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林野庁

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大江湿原の植生保護を目的としたシカ被害防止柵設置に伴う植生調査

キーワード:防護柵

1 開発目的

シカ被害防止柵について、多雪地帯おける耐雪性実証試験を実施し、その管理方法を検討するとともに、尾瀬沼周辺に柵を設置し、植生の変化、シカ食害の変化等を調査する。

2 成果の概要

  • ニッコウキスゲの採食株数は、柵設置後の7月に減少した。なお、5、6月は採食本数が多いが、柵を設置すべき林内の積雪が多くて設置が困難であった。(図1)
  • 今後は、ニッコウキスゲやミツガシワが採食される前の5~6月には柵の設置を完了する必要がある。
  • 平地の田畑と傾斜のある山間では環境が異なるため、多雪地用のシカ被害防止柵でも山地では使用の限度があることが分かった。(図2)
  • 一般的な柵については雪の沈降圧により修復困難な変形が生じ、年間の使用が困難なことから、巡回困難な場所では、融雪時の6月頃に設置し、積雪前9~10月に撤去することが望ましい。
尾瀬沼に隣接する大江湿原でのニッコウキスゲの開花状況(7月)

写真1 尾瀬沼に隣接する大江湿原でのニッコウキスゲの開花状況(7月)

シカ被害防止柵設置によるニッコウキスゲ採食株数の変化

図1 シカ被害防止柵設置によるニッコウキスゲ採食株数の変化

3 成果の詳細

  • ニッコウキスゲの採食株数は5、6月では大きな変化は見られず、柵設置後の7月で減少した。一方、8月以降の採食株数はやや増加した。なお、5、6月は採食本数が多いが、柵を設置すべき林内の積雪が多くて現状では設置が困難である。(図1)
  • 柵を設置した1年目、2年目ともニッコウキスゲの7月の採食株数が一時的に減少していることから、柵は一定の効果があったものと判断される。しかしながら、破損部や末端部からの侵入が確認されたことから、これを防ぐことが必要。
  • 今後は、ニッコウキスゲやミツガシワが採食される前の5~6月には柵の設置を完了する必要がある。
  • 積雪・融雪に合わせてバネが元に戻り融雪後に下方向にスライドしていた柵が立ち上がるシカ被害防止多雪地用の柵については、バネ部の変形により元に戻らず、融雪期にシカの侵入を許してしまう可能性が高い。また、支柱が割れるなど平地の田畑と傾斜のある山間では環境が異なるため、多雪地用のシカ被害防止でも山地では使用の限度があることが分かった。(図2)
シカ耐雪性試験に用いたシカ被害防護柵の種類

図2 シカ耐雪性試験に用いたシカ被害防護柵の種類

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:関東森林管理局 計画課、保全課、技術普及課、南会津支署
  • 共同研究機関:なし
  • 実施箇所:南会津支署1063林班(福島県南会津群檜枝岐村)
  • 開発期間:平成25年度~平成27年度
  • お問合せ先:関東森林管理局 技術普及課、ダイヤルイン(027-210-1175)

5 参考情報

印刷版(PDF : 568KB)

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