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北海道森林管理局

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     民国3者が協力~平成26年度 技術開発成果発表会を開催(平成26年10月27日)

    森林技術・支援センターでは、独立行政法人 森林総合研究所 北海道支所と共同で技術開発を行っています。

    また、地方独立行政法人北海道立総合研究機構(林産試験場及び林業試験場)とも情報交換等を通じ連携した取組を進めています。

    10月27日(月曜日)、北海道立林産試験場(旭川市)において、この3者の共催で「平成26年度技術開発成果発表会」を開催しました。

    この発表会は、各機関が取り組んできた技術開発課題の成果について、民有林への情報提供と普及、民有林・国有林の意見交換を行うことを目的に行ったもので、関係者約60名が参加しました。

    この発表会は、各機関が取り組んできた技術開発課題の成果について、民有林への情報提供と普及、民有林・国有林の意見交換を行うことを目的に行ったもので、関係者約60名が参加しました。

     

    基調講演「路網と低コスト作業システムについて」  森林総合研究所 北海道支所 佐々木 産学官連携推進調整監

    低コストで安全と環境に配慮し、かつ生産性の向上に繋がる路網と作業システムの構築について、海外や日本各地の事例紹介、地域の事情にあった作業技術の構築の必要性などについて、話題提供がありました。

     

    成果発表(1)「天然林での樹種の多様化を図る更新方法の開発」  森林総合研究所 北海道支所 倉本 主任研究員 

    天然更新補助作業として、従来から行われているレーキ付きブルドーザーやバックホウによる大面積かき起こしではカンバ一斉林になることが多いが、カンバ以外の樹種を天然更新させる方法に次のようなものがあるとして、報告がありました。

    • 周囲に木がある場所でササだけを小面積で地はぎする
    • 人工的に立木の伐根をひっくり返す、人工根返しをする 

    この方法を行った結果、天然更新した樹種の多様化が図られているとのことです。

    また、伐採作業終了後すぐ、使用したバックホウなどの機械を撤収する前に、これらの機械を使ってこの作業を行えば効率が良く更新が図られるとの説明もあり、今後の天然更新補助作業の一方策として期待ができると感じました。 

     

    成果発表(2)「北海道でのコンテナ苗成長状況の考察」 森林技術・支援センター 友田 森林技術専門官 

    当センターからは、森林技術専門官の友田が発表を行いました。

    当センターでは、上川北部森林管理署の朝日国有林(士別市)にコンテナ苗植栽試験地を設置し、北海道においてコンテナ苗が有効な造林技術になりえるかを検証するため、森林総合研究所北海道支所と共同で技術開発試験を行っています。

    その結果として次のようなことが分かってきています。

    • 植栽の功程では裸苗(一般的な苗木)よりもコンテナ苗の方が効率的
    • 植栽後3年間の成長調査から特にカラマツコンテナ苗の成長が良く下刈の省力化によるコスト低減が期待出来る
    • コンテナ苗木の使用のみではコスト低減は、裸苗よりもコンテナ苗が高価であり、その価格差から厳しい状況である
    • コスト低減の工夫として、裸苗よりも(1)活着率が高いコンテナ苗の特徴を活かした疎植(植栽本数の減)、(2)植付適期が広いことを活かした伐採と植付一貫作業を行うことで実用に至れる

    コンテナ苗については導入からまだ期間を経ていないことから今後も継続して成長経過などを見ていく必要があるのと同時に北海道各地の国有林のコンテナ苗の成長状況についても今後、情報提供していきたいと考えている旨説明を行いました。

    成果発表②「北海道でのコンテナ苗成長状況の考察」 森林技術・支援センター 友田 森林技術専門官

     

    成果発表(3)「カラマツコンテナ苗木の育苗方法」 北海道立林業試験場 来田 研究主幹 

    既存のカラマツのコンテナ苗木の生産方法では育苗に3年を要しているが、現在それを1年に短縮する研究を行っており、次のような報告がありました。

    • 春にカラマツの種をコンテナに直接播種し、秋に山出しして造林できるようにするのが目標
    • 播種は3月に行うと生存率が低下するので4月が良い
    • コンテナトレイは120CCサイズでは地上部が過密で成長が低下するので150CCサイズ以上が良い
    • 現在の結果では、4月の播種で苗長30~35cmの目標サイズに達成可能
    • 山出しのための馴化方法(時期・手法・施肥)の改善、崩れにくい根鉢の形成、運搬、植栽方法改善が今後の課題

     

    成果発表(4)「美しい乾燥技術コアドライについて」  北海道立林産試験場 近藤 主査

    カラマツの持つ特徴(欠点)として、ねじれ・くるいやすい、乾燥が難しいなどがあり、カラマツ材特有の材質を克服するためには、新たな乾燥技術による解決が不可欠でその新たな乾燥技術が「コアドライ」という方法で、次のような報告がありました。

    • 従来の乾燥方法に比べ木材内部の水分分布を均等化でき、施工後の水分変化が少なくなるため、柱のねじれ、くるいが抑えられること。
    • 従来の乾燥方法だと木材の割れ(表面割れ・内部割れ)が生じたが、内部まで十分乾燥させる新技術により、それらを抑えることで安心してプレカット加工が行うことができる木材となる
    • カラマツ心持ち柱材(綺麗で美しい柱正角材)の生産技術を特許出願、商標登録、ブランド形成を展開している
    • 厳格な検査に合格したものにしか名乗らせない「夕張メロンの商標」のようなブランド形成を参考としつつ、北海道ブランドの確立とコアドライの浸透を図っていきたい 

     成果発表④「美しい乾燥技術コアドライについて」  北海道立林産試験場 近藤 主査

    民国3者の連携で有意義な発表会に

    各報告には参加者が熱心に耳を傾け、また活発な質疑応答が行われるなど、大変有意義なものとなりました。

    発表終了後には、林産試験場の研究棟の視察を行い、試験場の説明員の案内で、木材の強度を増すための試験、旭川駅の駅舎に使用されるタモの不燃木材の開発、食料となるきのこの新たな品種開発、木育施設(コロポックル)などを回って見せていただくことができました。

    参加者のみなさんからは今回の4者が連携した発表会はとても興味深く良かったとの話が聞かれ、また、共催者である道立林産試験場からも今後もこのような機会を作っていきたいとのお話もいただくことができました。

    森林技術・支援センターでは、引き続き民有林と国有林の連携を図り、民有林への技術支援・情報提供に努めていきたいと考えています。

    民国3者の連携で有意義な発表会に

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    お問合せ先

    森林技術・支援センター

    〒095-0015
    北海道士別市東5条6丁目
    TEL 0165-23-2161
    TEL 050-3160-5755(IP)

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