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林野庁

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平成29年度 森林及び林業施策

概説

1 施策の背景(基本的認識)

我が国の森林は、国土の約3分の2を占め、国土の保全、水源の涵(かん)養、生物多様性の保全、地球温暖化防止、木材等の物質生産等の多面的機能を有しており、その発揮を通じて国民生活に様々な恩恵をもたらす「緑の社会資本」である。その多くは、戦後の荒廃した森林への復旧造林をはじめ、先人の努力により植栽、保育されてきたものである。これまでに1,000万haを超える人工林が造成され、森林の総蓄積は約50億m3に達するなど森林資源は充実し、半数以上の人工林が一般的な主伐期である10齢級以上となり、これを有効に活用するとともに、計画的に再造成すべき時期を迎えている。

このような森林を適切に整備・保全しつつ、再生可能な資源としてその循環利用を進めていくことは、森林による二酸化炭素の吸収量の確保、木材利用の拡大による炭素の貯蔵及び二酸化炭素の排出削減を通じて、地球温暖化の防止に貢献するとともに、森林の公益的機能を維持・向上させ、環境負荷の少ない社会の形成、「木の文化」の継承と創造にも寄与する。

また、我が国の経済社会は、急速な少子高齢化と人口減少により地方の衰退が懸念されるなど、大きな転換点を迎えている。そのような中、山村等においては、豊富な森林資源を循環利用することで地方創生を図ろうとする機運が高まっており、木質バイオマスのエネルギー利用、中高層建築物等への利用が期待できるCLT(直交集成板)や木質耐火部材等の開発が進むなど、木材需要の拡大につながるような変化も生じている。

さらに、近年、台風に伴う集中豪雨や地震等による激甚な山地災害が頻発しており、山地災害を防止し、被害を最小限にとどめ、地域の安全性向上に資するため、被災した山地の復旧整備や事前防災・減災に向けた治山対策を推進するとともに、東日本大震災からの復旧・復興に向け引き続き取り組んでいく必要がある。

このような森林・林業を巡る情勢を踏まえ、平成28(2016)年5月には、新たな「森林・林業基本計画」が閣議決定され、今後の森林・林業に関する各種施策の基本的な方向が明らかにされたところである。

平成29(2017)年度においては、新たな「森林・林業基本計画」に基づき、林業の成長産業化に向けて、適切な森林の整備及び保全、多様で健全な森林への誘導等により、森林の多面的機能の維持及び向上を図りつつ、施業の集約化や路網整備、人材の育成及び確保等を通じた原木の安定供給体制の構築や、CLTの利用促進、公共建築物等への木材利用、木質バイオマスの利用促進等、新たな木材需要の創出に取り組む必要がある。

これらに加えて、平成28(2016)年の熊本地震や相次いで上陸した台風に伴う集中豪雨等により被災した山地の復旧整備に取り組む必要がある。


2 財政措置

(1)財政措置

平成29(2017)年度林野庁関係予算においては、一般会計に非公共事業約1,055億円、公共事業約1,900億円を計上する。特に、「農林水産業・地域の活力創造プラン」に沿って、CLT等の新たな製品・技術の開発・普及のスピードアップ、新たな木材需要の創出、国産材の安定的・効率的な供給体制の構築等により、林業の成長産業化の実現を図るとともに、森林・林業の多面的機能の維持及び向上のため、

(ア) 「次世代林業基盤づくり交付金」による、CLT等を製造する木材加工流通施設、木質バイオマス関連施設、苗木生産施設等の整備や間伐・路網整備等、地域の実情に応じた川上から川下までの総合的な支援、モデル的に選定した収益性の高い経営を実現する「林業成長産業化地域」が提案する対策への重点的な支援

(イ) 施業集約化に向けた、森林所有者・境界の明確化や市町村が森林の所有者情報を一元的に取りまとめた林地台帳の整備にも資する森林GIS等のシステム整備の支援

(ウ) 「森林・林業人材育成対策」による、林業に就業しようとする青年に対する給付金の支給、林業事業体が新規就業者に対して行う研修の支援等、「緑の雇用」事業による人材育成支援

(エ) 「新たな木材需要創出総合プロジェクト」による、中高層建築等に活用できるCLTの利用促進、CNF(セルロースナノファイバー)など新たな製品・技術の開発・普及の加速化、地域材の利用拡大等の支援、「合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律」(平成28年法律第48号)(クリーンウッド法)の施行のための取組の実施

