特定非営利活動法人 ちば森づくりの会 受賞者レポート
森林×ACTチャレンジ2024
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特定非営利活動法人 ちば森づくりの会 | ![]() |
森林再生に向けた幅広い森づくり |
ちば森づくりの会は「森と自らの健康のために!」をスローガンとして、森林施業を通じ健全な森林を育成し、人類にとって望ましい地球環境の実現に寄与することを目的に活動する実働型の森林ボランティア団体です。2001年に千葉市が開催した「森林ボランティア技術研修会」に参加した受講者により市民参加の森づくり活動団体として組織されたのがはじまりです。2024年7月現在、会員総数80名のうち現役世代が半数弱を占め、会運営に携わる役員やリーダーの育成に努めつつ、世代交代をしなしながら継続的な活動を行っています。
当会が活動する千葉市の森林は、所有者別面積0.2ha未満が全体の約6割を占めているという特徴があります。このことから施業の集約化が難しく、さらにスギ非赤枯性溝腐病被害の蔓延、木材価格の低迷、森林所有者の高齢化、後継者不足等から荒廃が進み、2019年の台風等で風倒被害が発生し、処理が追い付かない状況となっています。こうした課題を背景に、市の森林の99%を占める民有林の整備が進まないことには本質的な森林の再生はないと認識し、市民の憩いの場となる市指定里山地区等の森林のほか、所有者だけでは管理できない民有林についても活動の対象とし、森林所有者の意向を受けて千葉市森林組合と連携の上、林地ごとに施業計画を立て、森林整備に取り組んでいます。
集合写真(活動拠点ログハウス前にて)
森林整備(集材)の様子
森林資源の循環がもたらす当会や地域への相乗効果 |
当会は森林整備を通じて地域に還元する取組を行っています。間伐木等は森林所有者と協働で原木市場やチップ材として出荷するほか、ログテーブル等を製作し、公共施設への寄贈等を行っています。これらの取組により、当会に対する信頼関係の醸成が図られるとともに、森林所有者自身が森林に足を運ぶ機会が多くなり、さらに、他の森林所有者にもその効果が及ぶ等、森林再生に向けた波及効果への期待も高まっています。また、地域のイベントにおいて、木工品の販売やスギ材のタングラム等を製作するといったワークショップの開催等も行っています。これらの活動は、森林資源を通じた地域の活性化や市民の笑顔、そして僅かばかりの利活用収益が次の森林整備に繋がっています。
豊かな森林を次の世代へ繋ぐために |
継続的かつ計画的な森林整備により、林内環境が改善され、多様な里山の動植物が地域住民にも観察される等、生物多様性保全にも繋がっています。また、都市圏や地域の子どもたち等を対象に、台風被害の風倒木整理地における新たな里山を育てるための植樹活動や整備した林内を散策しながら森林の大切さを学ぶ機会を提供することで、森林への理解の醸成にも努めています。さらに、森林整備の技術を学ぶ研修の場の提供や講師の派遣、安全指導等にも取り組んでいます。このように、地道な森林整備に加え、裾野の拡大や技術の伝達等、多岐に渡る活動を通じて、豊かな森林を未来に継承し、地域の発展に貢献しています。
森林の大切さを学ぶ活動
里山を育てる植樹活動
整備された里山で観察されたヤマトタマムシ
審査員の講評 |
大都市圏で所有者が管理できない民有林も活動対象としており、高く評価しました。ネイチャーポジティブは企業にとって新たなビジネスチャンスです。今後は企業との協働含めて、森林を活用した経済循環を生み出すことを期待しています。
小寺 徹(一般社団法人CSV開発機構 専務理事)
お問合せ先
森林整備部森林利用課
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