ホーム > 政策情報 > 事業概要 > フォレスター等の育成について > 2012 研修実施状況 > 2012 准フォレ研修日誌1-2
平成24年度准フォレスター研修日誌1(2)1(1) 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 准フォレスター研修1の第2回が始まりました~1日目(平成24年7月2日)本日から、東北ブロックの准フォレスター研修1の第2回が岩手県盛岡市の「ホテルエース盛岡」において始まりました。 今回は、青森県岩手県宮城県秋田県山形県の林業普及指導員等25名、森林管理署の流域管理調整官5名、合計30名が参加しています。研修生は、5日間の日程で講義演習現地実習等を受講します。
開講式が行われ、研修実施拠点署である盛岡森林管理署 伊藤 文彦署長から、「今年は復興元年との位置づけであり、森林資源を復興に役立てつつ、改めて森林・林業の再生への具体的な取組を強化する必要がある。東北の復興に関して、復興の進捗段階に応じて、公共建築物や復興公営住宅等、その建設に必要な木材を安定的に供給していくことが求められるが、東北圏で地産地消を推し進めることができれば、まさに東北の森林林業再生の契機となる。 森林・林業を再生するためには、地域の自然的社会経済的条件を踏まえ、長期的な視点に立って現在の森林資源をどのように利用保全していくかということについて、しっかりとした構想を立てる必要がある。この構想の検討実現に向けて、森林所有者をはじめとする地域の森林・林業関係者の間で合意形成を図り、その上で取組を進めていくことが重要である。 新たな「市町村森林整備計画」には、森林・林業を地域振興につなげるビジョンの構築、持続可能な森林経営の実践等、高度な能力が必要であり、フォレスターが、市町村を技術的にサポートしていくこととされた。また、新たな「森林経営計画」は、森林を面的に取りまとめ、効率的で持続的な森林経営を行う仕組みとして導入され、直接支援を受ける要件として重要であり、再生プラン実現の成否の鍵を握っている。 この研修の中では、必要な技術知識とともに、その心構えを身に付け、さらに自己研鑽を積んでいくことが重要である。准フォレスター研修の研修生は、林業普及指導員等とともに、国有林の職員も参加している。この研修を通じて、それぞれの得意分野のノウハウを共有し、これまで培ってきた能力をさらにレベルアップされ、今後の活動に役立ててほしい。」との挨拶がありました。
オリエンテーションスタッフ紹介、研修の目的の共有、アンケート振り返りシート、研修行程等の説明後に班ごとに自己紹介を実施しました。
研修進行:川嶋プロセスマネージャー 研修の目標
班ごとに自己紹介
森林・林業再生プランの概要(講義)本講義では、森林・林業再生プランの概要及びその実行に向けた国の施策について理解します。 講師:林野庁 諏訪課長補佐
森林・林業再生プランに係る一連の経緯と内容、及び現在の施策について、政策の全体方向との関連について説明があり、今、なぜ、再生プランの取組が必要なのかについて理解を深めました。
フォレスターの役割、プランナーとの連携(講義)本講義では、森林・林業再生プランを推進する人材としての准フォレスターの果たす役割についての理解を深めます。 フォレスターの役割及び活動内容等、及びフォレスターに必要とされる能力について説明がありました。
森づくりの構想(講義)本講義では、公益的機能と木材生産機能の調和のとれた持続的な森林経営を進める上での最も基礎的な知識である森づくりの基本的な考え方と、森林施業を選択する上での視点、留意点等を理解します。
オブザーバーとして参加している森林総合研究所 正木 隆 群落動態研究室長から、長伐期施業複層林天然更新の難しさについて講義をしていただきました。
森づくりの基本的な考え方と目標林型、施業方法の選択の考え方について、理解を深めました。
振り返り1日の講義を振り返り、印象に残った講師や他の受講者の言葉、確認したいこと、取り組みたいこと、難しかったこと、わからなかったことなどをシートに記入し、他の受講者と共有しました(研修期間を通じて1日の講義等終了後に実施)。
