野付半島(のつけはんとう)生物群集保護林
1.設定目的
北海道東部の根室海峡に面し、ラムサール条約にも登録されている野付半島・野付湾特有の湿地や湿原、藻場などに見られる地域固有の生物群集を有する森林を保護・管理することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、湿地・湿原の保全、野生生物・遺伝資源の保護、森林施業・管理技術の発展、学術の研究等に資することを目的とする。
【左上】 保護林の遠景。典型的な砂嘴地形の上に発達した生態系であ る。 【右上】 遊歩道等も整備されている。 【左下】 森林植生はトドマツ、ミズナラが優先する。 |
2.設定の経緯
- 平成18(2006)年3月31日に、特別天然記念物のタンチョウや国内希少野生動植物種であり、天然記念物のオジロワシの生息地の保護を図り、併せて学術研究等に資するため「野付半島保護林」として設定された。
- 平成30(2018)年4月1日の保護林再編の中で、「野付半島生物群集保護林」として設定された。
参考
- 平成17(2005)年11月1日に、渡り鳥の集団渡来地として国指定鳥獣保護区(国有林の一部及び湖面は特別保護地区)に指定された。
- 野付湾と野付半島の国指定特別鳥獣保護地区(野付湾及び国有林の一部)は、藻場、塩性湿地、低層湿原、砂嘴等として、平成17(2005)年11月8日にラムサール条約に登録される。
3.所在地 (関係森林管理署)
- 野付郡 別海町 (根釧東部森林管理署)
4.面積
301.39 ha
5.位置図
6.現況
【植生現況】
- 草本類が優占する砂丘植生では、ウシノケグサが優占し、ハマナス、ハマニンニク、ススキが目立つ。
- 広葉樹林では、ミズナラ、ダケカンバが優占し、上層木の樹高は20m前後で、平均胸高直径は22.4cm となっている。
- 近年、ナナカマドを中心にエゾシカの食害が見られ枯損木も発生しているが、保護林(森林帯)への影響は軽微である。
【動物現況】
- 鳥類は、繁殖期に10 目20 科29 種を、越冬期に10 目16 科40 種、合計12 目24 科57 種が確認されている。
- 確認種のうち、着目すべき鳥類は、タンチョウ、オジロワシのほかマガン、コクガン、カンムリカイツブリ、ヒメウ、オオジシギ、アカアシシギ、ハマシギ、ミサゴ、チュウヒ、ハヤブサの8 科12 種。
- タンチョウは、平成27(2015)年度の繁殖期調査では複数のペアとヒナ(1羽)、若鳥(前年生れ)が確認された。
- オジロワシは、トドマツ立枯木で過年度巣が確認されたほか、電柱や消波ブロックに止まるオジロワシ成鳥が確認されている。
- 保護林内では、近年エゾシカの越冬地として利用される状況が確認されている。
7.法指定等
魚つき保安林、鳥獣保護区特別保護地区(ラムサール条約湿地 301.39ha)、道立自然公園第1種特別地域(野付風蓮道立自然公園 )
8.取り扱い方針
(1) 地帯区分は全域保存地区とし、基本的に人為を加えず、自然の推移に委ねるものとする。
(2) 今後も関係各機関と協力しつつ、保護対象種の生息・繁殖に伴う利用状況について情報を整理し、適正な維持管理を行っ
てゆく。
(3) 必要に応じて行うことができる行為
ア 学術の研究、自然観察教育、遺伝資源の利用その他公益上の事由により必要と認められる行為
イ 山火事の消火、大規模な林地崩壊・地すべり・噴火等の災害復旧及びこれらに係る予防的措置等、非常災害に際して必要
と認められる行為。
ウ 鳥獣・病害虫被害及び移入種対策として必要と認められる行為
エ 学術の研究、自然観察教育等のための軽微な施設の設置
オ 保全利用地区等における枯損木及び被害木の伐倒・搬出
カ 標識類の設置等
キ その他法令等の規定に基づき行うべき行為
お問合せ先
計画保全部計画課ダイヤルイン:050-3160-6283