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北海道森林管理局

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    令和元年度技術開発成果発表会を開催(令和元年10月30日)

    森林・林業における研究成果を広く知っていただくため、技術開発成果発表会を森林総合研究所北海道支所・林木育種センター北海道育種場、北海道立総合研究機構森林研究本部(林業試験場・林産試験場)、森林技術・支援センターの共催で、10月30日に旭川市大雪クリスタルホールにて開催しました。


    当日は林業事業体、市町村の林務担当職員などの民有林関係者の他、国有林職員を含め約100名の参加がありました。


    発表では、最初に道総研林業試験場の渡辺主任主査より「根株粉砕機能を有した造林作業機械の開発」と題して、北海道の林業従事者は総体的には微増し年齢構成面では若返りの傾向が見られる一方で、造林事業については従事者が減少し高齢化の懸念があることから、造林作業の軽労化を図るとともに作業自体の魅力を高めるために、造林作業の機械化を進める必要があり、小型で小回りが利き、根株粉砕機能が付加された自走式刈払い機が開発されたことから、その性能と林地適用性の検討結果についての報告がありました。

    造林事業における作業機械の開発は、待ったなしの状況であり、今回紹介された機械は、
    小型で小回りが利き、アタッチメントの交換で地拵、苗木運搬、下刈りとマルチな機能を有するメリットから、幅広い作業に活用できる技術であり、植え付け作業への対応等、更なる技術開発を進め、早急に普及していくことが望まれます。
    渡辺主任主査
    渡辺主任主査


    森林総合研究所林木育種センター北海道育種場の花岡育種研究室長からは、「グイマツ雑種F₁を判別する新しいDNA鑑定手法の開発」と題して、カラマツ、グイマツ及びグイマツ雑種F₁は苗木等の若齢期に形態形質のみから見分けることが困難な場合が多々ある中、実験材料の確認や遺伝資源管理など「種」について慎重な確認を要する場面は多く、種判別に利用可能な客観的かつ精度の高い一つの手法としてDNA鑑定が考えられますが、従来の手法より少ない実験操作かつ短時間で実施可能な新しいDNA鑑定手法の開発について紹介がありました。

    「種」の判別を短時間でより正確に同定する手法として早急に実用化し、民有林関係者や研究機関等に対し早急に普及していくことが望まれます。
    花岡育種研究室長
    花岡育種研究室長


    森林総合研究所北海道支所の山口森林健全性評価担当チーム長からは「林業機械の林内走行によるトドマツ地表部根系損傷リスクの評価~林業機械作業による根系損傷の回避を目指して~」と題して、北海道では車両系林業機械が林内を直接走行して短幹伐出を行う作業システムが広く普及しつつあり生産性向上や安全性改善に効果を上げていますが、林業機械の林地内走行は周辺立木の側根損傷を生じ腐朽につながる恐れがあり、特にトドマツは傷から腐朽が侵入しやすいとされていることから、林業機械の地上走行に伴う損傷・腐朽被害の回避を目指して行ってきた調査研究の概要について紹介がありました。

    トドマツの腐朽は、間伐後のトドマツ人工林に非常に多く発生している印象があり、非常に興味深く、今後のトドマツ人工林施業のうち、特に間伐作業に重要な示唆を与える内容でした。
    山口森林健全性評価担当チーム長
    山口森林健全性評価担当チーム長


    道総研林産試験場の宜寿次主任主査からは「北海道でのマツタケ山づくりを目指して~寒冷地に適応した菌根苗の開発~」と題して、北海道のマツタケはマツ科のハイマツやアカエゾマツ、トドマツの林地に発生しますが、林地栽培を目指した発生林の整備などは行われていないことから、北海道でのマツタケ林地栽培「マツタケ山づくり」に向けた取り組みの第一ステップとして、アカエゾマツ等北方系マツ類を用いたマツタケ菌根苗の育成技術の開発について紹介がありました。

    北海道産のマツタケが市場に流通しているのは興味深く、北海道での林地栽培に向け、実用化するための更なる技術開発を進め、早急に普及していくことが望まれます。
    宜寿次主任主査
    宜寿次主任主査


    当センターからは山嵜森林技術専門官より「多様な森林づくりのための天然更新技術について~これまでの技術開発成果から~」と題して、北海道森林管理局では人工林が充実し主伐期を迎えつつある中で、天然更新技術の活用や針広混交林への誘導など多様な森づくりを推進していますが、人工林の中には天然力により、広葉樹が混交している林分も多く見られることなどから、天然力を活用して針広混交林へ誘導する森林づくりの施業技術として活用可能な地がきを組み合わせた天然更新技術の事例について紹介を行いました。

    特にカラマツの天然更新の技術成果については、今後の方向として質疑の内容にもありましたが、野鼠対策を含めた保育技術の開発を行っていく予定としています。
    山嵜森林技術専門官
    山嵜森林技術専門官


    参加者からのアンケートでは、「林業労働者として人力に頼っている造林作業の機械化について関心がある」「今後は天然更新した後の施業(保育等)について検討してほしい」
    「幅広い分野の成果を聞くことができて、大変勉強になった」などの感想を頂きました。

    今後も、関係機関と連携し、森林づくりに係わっている方々に対して、参考となる技術情報等について、発表会等を通じて発信して行きたいと考えています。







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    お問合せ先

    森林技術・支援センター

    〒095-0015
    北海道士別市東5条6丁目
    TEL 0165-23-2161
    TEL 050-3160-5755(IP)

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