研修2日目(平成24年7月3日)地域の森林・林業の将来ビジョン(講義)本講義では、地域の森林・林業のビジョン(構想)の要素を学びます。 構想の意味、構想の要素、基本原則等について説明がありました。
市町村森林整備計画の概要(講義)本講義では、地域の森林・林業のビジョン(構想)を市町村森林整備計画に反映させる視点を養うことです。 市町村森林整備計画制度の見直しの背景、概要について説明がありました。また、市町村森林整備計画の原案の作成について、主な計画事項ごとの要点について解説が行われました。
森づくりと森林経営計画(講義)本講義では、森林経営計画の趣旨を理解するとともに、盛り込むべき内容について学びます。 森林経営計画制度の創設趣旨と留意事項について説明があった後、森林経営計画の実例を紹介しながら、計画策定の際にポイントとなる事項について解説がありました。
間伐実行監理演習(路網と作業システム)(講義)本講義では、路網及び作業システムに関する基礎的な知識を得るとともに、それらの改善に向けた改善におけるフォレスターの役割について理解します。
講師:林野庁 下平監査官
高い労働生産性を実現し、コストを低減して循環的な木材生産の基礎を築くためには、路網、林業機械、人員配置を一体として捉え、より良い組み合わせを選択していく必要があります。
林内路網の体系や作業システム構築の基礎的な考え方等を学ぶとともに、路網整備や作業システム改善に向けたフォレスターの役割を理解しました。
間伐実行監理演習(森林作業道)(講義と演習)本講義と演習では、森林作業道の基本的考え方を学び、その考え方を踏まえて20ha程度の間伐予定箇所における森林作業道の配置計画を検討します。 林内路網は、作業システムと密接不可分であり、間伐の収益性を高め、長期にわたって森林経営に活用される重要なインフラとなります。森林作業道は、プランナーが施業提案する際に細部路網として計画するものであり、森林経営計画の構成要素となるものです。 フォレスターは、こうした重要な路網計画がより良いものとなるよう指導助言を行います。このため、本講義により規格構造の特徴や路線選定の要点を理解するとともに、演習を通じて森林作業道を配置する際のポイントを検討し、翌日の現地踏査の準備を行いました。
演習のねらいと構成、森林作業道の特徴と作設指針の概要及び路線選定の考え方と留意点について説明がありました。
演習の手順の説明、演習地の地形地質等に関する情報提供とプランナーが持参した作業計画について説明がありました。
講師:東北森林管理局 細田企画官畠山係長
演習地の地形、地質等の情報提供を踏まえて、プランナーが持参した森林作業道が記入されている図面について、配置の妥当性、チェックポイント等について班ごとに検討し、翌日の現地踏査でのチェック箇所を決定しました。
研修3日目(平成24年7月4日)真夏日となった晴天の中、盛岡市姫神岳国有林において、現地実習を行いました。
間伐実行監理演習(森林作業道整備の検討)本実習では、昨日、机上で検討した森林作業道の路線について、ポイントとなる箇所を踏査して机上演習の検討結果と照らし合わせることを通じ、地形地質に応じた配置や実際に森林作業道を作設する際の隘路への対処法等を習得します。 本実習により、沢を渡る箇所の選定や渡り方、部分的な急傾斜面での対応、路網間隔(密度)や土場の配置場所などについて、現場に応じてポイントとなる箇所を踏査した上で、水質汚濁や作業終了後の路体崩壊などのリスクの予見やその回避方法などを学びました。また、限られた時間の中で特に現地をチェックすべき箇所を選定する考え方を習得しました。
実習行程等の説明
一本杉登山道入口において、地質地質に応じた作業方法等について説明
一本杉(湧水箇所)において、踏査箇所及び踏査方法等の説明
班ごとにポイントとなる箇所を踏査後、路線変更の検討とりまとめを行い、発表
意見交換
