ホーム > 森林管理局へようこそ > 自然保護対策 > 四国の「保護林」について紹介します。 > 鎗戸シコクシラベ林木遺伝資源保存林
更新日:25年1月7日 2.鎗戸シコクシラベ林木遺伝資源保存林日本百名山の1つで修験道の山としても知られる剣山(1,955m)と一ノ森(1,879m)との稜線の南側に位置します。 シコクシラベは、シラビソの変種とされ、四国の亜寒帯性の植生を代表し、剣山や石鎚山、笹ヶ峰周辺等の海抜1,700m以上に、ダケカンバとともに局地的にあらわれます。 剣山系の険阻な稜線に分布するこの森は、樹相の厳しさと相まって、四国では希少な高山性の雄壮な景観をつくり上げています。 東側に隣接する森は鎗戸植物群落保護林に指定されており、シコクシラベの他にヒメコマツ、コメツガ、ウラジロモミなどの木を見ることができます。 11月中旬に積もった雪。四国は温暖な気候ですが、標高の高い地域は例年この時期に雪が積もります。 亜寒帯性のシコクシラベには雪が似合います。 保護林マップ登山リフトで西島駅まで行き、そこから剣山を経由して当保護林、一ノ森へと縦走し下山するコースがおすすめです。 健脚な方はジロウギュウへの稜線を歩くコースもおすすめです。 上空から見た保護林剣山から一ノ森の稜線付近ではシコクシラベの純林を見ることが出来ます。 (2012年10月5日撮影)(注:植物群落保護林は予定箇所) その他の写真はフォトアルバムをご覧下さい。 シコクシラベの特徴シコクシラベ( Abies veitchii var. reflexa )はシラベの変種とされ、最終氷期に南下したシラビソの遺存植物とされています。 分布は剣山系(剣山、一ノ森周辺)や石鎚山系(二ノ森、石鎚山周辺)、笹ヶ峰、の標高約1,700mより上部の限られた箇所にのみ生育しています。そのため徳島県および高知県では絶滅危惧II類、愛媛県では準絶滅危惧種、に記載されています。 鎗戸保護林のように純林をつくることもあり、寿命はあまり長くなく、次々と更新します。また、コメツガなどが生育している箇所でも林床にシコクシラベの稚樹が生え、倒木などで上部に空間が出来ることで大きく成長し、シコクシラベの森になることが知られています。 ▲鎗戸保護林内のシコクシラベ林 寿命が短いため枯れ木も目立ちます。林内には一部コメツガ、ヒノキ、ウラジロモミ等の針葉樹やダケカンバ、ナナカマド等の広葉樹もわずかに混じります。 平成21年度から平成24年度にかけて徳島森林管理署が行った調査では、胸高直径4cm以上のシコクシラベが保護林内で11,212本確認されました。密度は2,650本/haにもなります。そのうちニホンジカによる被害木は1,181本、約1割にも上るため、ラス巻による保護を行いました。 シコクシラベ以外の針葉樹では、コメツガが94本、ヒメコマツが73本、ヒノキが23本、イチイが1本、ウラジロモミが71本確認されています。 ▲倒木や枯木跡に稚樹が勢いよく育ちます。 ▲シコクシラベの葉 写真では分かりにくいですが、ウラジロモミは枝先端に「縦しわ」があり、シコクシラベはありません。 ▲シコクシラベの球果(石鎚山系生態系保護地域内にあるニノ森にて7月撮影) 球果は長さ5から6 cmで上向きに付きます。
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