した台風20号による風倒被害箇所の一部を利用して、新たな森林再生に向けた取り組みを実施することとしています。
〔台風直後の被害状況〕 |
〔地拵え終了後(ドローンから撮影)〕 |
お問合せ先
石狩地域森林ふれあい推進センター
〒064-8537 札幌市中央区宮の森3条7丁目70番
Tel:011-622-5114