治山対策の推進
大規模災害からの復旧
近年局地的な集中豪雨が増加傾向にあり、近畿中国森林管理局管内でも紀伊半島大水害(H23.9)や広島豪雨災害(H26.8)等の大規模災害が発生しています。これまで治山事業により荒廃山地の復旧整備を進めてきたところであり、平成30年度も地域の復旧・復興に向けて、引き続き計画的な事業実施に努めてまいります。
紀伊半島大水害(H23.9)からの復旧~民有林直轄治山事業の着実な推進~
紀伊半島大水害により大規模崩壊地が多数発生した奈良県、和歌山県において、民有林直轄治山事業による復旧整備を着実に進めます。
十津川地区 民有林直轄治山事業の実施状況(奈良森林管理事務所)
![]() 被災直後の状況(奈良県十津川村 山崎谷) |
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![]() 山腹工の施工状況(H29) |
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紀伊田辺地区 民有林直轄治山事業の実施状況(和歌山森林管理署)
![]() 被災直後の状況 和歌山県田辺市八升前 |
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![]() 上部の復旧対策が完(H29) |
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広島豪雨災害(H26.8)の計画的復旧
荒廃渓流への治山ダムの設置、崩壊地への山腹工の施工により荒廃山地を復旧整備し、地域の安全性向上を図ります。(広島森林管理署)
![]() 被災直後の状況 (広島市新庄山国有林) |
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![]() 治山ダムの整備状(H29) |
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手取川上流大規模崩壊地(H27.5拡大崩壊)対策の実施
![]() 大規模崩壊地の現(H29.8) |
![]() ヘリを活用し緑化工を施工 |
![]() 関係機関と連携し在来種子を採取(H29.10) |
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地域と連携した防災対策の推進
昨年の九州北部豪雨における流木災害を受けて実施した緊急点検箇所において治山ダムの設置や現地調査・治山施設の設計を実施します。
また、地域ニ-ズを踏まえ、民有林や地域の自治体・住民の方々と連携した治山施設や保安林の整備に取り組むとともに、木材利用を進める観点から、治山工事における間伐材等の利用を進めます。
流木災害対策の実施
山地災害危険地区について実施した緊急点検により抽出された地区において、概ね3年間で治山ダム設置等の治山対策を実施します。
治山ダムによる流木の捕捉(広島市安佐北区 高松山国有林)
治山ダム予定箇所の状況 (広島県庄原市比和奥山国有林)
現地調査予定の渓流の状況 (岡山県真庭市深谷国有林)
地域と連携した治山対策の取組
民有林と連携し上下流で一体的に流域の整備を行う特定流域総合治山事業に三重森林管理署、鳥取森林管理署で取り組みます。また福井森林管理署等で地域の方々と協働した保安林の整備に取り組みます。
特定流域総合治山事業の実施(鳥取森林管理署)
鳥取県と連携し一体的に荒廃渓流を整備
(鳥取県琴浦町本谷奥国有林)
海岸防災林(潮害防備保安林)の整備(福井森林管理署)
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(治山事業により防風柵を設置) | (地域の方々による地表掻き起こし) |
日本三大松原の一つ「気比の松原」で地域の方々と協働し保安林整備を実施
(福井県敦賀市 松原国有林)
治山事業における木材利用の推進
間伐材等の有効利用は、森林整備の推進や炭素の貯蔵にも貢献できます。このため、治山工事においても間伐材等を構造物の資材や型枠等に積極的に利用しています。
治山ダムの部材に間伐材を利用
(岡山県高梁市 臥牛山国有林)
コンクリート型枠に間伐材を使用
(三重県熊野市 大又国有林)
(参考)災害発生時の森林管理局・署による初動対応について
山地災害発生の際には、森林管理署(所)・森林管理局の職員が現地確認やヘリコプターによる調査を実施し、全容を把握します。
これに基づき必要に応じて応急対策を実施するとともに、本格的な復旧工事に向け現地の詳細調査・測量を行うなどの初動対応を行い、被災地域の早期復旧・復興に全力を挙げています。
島根県西部を震源とする地震生後にヘリ調査を実施(H30.4.10)
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大阪府北部を震源とする地震発生後にヘリ調査を実施(H30.6.19)
復旧工事のための現地測量
(H29.11 島根森林管理署)
福岡県との打合せ | 荒廃状況調査 |
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現地測量 |
調査結果取りまとめ作業 |
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福岡県へ局署職員による「山地災害対策緊急展開チーム」を派遣、九州北部豪雨で被害を受けた民有林の荒廃状況調査、復旧工法の検討、測量設計等の技術支援を実施(H29.8.21~9.1、延べ30人日)
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崩壊拡大防止のための応急措置・土砂撤去
(H28.9 京都大阪森林管理事務所 )