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林野庁

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株式会社ツムラ 受賞者レポート

森林×ACTチャレンジ2024
森林づくり部門

優秀賞

王冠 株式会社ツムラ 王冠
「自然と生きる力を、未来へ。」
森林づくりと生薬栽培を通じた、地域との協働
   次代に引き継いでいける森林づくりを目指して

   漢方薬の製造・販売を行う株式会社ツムラの事業は、自然の恵みである生薬の栽培からはじまる「漢方バリューチェーン」によって構成されており、自然環境と深いかかわりがあります。事業の根幹を成す豊かな自然環境を未来につなげていくために、また、持続可能な社会の創造に向けた社会課題の解決のために、「自然と生きる力を、未来へ。」というサステナビリティビジョンの下、「資源の循環利用(水・生薬残渣の再資源化)」、「生物多様性の保全(森林・土壌・水源の涵養)」を重要課題に掲げ事業活動を展開しています。

   協働の森事業「土佐ツムラの森」

   国内の主要生薬栽培地の一つである高知県越知町において、自然環境保護と地域振興を目的に、2008年から高知県、越知町、農事組合法人ヒューマンライフ土佐、同社の4者で協働の森事業「土佐ツムラの森」の協定を締結しています。協定の下、仁淀川水系の水源保全に資する植栽や間伐、林内路網作設等の継続的な森林整備の支援のほか、森林や薬草園等のフィールドを活用した自然体験学習等を行っています。森を守ることは水を守り、水を守ることは生薬栽培を守り、生薬栽培が事業として継続されることは地域の振興に、そして同社の漢方薬を服用される全国の消費者の健康へとつながっています。
   また、山村地域の振興のためには、地域を担う未来の人材育成も重要であるとの認識の下、同社では協定締結当初から地元中学校と連携し、「総合的な学習の時間」において、越知町の産業や自然環境の豊かさを学ぶ出前授業、薬用植物の収穫・加工等の体験学習、土佐ツムラの森に自生している薬草を見つけることで森の豊かさを学ぶ薬草収穫体験等の教育活動を支援しています。土佐ツムラの森で学んだ生徒はこれまでに1,000人を超えており、この取組を通じて、環境意識の向上だけでなく、地元の産業や自然に対する理解の醸成、さらにそれらと社会とのつながりを実感することに繋がっています。

土佐ツムラの森
土佐ツムラの森

地元中学校の生徒による薬用植物の収穫体験
地元中学校の生徒による薬用植物の収穫体験

       暮らしを支える“水”を守る

       同社の漢方薬製造事業には水を大量に使用します。そこで国内生産拠点である茨城工場では、森林づくりが同社の事業に深いかかわりがあることについて従業員が理解を深めるために、2022年から地元NPO法人主催の「筑波山水源の森づくり」に参画し、筑波山神社林内の一画にどんぐりから育てた苗木を植栽する活動に取り組んでいます。「ツムラ茨城工場の森」をつくることを計画しており、継続的な植栽活動を通して、霞ケ浦の水源である筑波山の豊かな森林づくりに貢献しています。

    筑波山水源の森づくりでの植栽活動
    筑波山水源の森づくりでの植栽活動

       審査委員の講評

       生薬栽培を軸とした取組に特徴があり、水源涵養機能の向上だけにとどまらず、薬用植物を使った環境教育を地元の中学生に行うなど人材育成を通じた山村地域の振興にも貢献されています。今後の活動に期待しています。

    龍原   哲(東京大学大学院農学生命科学研究科   准教授)

    お問合せ先

    森林整備部森林利用課

    ダイヤルイン:03-6744-2409