綾の照葉樹林
・照葉樹林とは
照葉樹林とは、冬でも落葉しない広葉樹で、葉の表面のクチクラ層(角質の層)が発達した光沢の強い深緑色の葉を持つ樹木に覆われた森林のことです。
日本ではシイ・カシ類がこれにあたり、西南日本、台湾、ヒマラヤ、東南アジアの山地とアジア大陸東岸など、主に降雨量の多い亜熱帯から温帯に分布している常緑広葉樹林のことです。この林は、コナラ属アカガシ亜属、シイ属、マテバシイ属などのブナ科を優占種としながら、クスノキ科、ハイノキ属、ヤブコウジ属など多くの樹木が混成し、樹高は20~30mぐらいになります。
照葉樹林は、人間が利用のために伐採など人為的撹乱をすると、場合によって落葉広葉樹の混交林に遷移してしまいます。現在は利用・開発などにより、その大部分が失われまとまった面積の森林はほとんどありませんが、宮崎県綾町には中核部分(コアエリア)約700haを含め、約2,500ha(東京ドーム約535個分)の日本で最大級の照葉樹林が残っています。
・照葉樹林文化
私たちの住む日本から東アジアに広がる照葉樹林帯には、共通の文化がたくさんあります。照葉樹林の恵みがその起源と言われ、「照葉樹林文化」と呼ばれています。大豆発酵による納豆や味噌・醤油、魚の姿寿司を自然発酵させて作るナレズシ、水さらし法であく抜きをしたクズ粉やワラビ粉、そしてコンニャク。サトイモやヤマノイモ(ナガイモ)が栽培され、モチ米、モチアワ、モチキビなどの粘り気の多い種子澱粉を持つモチ種も共通に分布しています。めでたい時には赤飯、餅、甘酒を振る舞う習慣も同じです。 食物以外でも、野生の繭から作る絹の利用、ウルシの木などからうるしをとって漆器を作る技術も照葉樹林帯が発祥の地です。
・綾の動植物
イヌワシ |
クマタカ |
ニホンカモシカ |
ニホンジカ |
ヤマカガシ |
カナヘビ |
サンショウクイ | ニホンヒキガエル | キリシマシャクジョウ |
アカガシ |
着生植物 |
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