ゴイシツバメシジミ
ゴイシツバメシジミ
チョウ目シジミチョウ科 Shijimia moorei moorei 絶滅危惧IA類,天然記念物
撮影:三枝 豊平 氏
生息地
73年夏に熊本県の山中で発見された、1属1種の珍稀なシジミチョウです。
日本の生息地は、紀伊半島の一部と熊本県と宮崎県にまたがる九州中央山地の一部だけです。
形態
翅を広げたときの全体の幅が 20mm内外、前の翅の長さが 11~13mm という小型のシジミチョウです。
翅の表は、白い縁取りがわずかに現れる他は、ほとんど全体が黒褐色で、非常に地味な色・模様です。しかし翅の裏は明るい白-灰白色で、黒-黒褐色の斑点が碁石状に列んでいます。このことから「ゴイシ」と名前が付きました。
食べ物
原生林ないしはそれに準ずる照葉樹林の大木の樹幹・枝に着生するシシンラン(イワタバコ科)という植物のつぼみと花だけが幼虫の食草です。成虫は、ノリウツギ・リョウブ・アカメガシワなどの花を訪れて、蜜を吸うと考えられています。また雄は水を時々飲んだり、ヘビ・カエルなどの死体の汁を吸ったりするとも言われています。
生息している場所
上記のシシンランが生育している照葉樹林の原生林ないしはそれに準ずる照葉樹林内のみに生息します。二次的な林には生息しません。シシンラン自体、あまり数の多い植物ではないので、ゴイシツバメシジミの生育地は極めて限定されています。また、着生植物のシシンラン周辺の空間で緩やかに飛翔することが多いため(地上10m位)、地上からはなかなか観察できません。
個体数
動物と違って、個体数は正確にはわかりません。しかし蝶愛好者による密猟や食草であるシシンラン自体の盗掘の危険が多いことから、シシンラン生育に不可欠な森林の維持・育成とあわせて、対策を講じていく必要があります。
保護管理する対象地域について
希少野生生物種保護管理事業は九州中央山地の一部の保護林及びその周辺で実施しています。
お問合せ先
計画保全部計画課
担当者:生態系保全係
ダイヤルイン:096-328-3612