路体管理のリスクやその回避方法、既設路網の規格構造、土場の配置について解説
森づくりの構想実習(旧森林施業検討会)本実習では、1日目の森づくりの構想の講義を踏まえ、具体の人工林施業地において、公益的機能と木材生産機能の調和を念頭に目標林型、当面の施業方を選択する上での視点を養います。 昼食後、スギ40年生林分及びカラマツ57年生林分において、実習地の位置、保安林の指定状況、施業履歴、地位別樹高曲線等の情報を参考にし、班ごとに現地の林況(ha本数、樹高、蓄積から見た林地生産力)を評価した上で、求められる機能を踏まえて将来的な目標林型、途中の目標林型、当面の施業について検討発表し、外部講師内部講師、他班との意見交換を通じて、森づくりについての理解を深めました。
【スギ40年生林分】 実習の進め方、実習地の概況説明
班ごとに検討発表
意見交換
講師のコメント
講師:東北森林管理局 加藤課長補佐
講師:森林総合研究所 正木 隆 群落動態研究室長 講師:岩手大学 國崎 貴嗣 准教授
【カラマツ57年生林分】 実習地の概況説明
班ごとに検討発表
意見交換
講師のコメント
振り返り実習終了後、研修会場に戻り今日の実習で印象に残った講師の言葉や難しかったこと、わからなかったことなどをシートに記入し、他の受講者と共有しました。
研修4日目(平成24年7月5日)コミュニケーションとプレゼンテーション(講義・演習)本講義では、フォレスターとして求められる合意形成に必要なコミュニケーションと、プレゼンテーションの基礎的な知識を学びます。また、それらの能力高めるための具体的な手法ポイント等を理解し、この後の各演習の発表や意見交換で実践して、能力向上を図ります。
講師:川嶋 直 プロセスマネージャー
「やっちゃいけないこんな路網計画」をテーマとして、プランナーに対してプレゼンテーションするため、KP法の具体的手法、ポイント等の提示を受け、演習を実施しました。
本講義及び演習により、准フォレスターは市町村森林整備計画の策定支援や森林経営計画の認定支援、及びそれらの実行監理をできる能力を持ち、市町村長や森林所有者、森林組合等の林業事業体、並びに地域住民など多様な意向を調整しつつ、地域の森づくりの合意形成をはかる役割を担っていることを理解しました。また、森林所有者をはじめとする利害関係者や流域住民など多様な関係者の意向を上手に聞(引)き出す力、意向を取りまとめる力、一定の理解を得る(合意形成を図る)ための提案力が必要であることを強く認識しました。
木材の流通・販売(講義)本講義では、流通・販売に第一線で携わる講師から、木材の用途、価格、必要とされる原木の条件等、木材の流通・販売に関する最新情報を直接聞くことを通じ、木材需要を考慮に入れた素材生産や森林施業の戦略を策定するための情報収集、分析、立案能力を養います。
講師:ノースジャパン素材流通協同組合 高橋 早弓 常務理事
本講義において、全国地域における木材需給の動向、需要の大きな割合を占める住宅需要の動向、木材の新たな分野への利用拡大の状況、木材・流通のトレンド、需要者側からもとめられる素材の安定供給とは、地域の林業再生を担うフォレスター活動への期待等について、講師の幅広い知識や実務経験に基づいた説明があり、地域の流通・販売現場のリアルな動きについて理解を深めるとともに、今後川上側が対応すべき方向について考える視点を養いました
林業労働安全(リスクアセスメント)(講義)本講義では、フォレスターの役割には林業における安全な職場環境の構築の支援も含むことを理解するとともに、演習を通じてリスクアセスメント進め方のポイントを理解し、労働安全衛生の指導能力の向上を図ります。 労働安全衛生に関する事業主責任の意味(単に法律上の意味だけでなく、労働災害を起こすと残された家族に対する補償という社会的責任を負うだけでなく、場合によっては刑事訴追を受けることもある)、労働安全衛生の一般(林業労働発生状況)、災害事例紹介の説明がありました。
講師:元林災防支部事務局長 宮越 誠 氏
