第1部 第4章 第1節 木材需給の動向（3）

（3）木材価格の動向

（国産材素材価格はやや上昇）

国産材の素材（丸太）価格（＊40）は、昭和55（1980）年をピークとして長期的に下落傾向にあったが、平成21（2009）年以降はほぼ横ばいで推移してきた。

平成25（2013）年から平成26（2014）年にかけては、好調な住宅向けの需要により国産材の製材用素材価格は上昇したものの、平成27（2015）年にはスギ・ヒノキの素材価格が下落した。その後、ほぼ横ばいで推移したが、平成30（2018）年は堅調な建築需要等によりやや上昇し、スギ13,600円/m³（前年比500円/m³高）、ヒノキ18,400円/m³（前年比300円/m³高）となった。一方でカラマツは11,800円/m³（前年比100円/m³安）となった（資料4－14）。

輸入丸太の価格は、為替レートや生産国の動向等により、大きく変動する。米材（べいざい）（＊41）丸太の価格は、原油価格の上昇や円安方向への推移の影響により、平成17（2005）年頃から上昇していたが、その後、リーマンショックや為替変動等の影響を受けて下落と上昇を繰り返した。平成30（2018）年は、昨年来の旺盛な産地需要等の影響による価格高騰の傾向が続き、米（べい）マツ（＊42）丸太の価格は、40,200円/m³（前年比7,600円/m³高）となっている。また、米（べい）ツガ（＊43）では26,800円/m³（前年比3,800円/m³高）となっている。北洋材丸太の価格は、原油価格の上昇とロシアによる丸太輸出税の引上げにより、平成19（2007）年に急激に上昇した。平成30（2018）年の北洋エゾマツ（＊44）丸太の価格は、26,300円/m³（前年比1,900円/m³高）となっている。

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（国産材の製材品価格はほぼ横ばい）

平成30（2018）年の国産材の製材品価格（＊45）は、スギ正角（しょうかく）（＊46）（乾燥材）は66,500円/m³（前年比300円/m³高）、ヒノキ正角（しょうかく）（乾燥材）で83,300円/m³（前年比1,600円/m³安）となっている。

また、輸入材の製材品価格は、構造用材としてスギ正角（しょうかく）（乾燥材）と競合関係にあるホワイトウッド集成管柱（くだばしら）（＊47）の価格でみると、円安方向への推移の影響等により平成19（2007）年に急上昇したが、その後の円高方向への推移の進行等により、平成20（2008）年から平成21（2009）年にかけて下落した。平成26（2014）年には、円安方向への推移の影響等により78,600円/m³（前年比6,000円/m³高）となり、その後はほぼ横ばいで推移し、平成30（2018）年は75,600円/m³（前年比3,000円/m³安）となっている。

針葉樹合板の価格は、為替変動等により平成20（2008）年から平成21（2009）年にかけて下落したが、その後は上昇傾向に転じた。平成30（2018）年の針葉樹合板の価格は前年に引き続き上昇し、1,290円/枚（前年比20円/枚高）であった（資料4－15）。

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（国産木材チップ価格は上昇）

国産木材チップ（紙・パルプ用）の価格は、平成19（2007）年から平成21（2009）年にかけて、製材工場からのチップ原料の供給減少等により顕著な上昇傾向にあったが、平成22（2010）年以降は、チップ生産量の増加等により下落した。その後、平成26（2014）年以降は上昇傾向にあり、平成30（2018）年の国産針葉樹チップの価格は14,000円/トン（前年比200円/トン高）、国産広葉樹チップの価格は18,700円/トン（前年比200円/トン高）であった。国産木材チップ（紙・パルプ用）の価格が上昇傾向にある要因として、木質バイオマス発電施設等が各地で稼動し、木材チップ全体の需要が増加していることが考えられる。

また、輸入木材チップの価格は、中国での紙需要の増加を背景に上昇してきたが、リーマンショックを機に、平成21（2009）年から平成22（2010）年にかけて下落した。平成25（2013）年以降は円安方向への推移の影響等もあり上昇していたが、平成28（2016）年には円高方向への推移の影響を受けて下落した。平成30（2018）年の輸入針葉樹チップの価格は22,400円/トン（前年比2,500円/トン高）、輸入広葉樹チップの価格は19,900円/トン（前年比600円/トン高）であった（資料4－16）。