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平成24年度准フォレスター研修日誌1(1)1(1) 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 准フォレスター研修1の第1回が始まりました~1日目(平成24年6月18日)本日から、東北ブロックの准フォレスター研修1の第1回が5日間の日程で岩手県盛岡市の「ホテルエース盛岡」を会場として始まりました。 今回は、福島県を除く東北5県の林業普及指導員等24名、森林管理署の流域管理調整官等5名、合計29名が参加しています。研修生は、講義、演習、現地実習等により、准フォレスターの役割を理解するとともに、活動に必要な知識や技術とは何かを認識します。 研修初日開講式が行われ、東北森林管理局 青山指導普及課長から 「森林林業再生プランは、その軸として、路網の整備、森林施業の集約化及び必要な人材育成を掲げており、この研修は再生プランの柱のひとつを成している。また、市町村森林整備計画を地域の森づくりのマスタープランと位置付けており、森林林業の再生を進めるためには、地域の実情に応じた再生に向けた処方箋を作成して、実行することが必要とされている。 フォレスターは、市町村を技術的にサポートするとともに、持続可能な森林経営の実践をフォローしていくことを通じて、地域全体の森づくりへ貢献することが求められており、この研修の中で、その技術知識だけでなく、その心構えを身に付けてもらい、これまで培ってきた能力をさらにレベルアップし、地域の森林林業の牽引役となることに期待している。また、今回研修に参加している方それぞれの得意分野のノウハウをこの研修での交流を通じて共有し、今後の活動に役立ててほしい。 この研修は林野庁をあげて取り組んでいるものであり、まさに民有林と国有林が一体となって、森林林業の再生にしっかり取り組んでいくための礎となるものである。期間中の安全とこの研修が皆様にとって有意義なものとなることを祈念している」との挨拶がありました。
オリエンテーションスタッフ紹介、研修の目的の共有、アンケート、振り返りシート、研修行程等の説明後にアイスブレイクを実施しました。
研修進行:近藤プロセスマネージャー 研修の目標
アイスブレイクの模様
森林林業再生プランの概要/フォレスターの役割、プランナーとの連携(講義)本講義のねらいは、森林林業再生プランの概要及びその実行に向けた国の施策について理解するとともに、取組を推進する人材としての准フォレスターの果たす役割についての理解を深めることです。
講師:林野庁 諏訪課長補佐 【森林林業再生プランの概要】 森林林業再生プランに係る一連の経緯と内容、及び現在の施策について、政策の全体方向との関連について説明があり、今、なぜ、再生プランの取組が必要なのかについて理解を深めました。
【フォレスターの役割、プランナーとの連携】
森づくりの構想(講義)本講義では、公益的機能と木材生産機能の調和のとれた持続的な森林経営を進める上での最も基礎的な知識である森づくりの基本的な考え方と、森林施業を選択する上での視点、留意点等を理解します。
森づくりの基本的な考え方と目標林型、施業方法の選択の考え方について、理解を深めました。
振り返り一日の講義を振り返り、印象に残った講師や他の受講者の言葉、確認したいこと、取り組みたいこと、難しかったこと、わからなかったことなどをシートに記入し、他の受講者と共有しました(研修期間を通じて実施)。
研修2日目(平成24年6月19日)地域の森林林業の将来ビジョンと市町村森林整備計画(講義)本講義のねらいは、地域の森林林業のビジョン(構想)の要素を学んだ上で、これらを市町村森林整備計画に反映させる視点を養うことです。
【地域の森林林業の将来ビジョン】 構想の意味、構想の要素、基本原則等について説明がありました。
【市町村森林整備計画】 市町村森林整備計画制度の見直しの背景、概要について説明がありました。また、市町村森林整備計画の原案の作成について、主な計画事項ごとの要点について解説が行われました。
森づくりと森林経営計画(講義)本講義では、森林経営計画の趣旨を理解するとともに、盛り込むべき内容について学びます。 森林経営計画制度の創設趣旨と留意事項について説明があった後、森林経営計画の実例を紹介しながら、計画策定の際にポイントとなる事項について解説がありました。
間伐実行監理演習(路網と作業システム)(講義)本講義のねらいは、路網及び作業システムに関する基礎的な知識を得るとともに、それらの改善に向けた改善におけるフォレスターの役割について理解することです。 講師:林野庁 小原政策情報分析官 高い労働生産性を実現し、コストを低減して循環的な木材生産の基礎を築くためには、路網、林業機械、人員配置を一体として捉え、より良い組み合わせを選択していく必要があります。このため、林内路網の体系や作業システム構築の基礎的な考え方等を学ぶとともに、路網整備や作業システム改善に向けたフォレスターの役割を理解しました。
間伐実行監理演習(森林作業道)(講義演習)本講義では、森林作業道の基本的考え方を学び、その考え方を踏まえて20ha程度の間伐予定箇所における森林作業道の配置計画を検討しました。 【講義】 林内路網は、作業システムと密接不可分であり、間伐の収益性を高め、長期にわたって森林経営に活用される重要なインフラとなります。森林作業道は、プランナーが施業提案する際に細部路網として計画するものであり、森林経営計画の構成要素となるものです。 フォレスターは、こうした重要な路網計画がより良いものとなるよう指導助言を行います。このため、本講義により規格構造の特徴や路線選定の要点を理解するとともに、演習を通じて森林作業道を配置する際のポイントを検討し、翌日の現地踏査の準備を行いました。
演習のねらいと構成、森林作業道の特徴と作設指針の概要及び路線選定の考え方と留意点について説明がありました。
【演習】 演習の手順の説明、演習地の地形地質等に関する情報提供とプランナーが持参した作業計画について説明がありました。
講師:東北森林管理局 高橋企画官、細田企画官
演習地の地形、地質等の情報提供を踏まえて、プランナーが持参した森林作業道が記入されている図面について、配置の妥当性、チェックポイント等について班ごとに検討し、翌日の現地踏査でのチェック箇所を決定しました。
研修3日目(平成24年6月20日)3日目は現地実習を予定しておりましたが、台風4号の来襲により急遽、現地実習を明日行うこととし、本日は4日目のカリキュラムを実施することとしました。
コミュニケーションとプレゼンテーション(講義)本講義のねらいは、フォレスターとして求められる合意形成に必要なコミュニケーションと、プレゼンテーションの基礎的な知識を学ぶことです。また、それらの能力高めるための具体的な手法ポイント等を理解し、この後の各演習の発表や意見交換で実践して、能力向上を図ります。
講師:近藤プロセスマネージャー
本講義により准フォレスターは、市町村森林整備計画の策定支援や森林経営計画の認定支援、及びそれらの実行監理をできる能力を持ち、市町村長や森林所有者、森林組合等の林業事業体、並びに地域住民など多様な意向を調整しつつ、地域の森づくりの合意形成をはかる役割を担っていることを理解するとともに、森林所有者をはじめとする利害関係者や流域住民など多様な関係者の意向を上手に聞(引)き出す力、意向を取りまとめる力、一定の理解を得る(合意形成を図る)ための提案力が必要であることを強く認識しました。また、それらの能力を身に付けるための志向、具体的手法、ポイント等の提示を受け、演習を実施しました。
木材の流通販売(講義)本講義では、流通販売に第一線で携わる講師から、木材の用途、価格、必要とされる原木の条件等、木材の流通販売に関する最新情報を直接聞くことを通じ、木材需要を考慮に入れた素材生産や森林施業の戦略を策定するための情報収集、分析、立案能力を養います。
講師:ノースジャパン素材流通協同組合 高橋早弓常務理事 本講義において、全国地域における木材需給の動向、需要の大きな割合を占める住宅需要の動向、木材の新たな分野への利用拡大の状況、木材流通のトレンド、需要者側からもとめられる素材の安定供給とは、地域の林業再生を担うフォレスター活動への期待等について、講師の幅広い知識や実務経験に基づいた説明があり、地域の流通販売現場のリアルな動きについて理解を深めるとともに、今後川上側が対応すべき方向について考える視点を養いました。
林業労働安全(リスクアセスメント)(講義)本講義のねらいは、フォレスターの役割には林業における安全な職場環境の構築の支援も含むことを理解するとともに、演習を通じてリスクアセスメント進め方のポイントを理解し、労働安全衛生の指導能力の向上を図ることです。
講師:元林災防支部事務局長 宮越 誠氏 本講義では、労働安全衛生に関する事業主責任の意味(単に法律上の意味だけでなく、労働災害を起こすと残された家族に対する補償という社会的責任を負うだけでなく、場合によっては刑事訴追を受けることもある)、労働安全衛生の一般(林業労働発生状況)、災害事例紹介、リスクアセスメントの概要(林災防パンフレット)等の説明がありました。
森づくりの構想実習に向けて(講義)カリキュラムの変更に伴い、明日の現地実習に参加できなくなりました森林総合研究所 正木 隆群落動態研究室長、岩手大学 岡田 秀二教授から、講義を行っていただきました。 長伐期施業、複層林、天然更新の難しさ等について、講義が行われました
講師:森林総合研究所 正木 隆 群落動態研究室長
森林林業再生プランに貫かれていること、意識改革、日本型フォレスター制度はセーフティネットであること等について、講義が行われました。
講師:岩手大学 岡田 秀二教授
間伐実行監理演習(木材の流通販売)(講義)本講義のねらいは、国有林の取組等の紹介を通じ、外部講師による講義を補完しつつ、フォレスターとして木材の流通販売に関わる視点を学ぶことです。
外部講師による講義を通じて学んだ木材の流通販売に関する基礎知識や民間企業の取組等を踏まえつつ、局内部講師から、地域の木材価格、流通組織の状況、国有林における生産販売の工夫や間伐の収益性向上の成功事例の紹介等を通じて、フォレスターとして地域経済活性化のために流通販売に関してどのような手段、選択肢があるのか、またそのために川上をどのように指導していくべきか等について講義が行われました。
