松くい虫被害
更新日:令和6年12月16日
海岸林は、海からの風や潮、津波や高波、飛んでくる砂などから海沿いの暮らしを守るためにつくられた森林です。 乾いて養分の少ない海岸の土壌で大きく育ち、森林をつくることのできる木は松のほかにほとんどありません。 また、内陸部ではアカマツが荒廃地にいち早く侵入し、土壌が流れ出るのを防いでいます。 厳しい環境でも育つ松が作る森林の役割は、かけがえのない大変重要なものです。 |
松くい虫被害の発生状況
松くい虫被害(マツ材線虫病)は依然として我が国最大の森林病虫害であり、全国の被害量は近年減少傾向でしたが、令和5(2023)年度は前年度比127%の約31万立方メートルで12年ぶりに増加しました。
被害が増加した地域における対策は当然のこと、被害が軽微になった地域においても気象要因等によっては再び激しい被害を受けるおそれがあることから、 引き続き被害状況に即応した的確な対策を推進していく必要があります。
松くい虫被害量の詳細について(最終更新日:令和6年9月20日)
全国の松くい虫被害量(被害材積)の推移(昭和52~令和5年度)(PDF : 64KB)
都道府県別松くい虫被害量(被害材積)の推移(総数)(令和1~令和5年度)(PDF : 138KB)
民有林における都道府県別松くい虫被害量(被害材積)の推移(令和1~令和5年度)(PDF : 138KB)
国有林における都道府県別松くい虫被害量(被害材積)の推移(令和1~令和5年度)(PDF : 176KB)
なお、各種EXCELファイルについては「政府統計の総合窓口(e-stat)」の「森林病害虫被害量」に掲載しています。
松くい虫被害発生のメカニズム
これらの松林に甚大な被害をもたらす松くい虫被害は、「マツノザイセンチュウ」という体長1ミリメートルにも満たない線虫が松の樹体内に入ることで引き起こされます。
その線虫を松から松へ運ぶのが「マツノマダラカミキリ」というカミキリ虫です。
マツノマダラカミキリ(運び屋) (写真撮影:林野庁) |
マツノザイセンチュウ(病原虫) (写真提供:一般社団法人全国林業改良普及協会) |
主な松くい虫被害防除方法
被害のまん延を防止するため、
- 公益的機能の高い保全すべき松林を対象として、地域の被害状況に応じ、特別防除や伐倒駆除等による的確な防除
- その周辺における松林を対象として、保全すべき松林と一体的な防除を行いつつ、樹種転換による保護樹林帯の造成等の総合的な被害対策を着実に実施しています。
被害木の探査
航空機による被害木の探査や通報体制の強化等を行い、被害を早期かつ確実に発見し、効果的な防除を図る。
予防散布
ヘリコプターや地上からの噴霧器により薬剤を散布し、羽化脱出したカミキリの成虫を駆除することで、被害のまん延を防止する。
(特別防除) 航空機(有人ヘリコプター)を利用して行う薬剤散布 (写真撮影:林野庁) |
地上から噴霧器等を利用して行う薬剤散布 (写真提供:森林総合研究所) |
(無人ヘリコプターによる薬剤の散布) (写真撮影:林野庁) |
(ドローンによる薬剤の散布) (写真撮影:林野庁) ドローンを活用することで、安全でより効果的な薬剤散布を行うためのガイドラインを掲載しました。(令和2~4年度の林野庁補助事業により(一財)日本緑化センターが作成) |
樹幹注入
健康な松の木に穴を開け、線虫の侵入を防ぐ薬剤を注入し、松枯れを予防する。
(写真提供:石川県農林総合研究センター林業試験場) |
くん蒸処理
松くい虫被害により枯死した木を伐倒したあとビニールで包んで薬剤によりくん蒸し、松材の中にいるカミキリの幼虫等を駆除する。
(写真撮影:林野庁) |
破砕処理
松くい虫被害木を伐倒し、チッパーにより細かくチップ化することで、松材の中にいるカミキリの幼虫等を駆除する。
(写真撮影:林野庁) |
焼却処理
松くい虫被害木を伐倒し、焼却することで、松材の中にいるカミキリの幼虫等を駆除する。
(写真提供:森林総合研究所) |
お問合せ先
森林整備部研究指導課森林保護対策室
ダイヤルイン:03-3502-1063