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林野庁

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第1部 第 I 章 第2節 林業の新たな技術の導入(4)

(4)花粉の発生を抑える技術

林業の新たな技術の導入については、国民からのニーズに対応する観点からも重要である。

近年では、国民の3割が罹患し(*54)国民病とも言われる花粉症(*55)への対策が課題となっていることから、花粉の発生を抑える技術についての開発や導入の取組が進められている(*56)。

これまで、スギ、ヒノキの花粉を飛散させない優良品種(花粉症対策苗木)の開発は、第一世代精英樹からの選抜が主体であったが、国立研究開発法人森林総合研究所林木育種センターでは、第二世代精英樹からの選抜や無花粉品種と第一世代精英樹との交配等による花粉症対策品種の開発に取り組んでいる。平成29(2017)年1月には、無花粉スギ「爽春(そうしゅん)」(*57)と第一世代精英樹の交配から、初めて成長の良い無花粉スギ1品種を開発した。

近年では、この取組に加え、スギの雄花だけを枯死させる菌類(Sydowia japonica)を活用したスギ花粉飛散防止剤の開発が進展している(資料 I -14)。

この菌類は、スギの花粉を栄養源とし、スギの雄花以外では生育できないことが確認されている。この菌類の侵入によって、雄花は枯死して春に開花できなくなり、花粉が飛散されなくなる。この性質を利用することによって、花粉の飛散を抑制することが期待できる。これまで、この菌類の培養技術や散布用の薬剤化の技術が開発され、薬剤のスギの枝条への散布実験により雄花を枯死させる効果があることが実証されている。この薬剤がスギの生長や他の植物への顕著な影響を及ぼさないことも確認されている。今後においては、数年をかけて、飛散防止効果の実証試験や農薬登録するための安全性の調査に取り組んでいくこととしている。

スギ花粉飛散防止剤の散布により枯死したスギの雄花

(*54)馬場廣太郎、中江公裕(2008)鼻アレルギーの全国疫学調査2008(1998年との比較)―耳鼻咽喉科およびその家族を対象として―,Progress in Medicine, 28(8): 145-156.

(*55)花粉に対して起こるアレルギー反応で、体の免疫反応が花粉に対して過剰に作用して、くしゃみや鼻水等を引き起こす疾患であるが、その発症メカニズムについては、大気汚染や食生活等の生活習慣の変化による影響も指摘されており、十分には解明されていない。

(*56)技術開発分野以外の花粉発生源対策については、第 II 章(50-52ページ)を参照。

(*57)平成20(2008)年に雄花から花粉を飛散させない雄性不稔スギとして品種登録されたもの。


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