無意根山周辺（むいねやましゅうへん）生物群集保護林

1．設定目的

  石狩・後志地域に跨る無意根山周辺の、北海道を代表する植物の垂直分布（トドマツ・エゾマツ林、ダケカンバ帯、ハイマツ帯へと垂直的に移行）に見られる地域固有の生物群集を有する森林を保護・管理することにより、森林生態系からなる自然環境の維持、野生生物・遺伝資源の保護、森林施業・管理技術の発展、学術の研究等に資することを目的とする。

保護林の遠景		保護林の近景。手前の湿原にワタスゲが開花している。
森林、湿原など多様な植生が見られる		保護林内のエゾマツ群生地 (旧林木遺伝資源保存林)

2.設定の経緯

• 平成13(2001)年4月1日に、「無意根山周辺植物群落保護林」として設定された。
  
• 平成30(2018)年4月1日の保護林再編の中で、隣接する「函館エゾマツ3林木遺伝資源保存林(昭和62(1987)年4月1日設定)」を統合し、無意根山周辺に見られる地域固有の生物群集の一体的な保護・管理を行うため、「生物群集保護林」として設定された。
  

3．所在地 （関係森林管理署）

• 札幌市 （石狩森林管理署）
• 虻田郡 京極町 （後志森林管理署）

4．面積

  2,047.00 ha

5．位置図

6．現況

 【植生現況】

• 無意根山～長尾山につながる稜線に跨がり、稜線一帯には高山性草原、高山性低木林(林地外)が分布する。
  
• 無意根山頂上付近(標高1,450m付近)のハイマツ帯では、低木層に樹高1.0～1.5m位のハイマツが優占し、下層にイソツツジ、キバナシャクナゲ、コケモモなどが見られる。
  
• 標高1,250m付近の広葉樹林は、樹高10m前後のダケカンバ疎林が広く分布し、低木～亜高木層には背の低いミヤマハンノキが優占する。
  
• 標高1,040m付近の広葉樹林ではダケカンバが優占し、樹高17～25m程度、平均胸高直径18.5cmとなっている。
  
• 標高690m付近のアカエゾマツが優占する針葉樹林では、樹高15～27m程度、平均胸高直径は30.9cmで、林床はチシマザサが密生する。
  
• 南側の支笏・無意根緑の回廊や周辺森林とは、おおむね天然生林で接続する。
  

 【動物現況】

• 北海道RL2016では、エゾヒグマ積丹・恵庭（石狩西部）個体群が絶滅の恐れのある地域個体群（Lp）に指定されている。

7．法指定等

水源かん養保安林、保健保安林、すぐれた自然地域、国立公園第1種特別地域、国立公園普通地域(支笏洞爺国立公園)

8．取り扱い方針

(1) 地帯区分は、全域保存地区とし、原則として人手を加えずに自然の推移に委ねることとする。
(2) 無意根山に設置される管理歩道については、適宜巡視等を実施し、適正な利用の啓発及び植生荒廃等の拡大防止に努め
    る。
(3) 必要に応じて行うことができる行為
  ア 学術の研究、自然観察教育、遺伝資源の利用その他公益上の事由により必要と認められる行為
  イ 山火事の消火、大規模な林地崩壊・地すべり・噴火等の災害復旧及びこれらに係る予防的措置等、非常災害に際して必要
    と認められる行為。
  ウ 鳥獣・病害虫被害及び移入種対策として必要と認められる行為
  エ 学術の研究、自然観察教育等のための軽微な施設の設置
  オ 保全利用地区等における枯損木及び被害木の伐倒・搬出
  カ 標識類の設置等
  キ その他法令等の規定に基づき行うべき行為