リスクアセスメントの概要(林災防パンフレット)等の説明の後、リスクアセスメント演習及び質疑応答
間伐実行監理演習(木材の流通・販売)(講義)本講義では、国有林の取組等の紹介を通じ、外部講師による講義を補完しつつ、フォレスターとして木材の流通・販売に関わる視点を学びます。
外部講師による講義を通じて学んだ木材の流通・販売に関する基礎知識や民間企業の取組等を踏まえつつ、局内部講師から、地域の木材価格、流通組織の状況、国有林における生産販売の工夫や間伐の収益性向上の成功事例の紹介等を通じて、フォレスターとして地域経済活性化のために流通・販売に関してどのような手段、選択肢があるのか、またそのために川上をどのように指導していくべきか等について講義が行われました。
【眠気覚まし】 川嶋プロセスマネージャーによる後出しジャンケン
間伐実行監理演習(集約化と事業体の育成)(講義)本講義では、利用するステージに移行した林業が、産業として再生するため、集約化による事業ロットの拡大を促し、担い手となる事業体を育成するために、間伐事業コストの構造などの基礎的な知識を付与するとともに、現状を改善する考え方を養います。
集約化の必要性を確認するとともに、施業提案書等を題材に間伐コストの構造を理解しました。また、森林組合や事業体などの育成と役割の発揮、森林所有者の同意の取付等において、イコールフッティングの観点を踏まえたフォレスターの役割を理解しました。
全国森林組合連合会 本多 孝法研修運営委員から森林施業提案書について補足説明がありました。
研修5日目(平成24年7月6日)間伐実行監理演習(発表とディスカッション)本演習では、研修1を通じて学んだことを活かして班毎に異なるテーマについての検討を行い、その結果を全体で共有し、議論することで、フォレスターとして循環的な木材生産の戦略を描く能力を醸成します。また、コミュニケーションプレゼンテーションの講義の内容を実践し、合意形成のための効果的なプレゼンテーションと建設的な議論を行うための能力の向上を図ります。
班ごとに発表準備
発表とディスカッション
とりまとめ 演習により循環的な木材生産の戦略を描くに当たり、研修Iで得た様々な視点から課題とその解決策を検討し、発表した上で全体議論を行う事で、フォレスターとして持つべき総合的な戦略のイメージを共有できました。また、グループ討議や全体討議が生産的・建設的な議論になったか、プレゼンテーションで重要な点を確実に伝えることができたか等について簡単に振り返ることで、コミュニケーション能力及びプレゼンテーション能力の向上に資することができました。 市町村森林整備計画演習(次回に向けた事前準備説明)研修2の市町村森林整備計画演習では、研修1及び研修2の学習内容を市町村森林整備計画に反映するとともに、その実現に向けた取組方策について検討を行い、川上から川下を統合的に捉えてまとめていくというフォレスターとしての能力・意識を醸成することとしています。
実際の市町村を題材として、市町村森林整備計画の主なポイントについて検討し、班ごとに発表、意見交換を行います。このため、 事前の準備作業として、選定した市町村の状況把握等の実施依頼、及び次回の研修時に持参して頂く成果物について説明がありました。
振り返り研修前半の5日間を終えて、あらたに獲得したこと、得た知識・情報、ポイントや、フォレスターとして、さらに自身で深めたい内容や集めたい情報、研鑽したい技術や能力等、自身の職場・現場に戻った後、さっそく取りかかりたいこと、働きかけたいこと、準備したいこと、確認したいこと等をシートに記入し、班ごとに共有しました。
次回に向けた一言研修前半を終えて、「次回の研修に向けた一言」又は「今回の研修は自分にとってどうだったか」をA4用紙に記載し、班ごとに前に出て一人ほとりが発表しました。
研修生の皆さん5日間の研修お疲れ様でした。次回研修は、9月18日から4日間の日程で実施する予定です。
准フォレスター研修関連リンク
|
森林整備部技術普及課
ダイヤルイン:018-836-2053
FAX:018-836-2012