植苗(うえなえ)ミズナラ希少個体群保護林
1.設定目的
石狩低地帯を代表するミズナラを主体とする広葉樹の生育に必要な森林を保護・管理することにより、当該野生生物個体群の持続性を向上させ、野生生物の保護、遺伝資源の保護、学術の研究等に資することを目的とする。
保護林内の林相と林床植生 |
||
中央の一段と高い木がオオワシの営巣木(H11時点) |
保護林の遠景 |
2.保護対象
ミズナラを主要とする広葉樹(特殊な立地条件の下に成立している個体群:湿地)
3.設定の経緯
- 平成9(1997)年3月25日に、「植苗オオワシ・オジロワシ生息地保護林」として設定された。
- 平成30(2018)年4月1日の保護林再編の中で、「植苗ミズナラ希少個体群保護林」として設定された。
4.所在地 (関係森林管理署)
- 苫小牧市 (胆振東部森林管理署)
5.面積
34.18 ha
6.位置図
7.現況
【植生現況】
- 高木層は、ミズナラ、シナノキ、ヤチダモ、ハルニレなどが見られ、樹高20~25m、胸高直径20~35cm程度である。
- 亜高木層以下には、シナノキ、ミズナラ、ノリウツギ、キタコブシなどが見られる。
- 林床はチシマザサが密生するほか、ミヤコザサ、スズタケが生息し、ミズナラ、エゾイタヤ等の実生が見られる。
【動物現況】
- 夏季調査ではキジバト、アカゲラ、ハシブトガラ、メジロ、アオジ、ヒヨドリ等の22 種、越冬期ではマガン、オオハクチョウ(ともに上空通過)、ハシブトガラ、コゲラ、キバシリ、ウソ、ツグミ、ベニヒワ等の21 種、合計5 目17 科34 種の鳥類が確認されている。
- 重要種として、越冬期にマガンの飛翔が確認されたほか、調査実施時以外でオジロワシ、オオワシの飛翔が確認されている。 ※平成21(2009)年度調査ではオオタカ、エゾフクロウが確認された。
- 調査範囲において、オオワシ・オジロワシの繁殖及び営巣の確認はなかったが、聞き取り調査の結果、近年は越冬期のねぐらとしての利用は確認されていないが、飛来はしているので、利用する可能性が高いと考えられる。
- 近隣のゴルフ場は猛禽類の狩場として利用されている可能性があると考えられる。
8.法指定等
防風保安林、都市計画区域
9.取り扱い方針
(1) 基本的に人為を加えず、自然推移に委ねるものとする
(2) 個体群の状況に応じた取扱い
ア 目的とする個体群の保護・増殖に必要な森林施業は可能とする
イ 一時的な裸地の出現等、遷移過程におけるかく乱が対象個体群の持続的な生育・生息に不可欠な場合には、必要な森林
施業を行うことにより、人為による環境創出等を行うことができる
(3) 必要に応じて行うことができる行為
ア 学術の研究、自然観察教育、遺伝資源の利用その他公益上の事由により必要と認められる行為
イ 山火事の消火、大規模な林地崩壊・地すべり・噴火等の災害復旧及びこれらに係る予防的措置等、非常災害に際して必要
と認められる行為
ウ 鳥獣・病害虫被害及び移入種対策として必要と認められる行為
エ 学術の研究、自然観察教育等のための軽微な施設の設置
オ 標識類の設置等
カ その他法令等の規定に基づき行うべき行為
お問合せ先
計画保全部計画課ダイヤルイン:050-3160-6283