北海道・林野庁北海道森林管理局・北海道立総合研究機構
エゾシカによる天然林への影響評価【2023(R5)年】
経緯
エゾシカが森林に及ぼす影響は、人工林では調査対象を若齢林、高齢林などに限定すれば被害を評価しやすいものの、天然林は樹種や林齢等の構造が多様で面積も広大なため、評価が難しくなります。 天然林の広域的な調査には、多くの関係者が簡便かつ客観的に評価できる手法が望ましいことから、北海道森林管理局では、平成22年度から北海道内の国有林において、簡易チェックシートを用いたエゾシカによる天然林への影響評価手法について検討してきました。評価手法がおおむね確立されたことから、平成26年度からは国有林、民有林共に同じ手法で調査を実施して評価を行っています。
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調査内容
令和5年度は、天然林における調査結果1,179件(北海道森林管理局807件、北海道368件、北海道立総合研究機構林業試験場4件)を北海道立総合研究機構林業試験場がとりまとめ、データを点数化して、地理情報システムを用いて地図化しました注)。 簡易チェックシートの主な項目は、樹木の枝葉やササの食痕の有無、幹の角こすりや食痕の有無、調査地周辺における足跡やシカ道、糞などの痕跡の有無です。エゾシカの痕跡がない場合は0点、すべての食痕や痕跡などがみられた場合は100点となります。
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調査結果
予測スコアは周囲の調査地点のスコアから算出したもので、調査地点からの距離以外の条件(地形や植生など)は考慮されていませんが、おおむね全道の森林におけるエゾシカの影響が示されています。黄~赤の地域では、下層植生の衰退など強い影響が生じており、緑の地域でも後継樹の減少が生じていると考えられます。 近年はエゾシカの痕跡がみられる範囲が全道で拡大する一方、エゾシカの影響が累積した地域ではエゾシカが食べるような枝葉やササがない地点が多くなり、スコアが高くならない一因となっています。 2023年は全道各地でササが開花、枯死しており、今後、ササの食痕の状況が変化することが予想されます。 スコアの増減にはエゾシカの影響の変化と評価を担当する職員による評価のばらつきの両方を含んでおり、関係職員を対象とした研修会を実施するなど、より確かな評価に向けて取り組んでいます。
引き続き、これらの情報をエゾシカ捕獲などの被害対策に活用するほか、調査を継続して実施し、森林への影響をモニタリングしていきます。
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お問合せ先
計画保全部 保全課
ダイヤルイン:050-3160-6286
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