(オ) 花粉の少ない品種等を対象とした採種園等の造成・改良、コンテナ苗の生産技術研修、花粉症対策苗木への植替え、花粉飛散防止剤の実証試験等の支援

(カ) 「シカによる森林被害緊急対策事業」による、地方公共団体等と連携した広域的かつ緊急的なシカの捕獲や捕獲強化のための行動把握の実施

(キ) 国産材の安定供給体制の構築や地球温暖化の防止のための森林整備事業、地震・集中豪雨等に対する山地防災力の強化のための治山事業等の推進

等の施策を重点的に講ずる。

また、東日本大震災復興特別会計に非公共事業約55億円、公共事業約296億円を盛り込む。



(2)森林・山村に係る地方財政措置

「森林・山村対策」及び「国土保全対策」等を引き続き実施し、地方公共団体の取組を促進する。

「森林・山村対策」としては、

(ア) 公有林等における間伐等の促進

(イ) 国が実施する「森林整備地域活動支援交付金」と連携した施業の集約化に必要な活動

(ウ) 国が実施する「緑の雇用」現場技能者育成推進事業等と連携した林業の担い手育成及び確保に必要な研修

(エ) 民有林における長伐期化及び複層林化と林業公社がこれを行う場合の経営の安定化の推進

(オ) 地域で流通する木材の利用のための普及啓発及び木質バイオマスエネルギー利用促進対策

(カ) 市町村の森林所有者情報の整備

等に要する経費等に対して、地方交付税措置を講ずる。

「国土保全対策」としては、ソフト事業として、U・Iターン受入対策、森林管理対策等に必要な経費に対する普通交付税措置、上流域の水源維持等のための事業に必要な経費を下流域の団体が負担した場合の特別交付税措置を講ずる。また、公の施設として保全及び活用を図る森林の取得及び施設の整備、農山村の景観保全施設の整備等に要する経費を地方債の対象とする。

また、上記のほか、森林吸収源対策等の推進を図るため、林地台帳の整備、森林所有者の確定等、森林整備の実施に必要となる地域の主体的な取組に要する経費について、引き続き地方交付税措置を講ずる。


3 税制上の措置

林業に関する税制について、平成29(2017)年度税制改正において、

(ア) 山林に係る相続税の納税猶予制度について、5ha未満の一定の山林の適用対象への追加、身体障害等により計画継続困難となった際の経営委託による継続、災害により経営規模の拡大が困難となった際の取組期間の延長を行うこと(相続税)

(イ) 相続税の財産評価の適正化のため、実態を踏まえ、杉及びひのきの現行評価額を全体的に引き下げ、松を個別評価とすること(相続税)

(ウ) 森林法等の一部改正に伴い、見直し後の認定基準による森林経営計画、国立研究開発法人森林研究・整備機構(旧国立研究開発法人森林総合研究所)等に対し、現行措置を引き続き適用すること(複数税目)

(エ) 森林組合等を含む協同組合等が有する普通出資に係る受取配当等について、益金不算入の特例措置を創設すること(法人税)

(オ) 林業用軽油に係る石油石炭税(地球温暖化対策のための課税の特例による上乗せ分)の還付措置の適用期限を3年延長すること(石油石炭税)

(カ) 中小企業投資促進税制について、対象資産の見直しを行った上、適用期限を2年延長すること(所得税・法人税)

(キ) 商業・サービス業・農林水産業活性化税制の適用期限を2年延長すること(所得税・法人税)

(ク) 森林組合等の貸倒引当金の特例について、割増率の引下げを行った上、適用期限を2年延長すること(法人税)

(ケ) 中小企業者等に係る法人税の軽減税率の特例の適用期限を2年延長すること(法人税)

(コ) 独立行政法人農林漁業信用基金が受ける抵当権の設定登記等に対する登録免許税率の軽減措置の適用期限を2年延長すること(登録免許税)

等の措置を講ずる。


4 金融措置

(1)株式会社日本政策金融公庫資金制度

株式会社日本政策金融公庫資金の林業関係資金については、造林等に必要な長期低利資金について、貸付計画額を189億円とする。沖縄県については、沖縄振興開発金融公庫の農林漁業関係貸付計画額を60億円とする。

森林の取得や木材の加工及び流通施設等の整備を行う林業者等に対する利子助成を実施する。

東日本大震災により被災した林業者等に対する利子助成を実施するとともに、無担保・無保証人貸付けを実施する。


(2)林業・木材産業改善資金制度

経営改善等を行う林業者・木材産業事業者に対する都道府県からの無利子資金である林業・木材産業改善資金について、貸付計画額を39億円とする。


(3)木材産業等高度化推進資金制度

木材の生産又は流通の合理化を推進するために必要な資金等を低利で融通する。

その貸付枠は、600億円とする。


(4)独立行政法人農林漁業信用基金による債務保証制度

林業経営の改善等に必要な資金の融通を円滑にするため、独立行政法人農林漁業信用基金による債務保証の活用を促進する。

東日本大震災により被災した林業者・木材産業者に対する保証料等の助成を実施する。


(5)林業就業促進資金制度

新たに林業に就業しようとする者の円滑な就業を促進するため、新規就業者や認定事業主に対する研修受講や就業準備に必要な資金の林業労働力確保支援センターによる貸付制度を通じた支援を行う。

その貸付枠は、5億円とする。


5 政策評価

効果的かつ効率的な行政の推進、行政の説明責任の徹底を図る観点から、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)に基づき、「農林水産省政策評価基本計画」(5年間計画)及び毎年度定める「農林水産省政策評価実施計画」により、事前評価(政策を決定する前に行う政策評価)や事後評価(政策を決定した後に行う政策評価)を推進する。

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
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