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林野庁

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第1部 森林及び林業の動向 はじめに

はじめに

森林は、国土の保全、水源の涵(かん)養、木材等の生産等の多面的機能の発揮によって、国民生活及び国民経済に大きな貢献をしている。また、現在の我が国の森林は、これまでの先人の努力等により、戦後造林された人工林を中心に本格的な利用期を迎えており、国内の豊富な森林資源を循環利用することが重要な課題となっている。

国産材の供給体制をみると、平成14(2002)年には約19%まで落ち込んだ木材自給率は平成28(2016)年には約35%まで上昇しているものの、森林所有者の多くは小規模零細で経営規模を拡大する意欲等が低く、積極的経営を期待できない中で、主伐期にある人工林は年間成長量の4割以下しか活用されていない状況である。このため、意欲ある持続的な林業経営者に林業経営を集積・集約化し、間伐のみならず主伐や主伐後の再造林についても合理的に進めるなど、資源の循環利用を更に進めていくための仕組みを整える必要がある。また、ICTの技術を活用するなどにより、川上の林業経営者から川下の木材需要者までの連携を進めることや、大幅な木材需要の増加が見込めない中で、非住宅建築や中高層建築向け等の新規需要を拡大していく必要がある。

平成29(2017)年、政府は、6月に「経済財政運営と改革の基本方針2017~人材への投資を通じた生産性向上~」と「未来投資戦略2017」を閣議決定した。これらの基本方針や戦略等においては、林業の成長産業化の実現と森林資源の適切な管理のため、森林の経営管理を、意欲と能力のある林業経営者に集積・集約化するとともに、それができない森林の経営管理を市町村が行う新たな仕組みを検討することとしている。

また、こうした検討と併せ、農林水産省では、森林の整備及び保全を図りつつ、効率的かつ安定的な林業経営の育成、木材の加工・流通体制の整備等による木材産業の競争力強化、新たな木材需要の創出等を進めるとともに、国有林野の管理経営、東日本大震災や平成28年熊本地震等の災害からの復興にも取り組んでいる。

本年度報告する「森林及び林業の動向」は、このような動きを踏まえ、この一年間における森林・林業の動向や主要施策への取組状況を中心に、森林・林業に対する国民の皆様の関心と理解を深めていただくことを狙いとして作成した。

冒頭のトピックスでは、平成29(2017)年度の動きとして、「森林環境税(仮称)の創設」、「日EU・EPAの交渉結果等」、「「地域内エコシステム」の構築に向けて」、「「日本美(うつく)しの森 お薦め国有林」の選定」、「明治150年~森林・林業の軌跡~」等を紹介した。

本編では、第 I 章の特集においては「新たな森林管理システムの構築」をテーマに、我が国の森林管理をめぐる状況について、欧州の林業国との比較によって課題等を浮き彫りにするとともに、新たな森林管理システムの構築の方向性について記述した。第 II 章以降の各章においては、森林の整備・保全、林業と山村(中山間地域)、木材産業と木材利用、国有林野の管理経営、東日本大震災からの復興について主な動向を記述した。


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