シマフクロウ希少個体群保護林
1.設定目的
シマフクロウのつがいの、安定的な生息に必要な森林を保護・管理することにより、当該野生生物個体群の持続性を向上させ、野生生物の保護、遺伝資源の保護、学術の研究等に資することを目的とする。
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寝起きのシマフクロウ(成鳥) |
シマフクロウのヒナ |
2.保護対象
シマフクロウ(希少化している個体群)
3.設定の経緯
- 平成7(1995)年4月~平成18(2006)年4月までに、9地区設定された。
- 平成30(2018)年4月1日の保護林再編の中で、「シマフクロウ希少個体群保護林」として設定された。
4.面積
9,180.31 ha (9地区合計)
5.現況
【保護林の所在地】
シマフクロウ保護林は、つがいの生息地であることから、立ち入りによる生息及び繁殖への悪影響を極力排除することが必要であり、シマフクロウ保護増殖事業を着実に推進する観点から所在地の公表はしていません。
【シマフクロウとは】
- フクロウ目 フクロウ科 シマフクロウ (学名:Ketupa blakistoni blakistoni アイヌ語:コタンコロカムイ)
- 成鳥の全長は70cm程度、両翼を広げると180cm前後になる世界最大級のフクロウ。
- 魚類を主食とするほかカエルやヘビを捕食するため、河川や湖沼周辺の森林に生息し、広葉樹の大木の樹洞に営巣する。
- 環境省第4次レッドリストでは、絶滅危惧種1A類(CR)に位置づけられている。
- 国内では、北海道と北方領土に分布しており、北海道では主に道東地域で生息が確認され、生息数はおおよそ165羽(平成30(2018)年3月時点)と推定されている。
【保護増殖事業】
- 平成5(1993)年11月にシマフクロウ保護増殖事業計画を農林水産省と環境省が策定。
- 平成25年(2013)年3月にシマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画を北海道森林管理局と北海道地方環境事務所が共同策定。シマフクロウ生息地拡大に向けた環境整備計画(PDF : 400KB)
- 平成30(2018)年3月時点の生息数は165羽と推定されており、事業開始時の生息数から漸増へ転じている。
8.法指定等
- 文化財保護法による国指定史跡名勝天然記念物
- 「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存法に関する法律」による国内希少野生動植物種
- 環境省第4次レッドリスト(絶滅のおそれのある野生生物の種のリスト)(環境省 2012年8月) 絶滅危惧1A類(CR)
- 「北海道レッドデータブック」(北海道環境生活部環境室自然環境課 2001年) 絶滅危機種(Cr)
9.取り扱い方針
(1) 基本的に保護林内の天然林については施業は行わず、自然推移に委ねることとする
(2) 個体群の状況に応じた取扱い
ア 目的とする個体群の保護・増殖に必要な森林施業は可能とする
イ 一時的な裸地の出現等、遷移過程におけるかく乱が対象個体群の持続的な生育・生息に不可欠な場合には、必要な森林
施業を行うことにより、人為による環境創出等を行うことができる。また、生息環境整備のための森林施業等は実施可能と
し、人工林等については将来的には周辺と同等の天然林に誘導することを目標とする。
(3) 必要に応じて行うことができる行為
ア 学術の研究、自然観察教育、遺伝資源の利用その他公益上の事由により必要と認められる行為
イ 山火事の消火、大規模な林地崩壊・地すべり・噴火等の災害復旧及びこれらに係る予防的措置等、非常災害に際して必要
と認められる行為
ウ 鳥獣・病害虫被害及び移入種対策として必要と認められる行為
エ 学術の研究、自然観察教育等のための軽微な施設の設置
オ 標識類の設置等
カ その他法令等の規定に基づき行うべき行為
(4) 今後も有識者や関係各機関と協力しつつ、対象個体群の生息・繁殖に伴う森林の利用状況について情報を整理し、適正な
森林の維持管理を行ってゆく。
お問合せ先
計画保全部計画課ダイヤルイン:050-3160-6283