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林野庁

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よくある質問

森林の地球温暖化防止機能について

Q1 森林吸収量はどのように算定するのですか
Q2 所有している山林の森林吸収量は算定できますか
Q3 樹木は二酸化炭素を排出もしているというのは本当ですか

気候変動枠組条約に基づく森林吸収量の算定対象について

Q4 新規植林(Afforestation)とは何ですか
Q5 再植林(Reforestation)とは何ですか
Q6 森林減少(Deforestation)とは何ですか
Q7 森林経営(Forest Management)とは何ですか
Q8 気候変動枠組条約に基づく森林吸収量はどのように算定するのですか
Q9 森林経営が行われている森林はどのように調べているのですか

森林吸収源対策について

Q10 間伐をすると吸収量が増加するのですか
Q11 吸収源対策として森林整備がなぜ重要なのですか
Q12 HWP(伐採木材製品)の算定ルールが適用される木材製品とは具体的に何ですか
Q13 HWPの利用がなぜ地球温暖化対策になるのですか

パリ協定について

Q14 パリ協定の実施指針とは具体的にどのようなものですか


森林の地球温暖化防止機能について

Q1 森林吸収量はどのように算定するのですか

 A1

我が国は2,500万ヘクタールもの広大な面積の森林を有しており、森林による二酸化炭素の吸収・蓄積量を直接調べることは困難です。このため、森林吸収量は次の計算方法を使って推定しています。

吸収量(炭素トン/年)=幹の体積の増加量(m3/年)×拡大係数×(1+地上部・地下部比)×容積密度(トン/m3)×炭素含有率

幹の体積(幹材積と言います)については、全国の森林すべてを直接調べることはできないので、樹木の種類と林齢から平均的な幹材積を調べることができる「収穫表」を利用して計算しています。この収穫表を元に、1年間に幹材積が増加した分を把握します。

ところで、樹木は幹だけでなく、枝・葉・根の部分も炭素を蓄えています。そこで、幹材積の増加量に拡大係数をかけて枝・葉の量も加え、地上部全体の量を把握します。さらに、地下部の量、すなわち根の部分も加えるため(1+地上部・地下部比)をかけます。このようにして、樹木の幹のみならず枝・葉・根も含めた樹木全体の増加量(体積)が把握されます。

次に、炭素の量は重量で把握するため、体積から重量に変換するための容積密度をかけます。

最後に、樹木の重量あたりどれぐらいの炭素を含んでいるのかを出すため、炭素含有率をかけます。

なお、拡大係数や地上部・地下部の比率、容積密度は樹種によって異なっています。詳細は次表のとおりとなります。

NIR
BEF:拡大係数 地上部バイオマス(幹・枝・葉)と幹バイオマスとの比率
林齢が20年生以下の場合は「≦20」、21年生以上の場合は「>20」を使用
R:地上部バイオマスに対する地下部バイオマス(根)の比率
D:容積密度(トン/m3)

36~40年生のスギの炭素蓄積量・吸収量の求め方注1

36~40年生スギの幹材積注2=337m3/ha

→337×1.23×1.25×0.314×0.51=83トン/ha

31~35年生スギの幹材積=289 m3/ha

→289×1.23×1.25×0.314×0.51=71トン /ha

 

  1ha当たり 1本当たり 注3
  炭素蓄積量 年間吸収量 炭素蓄積量 年間吸収量   
36~40年生 83トン

(83-71)÷5年
=2.4トン

83キロ

(83-71)÷5年
=2.4キロ

31~35年生 71トン 71キロ

 

注1本来は、同じ森林の2時点の炭素蓄積量の差から年間吸収量を算定するもで、例示している数字はあくまでも目安としてください。
注2材積は、林野庁「森林資源現況調査」(平成4年3月31日現在)の全国累計を用いて算出。
注31ヘクタールあたり1,000本の立木があると仮定。
36~40年生のスギの木が1年間に吸収した二酸化炭素量に換算するには、上記の数値に44/12(二酸化炭素の分子量/炭素の分子量)を乗じれば換算できます。
1ha当たり:2.4トン×(44/12)=8.8CO2トン
1本当たり:2.4キロ×(44/12)=8.8CO2キロ

