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林野庁

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第1部 第 IV 章 第3節 木材利用の動向(1)

木材の利用は、快適で健康的な住環境等の形成に寄与するのみならず、地球温暖化の防止、森林の多面的機能の持続的な発揮及び地域経済の活性化にも貢献する。

以下では、木材利用の意義について記述するとともに、住宅分野における木材利用、公共建築物等における木材利用及び木質バイオマスのエネルギー利用の各分野における動向、消費者等に対する木材利用の普及の状況について記述する。


(1)木材利用の意義

(建築資材等としての木材の特徴)

木材は、軽くて強い資材であることから、我が国では住宅等に多く用いられてきた。木材には、空気中の湿度が高いときは水分を吸収し、湿度が低いときには水分を放出するという調湿作用があり、また、木材の揮発成分には人の免疫力を向上させる効果があるほか、木材の香りにはリラクゼーション効果があることにより、心拍数や血圧の上昇を抑えるという研究結果もある。また、木材はパイプ状の組織の集合体で衝撃吸収力があるため、床に使用した場合に転倒時の衝撃が緩和されたり、疲労が軽減するといわれている(*120)。このような木材の効果を期待して、福祉施設に木材を多用する例もみられる。


(*120)岡野健ほか(1995)木材居住環境ハンドブック,朝倉書店:65-81.302-305.356-364.
              木構造振興株式会社(2011)最新データによる木材・木造住宅Q&A:21.26.30.35.



(木材利用は地球温暖化の防止にも貢献)

木材は、炭素の貯蔵、エネルギー集約的資材の代替、化石燃料の代替の3つの面で、地球温暖化の防止に貢献する。

樹木は、光合成によって大気中の二酸化炭素を取り込み、木材の形で炭素を貯蔵している。したがって、木材を住宅や家具等に利用することは、大気中の二酸化炭素を低減することにつながる。例えば、木造住宅は、鉄骨プレハブ住宅や鉄筋コンクリート住宅の約4倍の炭素を貯蔵していることが知られている(資料 IV -33)。さらに、住宅部材等に使用されていた木材をパーティクルボード等に加工して家具等に再利用すれば、炭素を木材の形で固定する時間を延ばすこともできる(資料 IV -34)。

また、木材は、鉄やコンクリート等の資材に比べて製造や加工に要するエネルギーが少ないことから、木材の利用は、製造及び加工時の二酸化炭素の排出削減につながる。例えば、住宅の建設に用いられる材料について、その製造時における二酸化炭素排出量を比較すると、木造は、鉄筋コンクリート造や鉄骨プレハブ造よりも、二酸化炭素排出量が大幅に少ないことが知られている(資料 IV -33)。なお、このような木材を含む各種資材の環境負荷低減への貢献度等を数値化する「見える化」の取組の一つとして、「カーボンフットプリント(*121)」がある。

さらに、木材のエネルギー利用は、大気中の二酸化炭素濃度に影響を与えない「カーボンニュートラル」な特性を有しており、資材として利用できない木材を化石燃料の代わりに利用すれば、化石燃料の燃焼による二酸化炭素の排出を抑制することにつながる。これに加えて、原材料調達から製品製造、燃焼までの全段階における温室効果ガス排出量を比較した場合、木質バイオマス燃料による単位発熱量当たりの温室効果ガス排出量は、化石燃料よりも大幅に少ないという報告もある(資料 IV -35)。

住宅一戸当たりの炭素貯蔵量と材料製造時の二酸化炭素排出量

木材利用における炭素ストックの状態           燃料別の温室効果ガス排出量の比較

(*121)ライフサイクルアセスメントの一種で、原材料調達から廃棄、リサイクルまでの製品のライフサイクルにおける二酸化炭素の排出量を製品に表示する取組。



(国産材の利用は森林の多面的機能の発揮等に貢献)

国産材が利用され、その収益が林業生産活動に還元されることによって、伐採後も植栽等を行うことが可能となり、「植える→育てる→使う→植える」というサイクルが維持される。これによって、森林の適正な整備・保全を続けながら、木材を再生産することが可能となり、森林の有する多面的機能を持続的に発揮させることにつながる(資料 IV -36)。

また、国産材が木材加工・流通を経て住宅等の様々な分野で利用されることで、木材産業を含めた国内産業の振興と森林資源が豊富に存在する山村地域の活性化にもつながる。

我が国の森林は、終戦直後と高度成長期の伐採の跡地に植えられた人工林を中心にその蓄積は増加し、現在約49億m3に達するなど、資源として本格的な利用期を迎えている(*122)。これに対し、木材の需要量は平成21(2009)年に大幅に減少した後、近年はやや持ち直し7千万m3で推移している。国産材の利用量は増加傾向にあることから、木材自給率は5年連続で上昇しているものの、依然として3割程度にとどまっている(*123)。

このような現状にある中、我が国の森林資源の有効活用、森林の適正な整備・保全と多面的機能の発揮、林業・木材産業と山村地域の振興といった観点から、国産材の利用の推進が求められている。

森林資源の循環利用(イメージ)

(*122)我が国の森林の蓄積については、第 II 章(36ページ)を参照。

(*123)木材自給率については、136ページ及び139-140ページを参照。


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