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林野庁

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第1部 第 IV 章 第2節 木材産業の動向(6)

(6)プレカット加工業

(プレカット材の利用が拡大)

プレカット材は、木造軸組住宅を現場で建築しやすいよう、住宅に用いる柱や梁(はり)、床材や壁材等の部材について、継手や仕口(*106)といった部材同士の接合部分等をあらかじめ一定の形状に加工したものである。プレカット工場では、部材となる製材品、集成材、合板等の材料を工場で機械加工することによって、プレカット材を生産する。平成23(2011)年における材料入荷量は598万m3で、その内訳は、国産材が210万m3(35%)、輸入材が388万m3(65%)となっている。また、材料入荷量598万m3のうち、人工乾燥材は274万m3(46%)、集成材は249万m3(42%)となっている(*107)。

木造住宅の建築の際は、従来は大工が現場で継手や仕口を加工していたが、昭和50年代になるとプレカット材が開発され、さらに昭和60年代には、コンピューターに住宅の構造を入力すると部材加工の情報が自動で生成され、これを基にコンピューター制御により機械で加工するシステム(「プレカットCAD/CAMシステム」)が開発された。プレカット材は、施工期間の短縮や施工コストの低減等のメリットがあることから、木造住宅の建築現場において利用が拡大しており、平成27(2015)年には、木造軸組構法におけるプレカット材の利用率は91%に達している(資料 IV -32)。

この中には、仕口の形状の異なる「金物工法」向けの加工も広がっており、このような動きは、非住宅分野における木材利用の拡大にもつながるものと期待される。


(*106)「継手」とは、2つの部材を継ぎ足して長くするために接合する場合の接合部分で、「仕口」とは、2つ以上の部材を角度をもたせて接合する場合の接合部分をいう。

(*107)農林水産省「平成23年木材流通構造調査」



(使用する木材を選択するプレカット工場)

プレカット加工業は、当初は、大工の刻み仕事を代替する請負による賃加工という性格が強かったが、大壁工法(*108)の普及に伴い見え隠れ材(*109)となる構造材に対する施主及び工務店のこだわりが低下する中で、木材流通の一端を担うだけでなく、プレカット加工を施した木材を一戸ごとに梱包・販売する業形態へ変化している。特に、大規模なプレカット工場では、製材工場や集成材工場に対して、使用する木材の品質基準、価格、納材時期等の取引条件を示し、直接取引により資材を調達することで、プレカット材を住宅メーカー等に安定的に供給するところも出てきている。

また、プレカット材は、部材の寸法が安定し、狂いがないことを前提に機械で加工するものであり、このことは構造材における集成材の利用割合を高める要因となっている。使用される集成材については、これまで輸入集成材や輸入ラミナを用いて国内で集成材に加工したものが多く利用されてきたが、円安方向への推移の影響から調達コストが上昇していること、国産材ラミナ及びそれを用いた集成材の安定供給の見通しが立ったことなどから、これまで輸入集成材を扱っていたプレカット工場が国産材の集成材に転換する動きがみられる。

中小工務店の全国組織である一般社団法人JBN(*110)(全国工務店協会)が行った「木造住宅における木材の使用状況に関する調査」においても、住宅に使用する木材の選択に当たり、施主と設計者が相談して決めると回答した工務店の割合は19%であるのに対し、施工者がプレカット工場等の木材調達先と相談して決めるとした回答は76%に上っており、使用する木材の選択において、プレカット加工業が重要な役割を担っていることがみてとれる。


(*108)木造軸組構法のうち、壁一面を板張り又は壁塗りとする工法のこと。柱など構造部材は、壁面内部など表に見えないところで主に利用されることとなる。

(*109)目に見えない場所に使う材のこと。

(*110)英文では「Japan Builders Network」と表示される。


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