このページの本文へ移動

林野庁

メニュー

令和3年度 森林及び林業施策 2 林業の持続的かつ健全な発展に関する施策

1 望ましい林業構造の確立

林業の持続的かつ健全な発展を図るため、高い生産性と収益性を実現し、森林所有者の所得向上と他産業並みの従事者所得と労働環境を確保できる林業経営の育成を目指し、森林施業の集約化、低コストで効率的な作業システムによる施業の実施、経営感覚に優れた林業経営体の育成、林業労働力の確保等の施策を実施する。


(1)意欲と能力のある林業経営体の育成

意欲と能力のある林業経営体の育成を図るため、

1)経営管理の集積・集約化が見込まれる地域を中心とした路網整備・機能強化や高性能林業機械の導入の重点的支援

2)マーケティング力の強化に向けた経営コンサルタントや生産管理の専門家の派遣

3)経営の合理化等に必要な運転資金を借り入れる場合の利率の優遇

等を実施する。

また、自伐林家等に対し、伐採に係る技術の習得や安全指導等への支援を実施する。

このほか、「林業経営基盤の強化等の促進のための資金の融通等に関する暫定措置法」(昭和54年法律第51号)等に基づく金融・税制上の措置等を実施する。


(2)スケールメリットを活かした林業経営の推進

施業集約化をより一層推進するため、ICTの活用、地籍調査等との連携による森林所有者及び境界の確認の効率化等を推進する。また、共有林等での施業促進、新たに森林経営をしようとする者による森林経営計画の作成促進等を図る。


(3)効率的な作業システムによる生産性の向上

林業の収益性の向上や木材需要に対応した原木の安定供給等を着実に推進するため、

1)ICT等先端技術を活用した路網作設や高効率な作業システムの運用を担うことができる高度技能者の育成

2)高性能林業機械の導入の支援

等に取り組む。

また、国有林においては、現場技能者等の育成のための研修フィールドを提供する。


(4)先端技術の活用による林業経営の効率化の推進

令和元(2019)年12月に策定した「林業イノベーション現場実装推進プログラム」に基づき、林業の生産性・安全性を飛躍的に向上させ、林業のスマート化を推進するため、

1)産学官のトップランナーから成るプラットフォームの構築

2)林業機械の自動化、木質系新素材等の開発・実証

3)ICT等先端技術を現場レベルで活用する実践的取組

4)造林分野への異分野技術等の導入促進

5)国有林における森林資源データの整備や情報通信基盤等の実証

6)レーザ計測等による森林資源・境界情報のデジタル化

7)森林資源データの解析・管理手法の標準仕様の作成

8)早生樹母樹林の保全・整備や採種園の造成等

9)造林事業における低コスト技術やリモートセンシング技術の活用

10)ICT等を活用した森林整備・路網作設ができる高度技術者等の育成

等の取組を推進する。


(5)経営感覚に優れた林業経営体の育成

林業経営体が厳しい経営環境下でも収益を確保し、森林所有者の所得向上にも資するよう、主伐・再造林や木材の有利販売など林業経営上の新たな課題に対応できる経営人材(森林経営プランナー)や森林所有者に対し森林施業を提案する人材(森林施業プランナー)の育成を図るとともに、他産業を含めた生産管理手法や先進事例の普及、ICTを活用した生産管理手法の開発等を推進する。

さらには、「緑の雇用」事業により素材生産と造林・保育、森林作業道の作設等を兼務できる現場技能者の育成を進める。

また、国有林においては、多様な立地を活かし、事業の実施、現地検討会の開催、先駆的な技術の実証等を通じて林業経営体の育成に寄与する。


2 人材の育成、確保等

(1)人材の育成及び確保並びに活動の推進

ア これからの森林経営を担う人材や施業集約化等を担う人材及び地域の森林経営を支援する人材の育成

森林施業プランナーについては、全国的に一定の質を確保しつつ、地域ごとの特性を踏まえたより実践力のある者を育成するため、研修カリキュラムや認定基準の策定及び都道府県等が実施する各種研修等の実施の取組を支援する。

さらに、森林資源の成熟化等に伴い、主伐・再造林や木材の有利販売など林業経営上の新たな課題に対応できる経営人材(森林経営プランナー)を育成するための研修等の取組に対して支援する。

また、引き続き、市町村森林整備計画の策定等の支援を通じて、地域の新たな課題に対応し、地域の森林もりづくりの全体像を描くとともに、森林施業プランナー等に対し指導等を行う人材(森林総合監理士(フォレスター))の育成を進める。

イ 林業経営を担うべき人材の育成及び確保

効率的な経営を行う林業経営者の育成及び確保を図るため、地域のリーダー的な森林所有者で組織する林業研究グループ等が行うコンクール等を支援する。

また、林業後継者の育成及び確保を図るため、森林・林業関係学科の高校生等や社会人を対象にしたインターンシップ等を支援する。

ウ 女性活躍の推進

女性の林業への参画や定着を促進するため、女性林業者等が行う地域資源を活かしたブランディングへの支援等を実施する。


(2)林業労働力及び労働安全衛生の確保

ア 「緑の雇用」事業等を通じた現場技能者の育成

林業大学校等において、林業への就業に必要な知識等の習得を行い、将来的に林業経営をも担い得る有望な人材として期待される青年に対し、就業準備のための給付金を支給するとともに、就職氷河期世代を含む幅広い世代を対象にトライアル雇用(短期研修)等の実施を支援する。

また、新規就業者に対しては、段階的かつ体系的な研修カリキュラムにより、安全作業等に必要な知識、技術及び技能の習得に関する研修を実施するとともに、林業での定着に向けた就業環境の整備を支援する。一定程度の経験を有する者に対しては、工程・コスト管理等のほか、関係者との合意形成並びに労働安全衛生管理等に必要な知識、技術及び技能の習得に関するキャリアアップ研修を実施する。これらの研修修了者については、農林水産省が備える名簿に統括現場管理責任者(フォレストマネージャー)等として登録することにより林業就業者のキャリア形成を支援する。

イ 雇用管理の改善

都道府県及び林業労働力確保支援センターによる林業経営体の社会保険及び退職金制度への加入状況等に応じた雇用管理改善の指導を促進するとともに、労働者の働きやすい環境を整備し魅力的な職場をつくるため、作成した手引きの活用を推進する。また、林業従事者の技能向上や処遇改善につながる技能検定への林業の追加に向けた取組を支援する。

ウ 労働安全衛生の向上

近年の労働災害の発生状況を踏まえ、安全な伐木技術の習得など就業者の技能向上のための研修や林業労働安全に資する最新装置等を活用した研修、林業経営体への安全巡回指導、振動障害及び蜂刺傷災害の予防対策、労働安全衛生マネジメントシステムの普及啓発等を実施する。

また、林業経営体の自主的な安全活動を促進するため、労働安全コンサルタントの活用を推進する。さらに、林業・木材産業における労働災害の情報収集・分析を行い、就業者の安全確保のための普及啓発等を実施する。

このほか、令和2(2020)年2月から開催した「農林水産業・食品産業の現場の新たな作業安全対策に関する有識者会議」での議論を踏まえ策定した「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範」に基づく取組の推進を図る。


3 林業災害による損失の補塡

災害によって林業の再生産が阻害されることを防止するとともに林業経営の安定を図るため、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林保険センターが行う火災、気象災及び噴火災による森林の損害を補塡する森林保険の普及に引き続き努める。



お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader