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林野庁

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第2章 林業と山村(中山間地域)

1.林業の動向

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(1)林業生産の動向

➢ 我が国の林業産出額は増加傾向で推移しているが、2021年は、不足した輸入木材の代替として国産材の需要が高まったこと等を背景に、前年比13.0%増の5,457億円。ここ20年で最高の水準

➢ このうち約6割を占める木材生産は前年比32.0%増の3,254億円

➢ 2021年3月以降の木材価格の上昇が波及した結果、2022年3月末現在の山元立木価格は、スギ・ヒノキ・マツ(トドマツ、エゾマツ、カラマツ)ともに上昇


(2)林業経営の動向

➢ 林家約69万戸のうち保有山林面積が10ha未満の林家が88%を占め、小規模・零細な所有構造

➢ 林業経営体による素材生産量の約8割は森林所有者からの受託や立木買い。また、民間事業体や森林組合が素材生産全体の約8割を担っている状況

➢ 1林業経営体当たりの平均素材生産量は増加。年間素材生産量が1万m3以上の林業経営体による生産量が約7割を占めるまで伸展し、規模拡大が進行

➢ 森林組合は613組合(2020年度)。森林整備の中心的な担い手となっており、経営基盤の強化が必要

➢ 林業経営体の経営力の強化に向け、持続的な経営プランを立てて実践する「森林経営プランナー」の育成を支援



(3)林業労働力の動向

➢ 林業従事者数は、長期的には減少傾向であったが、横ばいに転じ、2020年は約4.4万人。若年者率は全産業で低下する中、ほぼ横ばいで推移

➢ 「緑の雇用」事業を活用した2021年度の新規就業者は720人。また、外国人技能実習2号の追加に向けた取組を支援

➢ 林業の労働災害発生率は低下傾向にあるものの他産業に比べて高いため、安全衛生装備の導入支援や、林業経営体に対する安全巡回指導、林業従事者に対する各種の研修等を実施

➢ 林業従事者の通年雇用化が進展し、年間平均給与も343万円(2017年)まで上昇しているが、全産業より100万円程度少ない状況にあり、経営体の収益性向上の取組等を推進

➢ 林業に従事する女性は2,730人(2020年)。近年、林業の機械化等により女性活躍の場が増加。女性が働きやすい環境を整える取組を推進



(4)林業経営の効率化に向けた取組

施業の集約化

➢ 生産性向上を図るためには、複数の所有者の森林を取りまとめ、路網整備や間伐等の森林施業を一体的に実施する「施業の集約化」が必要

➢ 森林経営計画制度や森林経営管理制度の運用、「森林施業プランナー」の育成により施業集約化を推進

➢ 特に、所有者が不明な森林や境界が不明確な森林の存在に対しては、所有者不明森林等における特例措置や境界の明確化で対応。「所有者不明森林等における特例措置活用のための留意事項(ガイドライン)」を2023年2月に改訂し、特例措置の活用を推進

➢ 所有者や境界の情報等を一元的に管理する林地台帳の活用や、都道府県での森林クラウドの導入により、林業経営体に対して施業集約化に必要となる森林情報の提供を推進

➢ 2021年の外国資本による森林取得は19件、231ha。過去の取得事例を含め、これまで無許可開発等の問題事例の報告無し

「新しい林業」に向けて

➢ 林業は、造林から収穫まで長期間を要し、自然条件下での人力作業が多いことから、低い生産性や安全性の改善が課題

➢ このため、新技術を活用して生産性や安全性を向上させ、伐採から再造林・保育に至る収支のプラス転換を可能とする「新しい林業」に向けた取組を推進

➢ 「森林・林業基本計画」(2021年6月閣議決定)の検討においては、現時点で実装可能な取組を想定した「近い将来」では、作業員賃金を向上させた上で、林業経営の黒字化が可能と試算。さらに、エリートツリーや自動化機械を想定した「新しい林業」では、黒字幅を拡大可能と試算

➢ 収益性の向上につながる経営モデルの実証により、「新しい林業」の経営モデルの構築・普及の取組を支援

➢ 林業・木材産業へのスマート・デジタル技術等の活用、林業機械の自動化・遠隔操作化に向けた開発等を推進


2.特用林産物の動向

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(1)きのこ類等の動向

➢ 特用林産物は林業産出額の約4割

➢ 特用林産物の生産額の8割以上がきのこ類で、その生産量については近年ほぼ横ばい

➢ 原木しいたけ生産者戸数は減少傾向。菌床きのこ等生産者戸数は横ばいで推移

➢ 国産きのこ類の需要拡大と担い手確保のため、新商品開発や人材育成等の取組を支援

➢ 2022年のきのこ類の輸出額は前年比7.6%増の約11億円

(2)薪炭・竹材・漆の動向

➢ 木炭の生産量は長期的に減少傾向で推移

➢ 薪の生産量は、化石燃料への転換により減少傾向が続いていたが、2007年以降、ピザ窯や薪ストーブへの利用増加等を背景に増加傾向。2021年はキャンプブーム等の影響もあり、前年比9.9%増の約5.7万m3


3.山村(中山間地域)の動向

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(1)山村の現状

➢ 山村は、林業を始め様々な生業が営まれる場であり、森林の多面的機能の発揮にも重要な役割

➢ 「山村振興法」に基づく振興山村は国土面積の約5割、林野面積の約6割。過疎化・高齢化が進行し、森林の荒廃等の問題が発生

➢ 山村の豊富な森林・水資源、景観、文化等に対しては、都市住民や外国人観光客、地方移住希望者から大きな関心


(2)山村の活性化

➢ 山村地域での生活を成り立たせていくためには、地域資源を活かした産業の育成等を通じた山村の内発的な発展が不可欠。森林資源を活用して、林業・木材産業を成長発展させるほか、特用林産物、広葉樹、ジビエ等の地域資源の発掘と付加価値向上等の取組を支援

➢ コミュニティの維持・活性化のため、地域住民や地域外関係者(関係人口等)による里山林の継続的な保全管理や利用等の協働活動を促進

➢ 林業高校・林業大学校等への進学、「緑の雇用」事業によるトライアル雇用等を契機とした移住・定住を促進

➢ 健康、観光、教育等の多様な分野で森林空間を利用しようとする新たな動きを受け、山村地域における新たな雇用と収入機会を生み出し、関係人口の創出・拡大にもつながる「森林サービス産業」の創出を推進

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事例 和歌山県における「わかやま林業移住」の取組


➢ 和歌山県では、新規就業者を確保するため林業移住を推進。都市部等における説明会やSNSを活用した情報発信により就業希望者の裾野を拡げるとともに、関係機関と連携し仕事・住まい・暮らしをサポート

➢ 和歌山県農林大学校林業研修部において、就業前に林業の技術を習得するための取組を実施



お問合せ先

林政部企画課

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