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所のHP もご覧ください。)

 Q2 所有している山林の森林吸収量は算定できますか

A2

Q1の算定方法に準じて、幹の直径や木の高さ(樹高)、混み具合(1ヘクタール当たりの本数)などの情報を基にして、吸収量を推定する方法が考えられます。

具体的には、林内にあるすべての樹木の胸高直径と樹高を測定し、これを基にそれぞれの樹木の幹材積を推定して、2つの時点の間の増加量を推定すれば、Q1の計算式を使って吸収量の推定を行うことができます。スギやヒノキの人工造林地のように、樹種と林齢が揃っている森林であれば、「収穫表」を利用することが可能です。

おおまかな吸収量の目安としては、地域や樹種によって異なりますが、スギであれば1年間にヘクタール当たり1~3炭素トン程度、広葉樹であれば1年間にヘクタール当たり1炭素トン前後だと考えられます。

国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所のHPもご覧ください。)

注樹木は根本付近では不規則な形になっていることが多いので、直径は胸の高さ(地上1.2m)で測定します。この直径のことを胸高直径といいます。

 Q3 樹木は二酸化炭素を排出もしているというのは本当ですか

 A3

樹木も含め植物は、光合成により二酸化炭素を吸収し酸素を放出する一方で、私たち人間と同じように生きていくための呼吸もしていているので、酸素を吸収し二酸化炭素を放出しています。ただし、光合成により吸収する二酸化炭素量は呼吸から出る二酸化炭素量よりも多いので、差し引きすると樹木は二酸化炭素を吸収していることになります。成長期の若い森林では、樹木は二酸化炭素を旺盛に吸収して成長します。これに対して、成熟した森林になると、吸収量と呼吸量の差が次第に小さくなり、差し引きの吸収能力は低下していきます。
吸収・排出量

(Tatuo KIRA Tsunahide SHIDEI,1967.PRIMARY PRODUCTION AND TURNOVER OF ORGANIC MATTER IN DIFFERENT FOREST ECOSYSTEM OF THE WESTERN PACIFIC 日本生態学誌Vol.17,70-87を元に林野庁で作成) 

気候変動枠組条約に基づく森林吸収量の算定対象について

気候変動枠組条約に基づく我が国の森林吸収量については、パリ協定下(2020年以降)もこれまでの気候変動枠組条約や京都議定書の下で使用してきた方法を用いて、国際ガイドラインに基づいた科学的な方法により算定を行っています。

Q4 新規植林(Afforestation)とは何ですか

 A4

新規植林とは、過去50年間森林ではなかった土地に植林することです。 

Q5 再植林(Reforestation)とは何ですか

 A5

再植林とは、1989年12月31日より前の時点において森林であったものの、同日時点では森林ではなかった土地に植林することです。 

Q6 森林減少(Deforestation)とは何ですか

 A6

森林減少とは、1989年12月31日時点で森林だった土地を、1990年1月1日以降に他の土地利用に転用することです。 

Q7 森林経営(Forest Management)とは何ですか

 A7

森林経営とは、1989年12月31日時点で森林だった土地で、1990年1月1日以降にその森林を適切な状態に保つために人為的な活動(林齢に応じた森林の整備や保全など)を行うことをいいます。

 Q8 気候変動枠組条約に基づく森林吸収量はどのように算定するのですか

 A8

我が国の森林全体の吸収量は、Q1に述べた方法で算定されますが、京都議定書に基づき森林吸収量として報告するためには、この吸収量のうち森林経営が行われている森林に由来する量を特定しなければなりません。森林経営対象森林の森林吸収量だけを直接計算することはできませんので、基本的には、森林経営対象森林が占める面積割合を全森林の吸収量に掛けることによって計算しています。 

 Q9 森林経営が行われている森林はどのように調べているのですか

 A9

育成林については、森林を適切な状態に保つための人為的な活動に関して、1990年1月1日以降の履歴を調べる必要があります。しかし、毎年、全国の森林すべてで確認することはできません。

