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林野庁

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第3章 木材需給・利用と木材産業

1.木材需給の動向

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(1)世界の木材需給の動向

➢ 世界の産業用丸太消費量は近年増加傾向だったが、2019年は前年比2%減の20億3,096万m3(丸太換算。以下同じ)

➢ 世界の産業用丸太の輸入量は前年比0.3%増の1億4,437万m3。最大の輸入国は中国で、世界の輸入量に占める割合は44%

➢ 2019年における針葉樹製材の消費量は、北米、欧州で減少。生産量は、北米で減少、欧州で増加


(2)我が国の木材需給の動向

➢ 木材需要量は、2009年を底に増加傾向だが、2019年は前年比0.7%減の8,191万m3(丸太換算。以下同じ)

➢ 国産材供給量は、2002年を底に増加傾向で、2019年は前年比2.6%増の3,099万m3となり、そのうち用材は前年比0.5%増加

➢ 木材輸入量は、2019年は製材品、木材製品の輸入量が減少したことにより、前年比2.6%減の5,092万m3

➢ 木材自給率は、上昇傾向で推移しており、2019年には9年連続で上昇し、前年比1.2ポイント上昇の37.8%、製材用材は51.0%と5割を達成


(3)木材価格の動向

➢ 2020年のスギ・ヒノキの素材価格はやや下落、製材品価格はほぼ横ばい、国産の木材チップ価格はやや上昇


(4)違法伐採対策

➢ 2017年5月に施行されたクリーンウッド法により、全ての事業者は、合法伐採木材等を利用するよう努めなければならないと規定
 特に木材関連事業者は、取り扱う木材等について「合法性の確認」等の取組を実施

➢ 合法伐採木材等利用確保のための措置を適切かつ確実に行う木材関連事業者は、「登録木材関連事業者」として登録。現在536事業者が登録済み(2021年3月末時点)


(5)木材輸出対策

➢ 木材輸出額は2013年以降増加傾向で推移し、2020年は前年比3%増の357億円

➢ 2020年12月に決定した「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」において、製材・合板を輸出の重点品目に選定。中国・米国・韓国・台湾等をターゲットに、建築部材・高耐久木材の海外販路拡大やマーケティング等に取り組む方針
 輸出産地をリスト化し、製材について4産地、合板について8産地を掲載

➢ 中国において、日本産木材と木造軸組構法が盛り込まれた「木構造設計標準」が2018年に施行。設計・施工に当たっての現場向け指針の作成、市場調査、プロモーション活動を支援


2.木材利用の動向

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(1)木材利用の意義

➢ 木材利用は、快適で健康的な住環境等の形成に寄与するだけでなく、森林の多面的機能の持続的な発揮及び地域経済の活性化にも貢献

➢ 木材には調湿作用や高い断熱性等があるほか、嗅覚、触覚、視覚を通し生理・心理面に好影響

➢ 木材は炭素を貯蔵し、製造・加工時の二酸化炭素の排出が少なく、そのエネルギー利用は化石燃料を代替。木材利用は、2050年カーボンニュートラルに貢献


(2)建築分野における木材利用

➢ 1~3階建ての低層住宅については、木造率は8割に上るが、4階建て以上の中高層建築及び非住宅建築の木造率はいずれも低位

➢ 住宅分野は木材需要において重要であるとともに、中高層及び非住宅分野における木造化・木質化を進め、新たな木材需要を創出することが重要

階層別・構造別の着工建築物の床面積

住宅分野における木材利用

➢ 住宅メーカーにおいては、国産材を積極的に利用する取組が拡大

➢ 森林所有者から大工・工務店等の住宅生産者までの関係者が一体となって家づくりに取り組む「顔の見える木材での家づくり」を推進

非住宅・中高層分野における木材利用

➢ 木質耐火部材やCLT等の、木材を建築材料に使うための製品・技術の開発など、非住宅・中高層分野で木材を利用できる環境が制度や技術面において整備

➢ 各地で非住宅・中高層建築物の木造化・木質化に取り組む動き
 企業、団体等が連携し、国産材の利用拡大に向け課題解決を図る取組を実施

イメージキャラクター

事例 「束ね柱」を用いた木造7階建てビルの建設


スギ製材の「束ね柱」

➢ 製材を束ねて使用した、7階建ての木造高層建築「髙惣木工たかそうもっこうビル」が仙台駅前に建設

➢ 地域の製材工場で生産・加工された製材品を利用できる工法であり、今後、地域材を用いた中高層建築物の可能性の広がりに期待


公共建築物等における木材利用

➢ 2019年度に着工された公共建築物の木造率(床面積ベース)は13.8%、うち低層は28.5%

➢ 都道府県ごとでは、低層の木造率が4割を超える県があるものの、ばらつき

➢ 民間事業者が整備する公共建築物における木造化・木質化の在り方等の検討や、普及ツールの作成等に対し支援を実施


(3)木質バイオマスの利用

木質バイオマスのエネルギー利用

➢ エネルギー利用された木質バイオマス量は年々増加し、2019年における燃料材の国内消費量は前年比15%増の1,038万m3、うち国内生産量は同11%増の693万m3

