令和元年度国有林火災跡地におけるモニタリング調査事業の概要
事業の概要
(経緯)
平成29年4月29日に福島県浪江町及び双葉町の国有林で発生(同年5月10日鎮火)した林野火災跡地における森林内の空間線量率、樹木及び土壌に含まれる放射性セシウム濃度等のモニタリングを継続的に実施してきました。火災鎮火後の同年5月に関係機関と連携して行った実態調査では、燃焼箇所及び非燃焼箇所で空間線量率に明確な差は見られなかったこと、火災によって下草が失われ、土壌浸食が起こりやすくなっているとみられ、直ちに土壌流出を防止する対策が必要な状況ではないものの、引き続き注意していく必要があると考えられました。
このため、林野庁では、平成29(2017)年度から令和元(2019)年度までの3年間、浪江町及び双葉町の国有林で発生した林野火災跡地(約75㏊)において、火災後の放射性物質の動態、森林内の土壌流出の形跡及び兆候について、学識経験者の指導・助言の協力をいただきながら、把握に取り組んでまいりました。
(結果概要)
ア 空間線量率
延焼の有無等による明瞭な差異は認められませんでした。
イ 土砂動態
アカマツ林の被覆率平均値は、80%を超え、植被率も場所によっては非延焼箇所を上回る水準まで回復しました。
また、スギ林の被覆率は、60~90%程度まで回復し、植被率は非延焼箇所と同程度まで回復しました。
ウ 堆積有機物及び土壌の放射性物質濃度
放射性セシウム現存量の大半は土壌中に分布しており、濃度のピークはアカマツ林では、地表から2cm、スギ林では、0.5~1.5cmの深さでした。
(今後の対応)
これまでのモニタリング調査において、林野火災跡地における放射性物質の動態については、林床の被覆率・植被率の回復により延焼区域外と大きな差異が見られなくなっていることなどが明らかになったことから、今回で調査事業は終了となりますが、今後も、林野火災により焼失した箇所における樹木の生育や下層植生の回復状況に留意しながら、豪雨等の際には土砂流出の発生の有無の把握などの対応をしていくこととします。
参考
<添付資料>
令和元年度国有林火災跡地におけるモニタリング調査事業の概要 令和元年度のモニタリング結果概要
<その他>
平成30年度国有林火災跡地におけるモニタリング調査事業の概要
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/190401.html
平成29年度国有林火災跡地におけるモニタリング調査事業の概要
https://www.rinya.maff.go.jp/j/kouhou/jisin/180829.html
平成29年6月23日付けプレスリリース「福島県浪江町・双葉町国有林火災跡地の実態調査の結果について」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/gyoumu/170623.html
平成29年5月16日付けプレスリリース「福島県浪江町・双葉町国有林火災跡地の実態調査について」
https://www.rinya.maff.go.jp/j/press/gyoumu/170516.html
お問合せ先
国有林野部業務課
担当者:特別災害技術班
ダイヤルイン:03-6744-2326