このため、すべての森林を調べる代わりに、全国の森林からいくつかの森林を無作為に抽出して調査し、それらの森林のうちで森林経営の対象となる森林がどのくらいの割合を占めるかを毎年調べています。統計学上、十分な数の森林を調べれば、正確な割合に近い数値が得られますので、全国の森林吸収量の推定が可能となります。 

天然生林については、保安林など保護・保全されている森林を帳簿上で特定することができますので、これらの面積をもとに森林経営対象森林の面積を計算しています。

 

森林吸収源対策について

Q10 間伐をすると吸収量が増加するのですか

 A10

独立行政法人森林総合研究所(現在の国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所)で行われた研究によると、過去に間伐された森林とまったく間伐しなかった森林を同じ林齢で比較した場合、間伐した森林では、林内に残ってさらに成長を続けた樹木と間伐された樹木を合わせた森林バイオマス(幹、枝葉、根の合計重量)が、間伐しなかった森林の樹木の森林バイオマスより多い傾向があったとの報告があります。このことから、最終的な吸収量は間伐をして間伐材を生産した方がより大きくなると考えられます。

(間伐した樹木に貯蔵されていた炭素は、そのままではやがて腐朽して二酸化炭素として大気中に放出されますので、間伐材として利用することで、炭素をより長期間にわたって貯蔵することができます。)

関連情報:間伐は人工林のバイオマス成長を促すのか?(森林総合研究所 研究成果選集)(PDF : 234KB)

 Q11 吸収源対策として森林整備がなぜ重要なのですか

 A11

育成林では適正に手入れされている森林の吸収量だけが削減目標の達成に計上できます。育成林を健全に保つためには、適時適切に間伐等の森林整備を行うことが必要です。
また、森林を伐採した後には適切に再造林等の更新作業を行うことで、将来的な吸収量を確保することが重要です。  

Q12 HWP(伐採木材製品)の算定ルールが適用される木材製品とは具体的に何ですか

 A12

パリ協定の下においては、HWP(Harvested Wood Products)の炭素量の変化を評価し、吸収量あるいは排出量を計上することが認められています(炭素貯蔵効果)。HWPの算定ルールが適用されるのは、「製材」、「木質パネル」、「紙」となります。

 Q13 HWPの利用がなぜ地球温暖化対策になるのですか

 A13

森林から伐採され搬出された木材(HWP)には、住宅資材などに利用されている間も森林と同様に炭素が蓄積・固定されています。木材は他の住宅資材と比べて、製造時に必要なエネルギーも少なく、環境負荷の小さい資材と言えます。パリ協定の下では、国産材由来のHWPの炭素貯蔵量の変化量を森林吸収量として計上するため、国産材による住宅資材などの使用量を増加させること、それらをより長期的に利用していくことにより、HWPにおける炭素貯蔵量が増加し、地球温暖化対策に貢献することになります。

なお、HWPによる我が国の炭素貯蔵量を増やしていくためには、廃棄されるHWPよりも新規に利用するHWPの方が大きな量であることが必要です。

パリ協定について

Q14 パリ協定の実施指針とは具体的にどのようなものですか

 A14

パリ協定締結国は、削減目標を含む「国が決定する貢献(NDC)」を国連気候変動枠組条約事務局に登録するルールになっており、実施指針では、削減目標に何を含め、どのように計上し、進捗や達成をどのように報告し審査されるかについて規定されています。
排出削減目標の設定並びに進捗及び達成状況の把握に関しては、これまでに気候変動枠組条約や京都議定書の下で使用してきた方法を用いて、温室効果ガスの排出・吸収量を計上することが認められました。
このため、パリ協定の下でも、森林の適切な経営管理や木材利用を進めることで、我が国の森林が吸収源として評価され、排出削減目標の達成に貢献することが可能です。
その他、実施指針には、発展途上国への資金支援の見通しや実績に関する報告方法などについても規定されています。

お問合せ先

森林整備部森林利用課

担当者:森林吸収源企画班
代表:03-3502-8111(内線6213)
ダイヤルイン:03-3502-8240

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