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林野庁

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第2部 平成28年度 森林及び林業施策

概説

1 施策の重点(基本的事項)

「森林・林業基本計画」(平成23(2011)年7月閣議決定)に沿って、以下の森林・林業施策を積極的に展開した。

また、森林・林業基本法(昭和39年法律第161号)の規定に基づき、森林及び林業をめぐる情勢の変化や施策の効果に関する評価を踏まえて、同計画の変更を行い、新たな「森林・林業基本計画」(平成28(2016)年5月閣議決定)を策定した。さらに、同計画の推進を制度面から支えるため、「森林法等の一部を改正する法律案」を第190回国会(常会)に提出し、同法案は平成28(2016)年5月に可決成立した。


(1)森林の有する多面的機能の発揮に関する施策

森林の有する多面的機能を将来にわたって持続的に発揮させていくため、面的なまとまりをもった森林経営の確立、多様で健全な森林の整備及び国土の保全等の施策を総合的かつ体系的に推進した。

特に、森林経営計画の作成に必要な森林情報の共有等を推進した。また、育成複層林への移行や長伐期化等により多様な森林の整備を推進するとともに、平成28(2016)年の熊本地震、台風に伴う集中豪雨等による被災山地の緊急的な復旧対策を実施したほか、山地防災力の強化を図るための治山事業を推進した。さらに、花粉症対策苗木の生産体制の整備、森林吸収量の確保及び検証、シカ等の野生鳥獣の生息状況を踏まえた効果的な森林被害対策、未利用間伐材等の活用による山村の活性化等を推進した。加えて、違法伐採対策として、合法木材の普及拡大、違法伐採に係る現地情報の収集等を実施した。


(2)林業の持続的かつ健全な発展に関する施策

林業の持続的かつ健全な発展を図るため、効率的かつ安定的な林業経営の育成、施業集約化等の推進、低コストで効率的な作業システムの整備及び普及、これらを担う人材の育成及び確保等の施策を推進した。

特に、情報通信技術(ICT)を活用した施業集約化等を支援したほか、低コスト造林技術の実証を実施するとともに、その導入に向けたノウハウを提案した。また、林業に就業しようとする青年に対する給付金の支給、林業事業体が新規就業者に対して行う研修の支援など「緑の雇用」事業等を通じた人材の育成を推進した。


(3)林産物の供給及び利用の確保に関する施策

林産物の供給及び利用を確保するため、原木の安定供給体制の整備、加工・流通の合理化及び低コスト化並びに木材の利用拡大を推進した。

特に、川上、川中及び川下の連携による需給情報の共有を推進したほか、木材加工流通施設の整備、間伐材の生産、路網整備等に対する一体的な支援を行った。また、公共建築物等における木材利用、CLT(直交集成板)を用いた建築物等の普及及び木質耐火部材の開発を推進したほか、木質バイオマスのエネルギー等への利用及び木材の輸出拡大に向けた取組を支援した。


(4)国有林野の管理及び経営に関する施策

国土保全等の公益的機能の高度発揮に重要な役割を果たしている国有林野の特性を踏まえ、国有林野における公益重視の管理経営を一層推進した。

また、国有林野事業の組織、技術力及び資源を活用して、民有林における低コストで効率的な作業システム等の普及及び定着、市町村行政を支援する人材の育成、災害発生時の被害状況調査や職員派遣など民有林への指導やサポート等を積極的に実施した。


(5)団体の再編整備に関する施策

森林組合等に対して、合併等による経営基盤の強化及び内部統制機能の確保等による業務執行体制の安定強化に向けた指導を実施するとともに、施業の集約化活動に対する支援等を行った。

