このページの本文へ移動

林野庁

メニュー

第5章 東日本大震災からの復興

1. 復興に向けた森林・林業・木材産業の取組

目標15
目標11
目標2

(1)森林等の被害と復旧状況

➢ 東日本大震災により、15県で林地荒廃、治山・林道施設の被害等が発生し、災害復旧事業の対象箇所の98%が工事完了(2020年1月時点)

➢ 被災した木材加工・流通施設(全国115か所)について、廃棄・復旧・整備等を支援し、97か所が操業を再開(2019年4月時点)
 素材生産や木材製品の生産は、おおむね震災前の水準にまで回復


(2)海岸防災林の復旧・再生

➢ 津波により被災した海岸防災林の要復旧延長は約164km
 全ての箇所で復旧工事に着手済み(うち約130kmで工事完了)(2020年1月末時点)

➢ 海岸防災林の再生のために必要な苗木が計画的に確保されるよう、抵抗性クロマツを含む苗木の安定供給体制の確立に向けた取組を実施

➢ 植栽・保育に当たっては地域住民、企業、NPO等も参加


(3)復興への木材の活用と森林・林業の貢献

県産材がふんだんに使用された東日本大震災津波伝承館(岩手県陸前高田市)

➢ 岩手県、宮城県及び福島県では、応急仮設住宅の4分の1以上(約1万5千戸)を木造で建設
 災害公営住宅(構造判明戸数)の約3割(約9千戸、2019年9月末時点)を木造で建設又は建設予定

➢ 被災者の住宅再建に向けた「地域型復興住宅」を提案する取組、非住宅建築物や土木分野の復旧・復興事業に地域の木材等を活用する取組も進捗

➢ 地震と津波により発生した大量の災害廃棄物のうち、木質系災害廃棄物は、木質ボードの原料、ボイラー燃料、発電等に利用

➢ 人口減少や産業空洞化といった全国の地域にも共通する課題解決に向け、林業・木材産業分野でも森林資源の活用を通じた復興に向けた取組を実施

イメージキャラクター

事例 宮城県南三陸町みなみさんりくちょうにおける森林認証を活用した取組

店舗什器に使用されている南三陸材

➢ 宮城県南三陸町は、町内面積の8割を占める山林を地域の財産として持続可能な形で活用するため、2015年10月に森林認証を取得

➢ 森林認証を軸に、町の林業や南三陸杉の周知を目的として情報発信等を行っており、それをきっかけとして環境に関心の高い企業や消費者等との新しいつながりも開拓

➢ 町は、養殖業においてもASC認証(※)を取得し、森林認証と併せて、山と海が連関する「南三陸」の地域ブランドのより強力な発信を期待


※自然や資源保護に配慮しつつ、安全で持続可能な養殖業を営んでいることを認める認証制度。


2. 原子力災害からの復興

(1)森林の放射性物質対策

➢ 「福島の森林・林業の再生に向けた総合的な取組」(2016年3月)に基づき、住居周辺の里山の再生に向けた取組、林業再生に向けた取組等を実施

➢ 公的主体による森林整備とその実施に必要な放射性物質対策を行う林業再生対策を、2019年度までに福島県内44市町村で実施

➢ 森林内の放射性物質の分布状況の推移等について調査・研究を実施

➢ 森林における放射性物質の分布等に係る知見を始めとした、森林・林業再生のための取組等について、シンポジウムや展示等を通じて、最新の情報の提供や木材やきのこ等に含まれる放射性物質に関するリスクコミュニケーションを実施


➢ 避難指示解除区域等において、関係省庁が連携して里山再生に向けた取組を総合的に推進する「里山再生モデル事業」を実施
 2019年度末までに14市町村で間伐等の森林整備を実施


(2)安全な林産物の供給

➢ 食品中の放射性物質の基準値(一般食品は100Bq/kg)に基づき、特用林産物23品目に出荷制限(2020年3月10日現在)

➢ 「放射性物質低減のための原木きのこ栽培管理に関するガイドライン」に沿った栽培管理を行い、基準値を超えるきのこが生産されないと判断された場合、ほだ木のロット単位での出荷が可能
 きのこ等の生産継続・再開に向けて支援

➢ 「野生きのこ類等の出荷制限解除に向けた検査等の具体的運用」の周知により、野生のきのこ・山菜等の出荷制限の解除も進みつつある状況

➢ 福島県産を始めとするきのこ原木の減少に対応し、原木の安定供給に向けて需給のマッチング等を推進

➢ 消費者に安全な木材製品等を供給するため、木材製品や作業環境等に係る放射性物質の調査・分析、木材製品等の安全証明体制の構築等に対して支援


(3)樹皮やほだ木等の廃棄物の処理

➢ 燃料や堆肥等に利用されていた樹皮(バーク)は、放射性物質の影響により製材工場等に一部滞留したが、廃棄物処理場での処理等を支援し滞留量が減少
 また、樹皮(バーク)の新たな利用方法の開発など、利用の拡大に向けた実証を実施
 使用できなくなったほだ木等の処理も、安全性を確認しながら実施


(4)損害の賠償

➢ 林業関係では、避難指示等に伴う事業への支障や原木しいたけの減収等に関する損害賠償が実施
 2014年9月から避難指示区域内の山林の土地及び立木に係る財物賠償が請求受付され、2015年3月からは避難指示区域外の福島県内の立木についても財物賠償が請求受付



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader