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林野庁

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第1部 第 I 章 第1節 林業の成長産業化と新たな技術の必要性(1)

林業は、森林の多面的機能の発揮に重要な役割を果たしているとともに、山村の振興に大きく貢献している。今後ともこのような役割を果たしていく上で、林業の成長産業化を実現することが不可欠であり、そのためには、新たな技術の開発や実践を通じた林業の生産性向上、新たな木材需要への対応等を図っていく必要がある。

以下においてはまず、林業の成長産業化に向けた課題と新たな技術の必要性について記述する。


(1)林業の成長産業化に向けての課題

(多面的機能の発揮や山村の振興への貢献)

林業は、森林資源を「植える→育てる→使う→植える」というサイクルの中で循環利用し、継続的に木材等の林産物を生産する産業である。伐採後の再造林や保育作業、間伐等の森林整備が継続的に実施されることを通じて、林業は、国土の保全、水源の涵(かん)養、地球温暖化の防止等の森林の多面的機能の発揮に貢献している。

また、過疎化や高齢化が急速に進み、集落機能が低下し維持が困難な集落があるなど、依然として厳しい状況に置かれている山村地域において、林業は、雇用の確保を通じてその振興に貢献している。


(「林業の成長産業化」の課題)

我が国は、主に終戦直後や高度経済成長期の伐採跡地において、スギ、ヒノキ等の人工林の造成を進めてきた。その面積は、国土の2割以上を占める約1,000万haに達し、現在では、その約5割が10齢級(*1)以上の高齢級に達しており、主伐が可能となりつつある。我が国の森林蓄積(森林資源量)についても、こうした人工林の齢級構成の変化に伴って増加し、現在は約49億m3に達しており、これまでの造林・保育による資源の造成期から、現在は資源の利用期に本格的に移行している。

一方で、昭和55(1980)年以降、木材価格が下落傾向で推移する中で、人件費や資材費等の経営コストが上昇し、林業経営の採算性が大幅に悪化してきた。このため、森林所有者の経営意欲が減退し、林業生産活動は停滞してきた。また、我が国の林業は、生産性は向上しつつあるものの、小規模零細な森林所有構造の下、施業の集約化や路網整備、効率的な作業システムの導入が立ち後れていることなどにより、依然として生産性が低い状況にある。

このことから、今後とも林業が持続的に森林の多面的機能の発揮や山村地域の振興に貢献していくためには、林業の生産性向上を通じて収益性の向上を図り、利用期を迎えた我が国の豊富な森林資源の循環利用を促進するとともに、原木の安定供給体制の構築と新たな木材需要の創出を図ることによって、「林業の成長産業化」を実現することが重要な政策的課題となっている。このような中で、平成28(2016)年6月に閣議決定された「日本再興戦略2016」においても、「林業の成長産業化」が位置付けられている(資料 I -1)。

人工林の齢級構成の変化

(*1)齢級は、林齢を5年の幅でくくった単位。苗木を植栽した年を1年生として、1~5年生を「1齢級」と数える。


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