➢ 再生可能エネルギーの固定価格買取制度により木質バイオマス発電施設が各地で稼働し、地域経済への効果等が発揮される一方、燃料材供給の持続可能性確保が課題

➢ 地域の森林資源を熱利用・熱電気供給により持続的に活用する「地域内エコシステム」の構築を推進


木質バイオマスのマテリアル利用

➢ 木材の工業用素材としての利用に向けた動きが進展

➢ 軽量ながら高強度の素材であるCNF(セルロースナノファイバー)は、製造設備が各地で稼働し、運動靴、建築資材等として一部実用化

➢ 2019年4月、「改質リグニン」の産業化を目指す「地域リグニン資源開発ネットワーク(リグニンネットワーク)」が発足、幅広い業種が参画。振動板に改質リグニンを用いたスピーカーが商品化


(4)消費者等に対する木材利用の普及

デザイナー・プランナー等が森林・林業の現場を訪れ、その魅力を発信するプロジェクト

➢ 一般消費者を対象に木材利用の意義を普及啓発するため、「木づかい運動」を展開

➢ 「ウッドデザイン賞」では、木の良さや価値を再発見させる製品や取組等について、消費者目線で評価・表彰し、2020年度は191点が受賞

➢ 子供から大人までが木の良さや利用の意義を学ぶ「木育」を推進
 ワークショップや、関係者間のネットワーク構築等、様々な活動が多様な主体により実施


3.木材産業の動向

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(1)木材産業の概況

➢ 木材・木製品製造業の付加価値額は、2009年を底に回復傾向で推移し、2018年は前年比2.5%増の約84百億円


(2)需要者ニーズへの対応に向けた木材産業の取組

➢ 木造建築物の品質・性能に対する消費者ニーズが高まっている中、建築の現場においては人工乾燥材を使用したプレカット材が普及

➢ 特に新たな需要先として期待される非住宅分野等の大規模な建築物の木造化には、品質・性能の確かな部材としてのJAS製品等が求められるため、JAS構造材の積極的活用や施設の整備への支援など、JAS製品等の安定供給体制の整備が必要

➢ 住宅メーカーや工務店等のニーズに応じた製品を安定的に供給するため、(ア)大型工場単独での規模拡大、(イ)複数工場の連携による生産の効率化、(ウ)地域ごとに木材生産者、製材工場、工務店等が連携した特色ある家づくり等の取組を実施

➢ 川上から川下に至る各事業者が連携し、原木流通の効率化や需給情報の共有等のサプライチェーンマネジメントを推進する取組を支援


(3)新たなニーズを創出する製品・技術の開発・普及

➢ 従来木材があまり使われてこなかった分野における木材需要を創出する、CLT、木質耐火部材等の、新たな製品・技術の開発・普及に向けた取組を実施


(4)木材産業の各部門の動向

(ア)製材業

➢ 製材品出荷量は2010年以降はほぼ横ばいで推移し、2019年は前年比1.8%減の903万m3
 製材用素材入荷量の77%が国産材


(イ)集成材製造業

➢ 国内における集成材の生産量は、2019年には192万m3。このうち構造用が183万m3。集成材の製品輸入は97万m3で、集成材供給量全体に占める国産材の割合は増加傾向


(ウ)合板製造業

➢ 普通合板の生産量は、2019年には前年比1.2%増の334万m3であり、用途別にみると構造用がほとんど

➢ 合板への国産材針葉樹の利用が拡大し、2019年には国内の合板生産における国産材割合は87%に上昇
 輸入製品を含む合板用材需要量全体に占める国産材割合は45%で増加傾向


(エ)木材チップ製造業

➢ 2019年の木材チップ(燃料用チップを除く)の生産量は前年比8%減の527万トン
 木材チップ用素材入荷量のほとんどが国産材の一方、木材チップの輸入量は2019年には1,217万トンで消費量の約7割


(オ)プレカット加工業

➢ 木造軸組構法におけるプレカット材の利用率は2019年には93%まで拡大


(カ)木材流通業

➢ 2018年の国産材原木の流通において、素材生産者から木材市売市場を通したものは40%、伐採現場等から工場へ直送されたものは41%。直送される割合は増加傾向



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

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