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林野庁

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第6章 東日本大震災からの復興


1. 復興に向けた森林・林業・木材産業の取組

(1)森林等の被害と復旧状況

➢ 東日本大震災により、15県で林地荒廃、治山・林道施設の被害等が発生し、災害復旧事業の対象箇所の97%が工事完了(2019年1月現在)

➢ 被災した木材加工・流通施設(全国115か所)について、廃棄・復旧・整備等を支援し、97か所が操業を再開(2018年4月現在)
 素材生産や木材製品の生産は、おおむね震災前の水準にまで回復


(2)海岸防災林の復旧・再生

➢ 津波により被災した海岸防災林の要復旧延長は約164km
帰還困難区域等を除き、約163kmで復旧工事に着手済み(うち約113kmで工事完了)(2019年1月末現在)
2020年度までの復旧完了を目標

➢ 海岸防災林の再生のために必要な苗木が計画的に確保されるよう、抵抗性クロマツを含む苗木の安定供給体制の確立に向けた取組を実施

➢ 植栽・保育に当たっては地域住民や企業、NPO等も参加

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事例 地域住民による海岸防災林の再生の取組

植樹イベントの様子

➢ 岩手県野田村の前浜地区では、クロマツが防潮林の役割を担っていたが、東日本大震災で数本を残して流出

➢ 同地区では、防潮堤完成の目途が立った2017年10月に初めての植樹イベントが行われ、地域住民約100名が参加しクロマツ約1,000本を植樹、2018年6月にも地域の住民団体主催の植樹イベントが開催され、村内外から約200名が参加し広葉樹約300本を植樹

➢ 2020年3月末までに、防潮林の造成工事の完成を目指している


(3)復興への木材の活用と森林・林業の貢献

➢ 応急仮設住宅の4分の1以上(約1万5千戸)を木造で建設
災害公営住宅(構造判明戸数)の約3割(約9千戸、2018年9月末時点)を木造で建設又は建設予定

➢ 被災者の住宅再建に向けた「地域型復興住宅」を提案する取組、非住宅建築物や土木分野の復旧・復興事業に地域の木材等を活用する取組も進捗

➢ 地震と津波により発生した大量の災害廃棄物のうち、木質系災害廃棄物は木質ボードの原料やボイラー燃料、発電等に利用

➢ 人口減少や産業空洞化といった全国の地域にも共通する課題解決に向け、林業・木材産業分野でも森林資源の活用を通じた復興に向けた取組を実施

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事例 木質バイオマス熱電併給による復興の取組

気仙沼地域エネルギー熱供給事業のスキーム図
森のアカデミーの様子

➢ 宮城県気仙沼(けせんぬま)市では「気仙沼地域エネルギー開発株式会社」が設立、地域の森林資源を活用した木質バイオマス発電及び熱供給事業が実施されている

➢ 同社は、地元の森林組合や素材生産事業者等から間伐材を調達
特に地域の個人林業家からの木材調達は、代金の一部を地域通貨で支払うことにより、相場より高い価格で木材を買い取り、山林所有者への利益還元と地域経済の活性化に貢献することを重視

➢ また、地域の山林所有者等を対象とした自伐林業家育成塾「森のアカデミー」を開催し、個人林業家の育成支援にも取り組み、震災後の地域林業の活性化に貢献

➢ さらに、東京都環境公社や東京都目黒区が所有する施設で同社の間伐材由来の電気の活用が始まり、都市におけるエネルギー利用を通じた復興支援も加わっている

➢ これらにより、気仙沼地域の林業や山村活性化の取組がますます推進されていくことが期待


2. 原子力災害からの復興

(1)森林の放射性物質対策

➢ 「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」(2016年3月)に基づき、住居周辺の里山の再生に向けた取組、林業再生に向けた取組及び情報発信等の取組を実施

➢ 森林内の放射性物質の分布状況の推移等について調査・研究を実施

➢ 公的主体による森林整備とその実施に必要な放射性物質対策を行う林業再生対策を、2018年度までに福島県内44市町村で実施

➢ 避難指示解除区域等において、関係省庁が連携して里山再生に向けた取組を総合的に推進する「里山再生モデル事業」を実施
2019年3月末までに、飯舘村など12市町村で間伐等の森林整備を実施

➢ 森林における放射性物質の分布等に係る知見を始めとした、森林・林業再生のための取組等について、シンポジウムや展示等を通じた、最新の情報の提供やコミュニケーションを実施

里山再生モデル事業のイメージ

(2)安全な林産物の供給

➢ 食品中の放射性物質の基準値(一般食品は100Bq/kg)に基づき、特用林産物23品目に出荷制限(2019年2月27日現在)

➢ 「放射性物質低減のための原木きのこ栽培管理に関するガイドライン」に沿った栽培管理を行い、基準値を超えるきのこが生産されないと判断された場合、ほだ木のロット単位での出荷が可能
きのこ等の生産継続・再開に向けて支援

➢ 「野生きのこ類等の出荷制限解除に向けた検査等の具体的運用」の周知により、野生のきのこ・山菜等の出荷制限の解除も進みつつある状況

➢ 福島県産きのこ原木の減少に対応し、原木の安定供給に向けて需給のマッチング等を推進

(3)樹皮やほだ木等の廃棄物の処理

➢ 燃料や堆肥等に利用されていた樹皮(バーク)は、放射性物質の影響により製材工場等に一部滞留したが、廃棄物処理場での処理等を支援し滞留量が減少
 使用できなくなったほだ木等の処理も必要

(4)損害の賠償

➢ 林業関係では、避難指示等に伴う事業への支障や原木しいたけの減収等に関する損害賠償が実施
2014年9月から避難指示区域内の山林の土地及び立木に係る財物賠償が請求受付され、2015年3月からは避難指示区域外の福島県内の立木についても財物賠償が請求受付

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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