また、組合員に対する経営の透明性の確保に向けた指導を実施したほか、森林組合系統の組織運営及び業務運営を確保するための検査を引き続き実施した。


2 財政措置

(1)財政措置

諸施策を実施するため、表のとおり林業関係の一般会計予算及び東日本大震災復興特別会計予算の確保に努めた。



(2)森林・山村に係る地方財政措置

「森林・山村対策」、「国土保全対策」等を引き続き実施し、地方公共団体の取組を促進した。

「森林・山村対策」としては、

(ア) 公有林等における間伐等の促進

(イ) 国が実施する「森林整備地域活動支援交付金」と連携した施業の集約化に必要な活動

(ウ) 国が実施する「緑の雇用」現場技能者育成推進事業等と連携した林業の担い手育成及び確保に必要な研修

(エ) 民有林における長伐期化及び複層林化と林業公社がこれを行う場合の経営の安定化の推進

(オ) 地域で流通する木材の利用のための普及啓発及び木質バイオマスエネルギー利用促進対策

(カ) 市町村の森林所有者情報の整備

等に要する経費等に対して、引き続き地方交付税措置を講じた。

「国土保全対策」としては、ソフト事業として、U・Iターン受入対策、森林管理対策等に必要な経費に対する普通交付税措置、上流域の水源維持等のための事業に必要な経費を下流域の団体が負担した場合の特別交付税措置を講じた。また、公の施設として保全及び活用を図る森林の取得及び施設の整備、農山村の景観保全施設の整備等に要する経費を地方債の対象とした。

また、上記のほか、森林吸収源対策等の推進を図るため、林地台帳の整備、森林所有者の確定など森林整備の実施に必要となる地域の主体的な取組に要する経費について、地方交付税措置を講じた。


3 税制上の措置

林業に関する税制について、平成28(2016)年度税制改正において、

(ア) エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却又は法人税額等の特別控除について、対象設備に木質バイオマス発電設備等を追加する等の見直しを行った上で、適用期限を2年間延長すること(所得税、法人税)

(イ) 森林組合の合併に係る課税の特例の適用期限を3年間延長すること(法人税)

等の措置を講じた。


4 金融措置

(1)株式会社日本政策金融公庫資金制度

株式会社日本政策金融公庫資金の林業関係資金については、造林等に必要な長期低利資金について、貸付計画額を152億円とした。沖縄県については、沖縄振興開発金融公庫の農林漁業関係貸付計画額を60億円とした。

森林の取得や木材の加工及び流通施設等の整備を行う林業者等に対する利子助成を実施した。

東日本大震災により被災した林業者等に対する利子助成を実施するとともに、無担保・無保証人貸付けを実施した。


(2)林業・木材産業改善資金制度

経営改善等を行う林業者・木材産業事業者に対する都道府県からの無利子資金である林業・木材産業改善資金の融通を行った。

その貸付枠は、100億円とした。


(3)木材産業等高度化推進資金制度

木材の生産又は流通の合理化を推進するために必要な資金等を低利で融通した。

その貸付枠は、600億円とした。


(4)独立行政法人農林漁業信用基金による債務保証制度

林業経営の改善等に必要な資金の融通を円滑にするため、独立行政法人農林漁業信用基金による債務保証の活用を促進した。

東日本大震災により被災した林業者・木材産業者に対する保証料等の助成を実施した。


(5)林業就業促進資金制度

新たに林業に就業しようとする者の円滑な就業を促進するため、新規就業者や認定事業主に対する研修受講や就業準備に必要な資金の林業労働力確保支援センターによる貸付制度を通じた支援を行った。

その貸付枠は、5億円とした。


5 政策評価

効果的かつ効率的な行政の推進、行政の説明責任の徹底を図る観点から、「行政機関が行う政策の評価に関する法律」(平成13年法律第86号)に基づき、「農林水産省政策評価基本計画」(5年間計画)及び「平成28年度農林水産省政策評価実施計画」により、事前評価(政策を決定する前に行う政策評価)や事後評価(政策を決定した後に行う政策評価)を推進した。

お問合せ先

林政部企画課

担当者:年次報告班
代表:03-3502-8111(内線6061)
ダイヤルイン:03-6744-2219