生物多様性の保全
国有林野事業では、原生的な森林生態系や希少な自然環境の維持、野生生物の生育・生息の場となっている生物多様性保全の核となる森林を「保護林」として設定し、厳格な保護・管理に努めています。
近畿中国森林管理局では、平成30年4月1日現在、80箇所 21,418haの森林を保護林として設定するとともに、保護林等において希少な野生生物の生育・生息に適した環境の保全・改善に取り組みます。
保護林の区分と設定目的
森林生態系保護地域
我が国の気候帯又は森林帯を代表する原生的な天然林の保護・管理
- 白山森林生態系保護地域
山地帯から高山帯に至る森林生態系(石川県白山市)
生物群集保護林
地域固有の生物群集を有する森林の保護・管理
- 三国山生物群集保護林
ブナが優占し、天然スギやミズナラが散生する落葉広葉樹林(鳥取県三朝町・鳥取市)
希少個体群保護林
希少な野生生物の生育・生息に必要な森林の保護・管理
- 右谷山ブナ希少個体群保護林
ブナが優占する落葉広葉樹林(山口県岩国市)
希少野生生物の保護活動
国有林に生育・生息する希少な動植物を保護すること等を目的として、保護林をはじめとした各国有林において、様々な活動に取り組みます。
イヌワシの採餌環境の整備
福井県大野市の経ヶ岳国有林内の保護林に生息するイヌワシの採餌環境整備のため、ササの刈り払いを実施します。
経ヶ岳(福井県勝山市・大野市)
- 採餌場の刈り払い状況
刈り払い前 刈り払い後
希少昆虫の生息環境の整備
奈良県吉野郡川上村内の保護林において、希少昆虫の生息環境を整備するため、食草の増殖や生立木に着生させる技術の確立に取り組みます。 福井県南越前町の岩屋国有林において、夜叉ヶ池にのみ生息する貴重な昆虫であるヤシャゲンゴロウを保護するため、生息状況や生息環境のモニタリングを行います。
プランターで育成中の食草 ヤシャゲンゴロウ
(参考)近畿中国森林管理局管内の保護林の設定状況
平成30年4月1日現在、生態系保護地域として3箇所 11,630ha、生物群集保護林として8箇所 5,493ha、希少個体群保護林として69箇所 4,295haの計80箇所 21,418haの森林を保護林に設定しています。