研修4日目(平成24年6月21日)台風一過の晴天とはなりませんでしたが、曇天の中、岩手県盛岡市姫神岳国有林(一本杉登山道周辺)において、森づくりの構想及び間伐実行監理の実習を行いました。
講師:岩手大学 國崎 貴嗣准教授 実習行程等の説明
間伐実行監理実習(森林作業道整備の検討)本実習のねらいは、机上で検討した森林作業道の路線について、ポイントとなる箇所を踏査して机上演習の検討結果と照らし合わせることを通じ、地形地質に応じた配置や実際に森林作業道を作設する際の隘路への対処法等を習得することです。
地質(クロボク)について解説
各講師から地形と植生の特徴等について説明
現地踏査箇所及び踏査方法の説明
班ごとに踏査を実施し、結果の検討、発表を行い共有
リスクやその回避方法、既設の路網の規格構造や土場についての解説
沢を渡る箇所の選定や渡り方、部分的な急傾斜面での対応、路網間隔(密度)や土場の配置場所などについて、現場に応じてポイントとなる箇所を踏査した上で、水質汚濁や作業終了後の路体崩壊などのリスクの予見やその回避方法などを学びました。また、限られた時間の中で特に現地をチェックすべき箇所を選定する考え方を習得しました。
森づくりの構想実習(旧森林施業検討会)本実習のねらいは、1日目の森づくりの構想の講義を踏まえ、具体の人工林施業地において、公益的機能と木材生産機能の調和を念頭に目標林型、当面の施業方を選択する上での視点を養うことです。 昼食後にスギ40年生林分において、実習地の位置、保安林の指定状況、施業履歴、地位別樹高曲線等の情報を参考にし、班ごとに現地の林況(ha本数、樹高、蓄積から見た林地生産力)を評価した上で、求められる機能を踏まえて将来的な目標林型、途中の目標林型、当面の施業について検討発表し、外部講師内部講師、他班との意見交換を通じて、森づくりについての理解を深めました。
実習の進め方、実習地の概況説明
班ごとに検討し、内容とりまとめて発表
講師のコメント、質疑
間伐実行監理演習(集約化と事業体の育成)(講義)現地実習終了後、研修会場に移動し集約化の必要性等について講義が行われました。 本講義では、利用するステージに移行した林業が、産業として再生するため、集約化による事業ロットの拡大を促し、担い手となる事業体を育成するために、間伐事業コストの構造などの基礎的な知識を付与するとともに、現状を改善する考え方を養います。
集約化の必要性を確認するとともに、施業提案書等を題材に間伐コストの構造を理解しました。また、森林組合や事業体などの育成と役割の発揮、森林所有者の同意の取付等において、イコールフッティングの観点を踏まえたフォレスターの役割を理解しました。
研修5日目(平成24年6月22日)間伐実行監理演習(発表とディスカッション)本演習では、研修1を通じて学んだことを活かして班毎に異なるテーマについての検討を行い、その結果を全体で共有し、議論することで、フォレスターとして循環的な木材生産の戦略を描く能力を醸成します。また、コミュニケーションプレゼンテーションの講義の内容を実践し、合意形成のための効果的なプレゼンテーションと建設的な議論を行うための能力の向上を図ります。
演習の進め方について説明
班ごとの課題テーマと発表方法
・班ごとの検討発表準備
・検討結果、発表
・ディスカッション
・講師のコメント
演習により循環的な木材生産の戦略を描くに当たり、研修Iで得た様々な視点から課題とその解決策を検討し、発表した上で全体議論を行う事で、フォレスターとして持つべき総合的な戦略のイメージを共有できました。 また、グループ討議や全体討議が生産的建設的な議論になったか、プレゼンテーションで重要な点を確実に伝えることができたか等について簡単に振り返ることで、コミュニケーション能力及びプレゼンテーション能力の向上に資することができました。
市町村森林整備計画演習(次回に向けた事前準備説明)研修2の市町村森林整備計画演習では、研修1及び研修2の学習内容を市町村森林整備計画に反映するとともに、その実現に向けた取組方策について検討を行い、川上から川下を統合的に捉えてまとめていくというフォレスターとしての能力意識を醸成することとしています。 具体的には、実際の市町村を題材として、市町村森林整備計画の主なポイントについて検討し、班ごとに発表、意見交換を行います。このため、 事前の準備作業として、選定した市町村の状況把握等の実施依頼、及び次回の研修時に持参して頂く成果物について説明がありました。
振り返り研修前半の5日間を終えて、あらたに獲得したこと、得た知識情報、ポイントや、フォレスターとして、さらに自身で深めたい内容や集めたい情報、研鑽したい技術や能力等、自身の職場現場に戻った後、さっそく取りかかりたいこと、働きかけたいこと、準備したいこと、確認したいこと等をシートに記入し、他の受講者と共有しました。
次回に向けた一言研修前半を終えて、次回の研修に向けた一言をA4用紙に記載し、発表しました。
以上で研修前半が終了しました。研修後半は8月6日から4日間の日程で実施します。
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