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林野庁

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持続的可能で多様な森林造成技術の開発-小面積帯状伐採と次世代優良苗植栽-

キーワード:低コスト、小面積伐採、低密度植栽、帯状伐採

1 開発目的

公益的機能の高度発揮に最大限考慮しつつ、災害に強く、かつ低コストで木材を安定的に供給する施業体系を確立するため、1.「公益的機能の高度発揮」として、小面積帯状伐採及びエリートツリー等優良苗の低密度植栽・坪刈り施業等により、早期に森林植生を回復し、土壌流失の抑制などに配慮した施業体系の確立、2.「災害に強い森づくり」として、小面積帯状伐採により強風吹込み抑制効果を高めるとともに、低密度植栽により樹幹長率が高く、重心が低く、耐風性の高い災害に強い森林造成技術の開発、3.「低コスト育林技術の開発」として、搬出・更新・保育コストの低減により、トータルコストを低減する。

2 成果の概要

  • 素材生産が完了後早期に地拵え・植付をしたため、下刈りが省略でき、かつ、低密度植栽のため、植付に係るコストを抑えることができる。また、エリートツリー等の優良品種苗を活用することで下刈りコストの削減も可能と考えられた。(図1)
  • 伐採を小面積帯状とすることで、伐採個所への強風の吹き込みが抑制され、造林木への影響も少なくなることから、災害に強い森林造成に役立つことが確認できた。(図2)
  • 成長の優れた優良品種のコンテナ苗を低密度植栽することで、更新コスト、下刈り回数を削減するなどして、保育コストの削減が期待できると考えられた。
植栽密度別品種別成長量比較

図1 植栽密度別品種別成長量比較

3成長期を経過した各プロットの樹高の成長は、試験地の下刈り終了目安150cmと比較すると、2000本/haのプロットでは全品種で、1,500本/haのプロットではエリートツリーと精英樹の2品種が超過している。

皆伐造林地と小面積帯状伐採箇所における最大風速比較

図2 皆伐造林地と小面積帯状伐採箇所における最大風速比較

皆伐造林地と小面積帯状伐採箇所における最大風速比較

図3 台風接近時の皆伐造林地と小面積帯状伐採箇所における最大風速比較

3 成果の詳細

  • 低コスト育林技術については、素材生産が完了した後、早期に地拵・植付に着手し、下刈りが省略でき、かつ、低密度植栽のため、植付に係るコストを抑えることができる。エリートツリー等の優良品種苗を活用することで下刈りコストの削減も可能と考えられた。(図1)
  • 強風の吹き込み抑制効果を検証するため、皆伐造林地と小面積帯状伐採地の2箇所で、植栽木(年度・樹種)、標高・傾斜を同条件とし風速計を設置し風速を比較した。月別の最大風速では、2011年7月に皆伐造林地で17.3mとなり、小面積プロットで14.6mとなった。(図2)
  • 最大風速を観測した、2011年7月は台風が通過しており、最接近した3日間の風速では全ての時間帯において観測値が大きくなった。風向は、皆伐造林地は南東方向の連続した時間帯が見られたが、小面積帯状伐採地では東南東・南南東方向からの吹き込みが多かったが、各方向に分散している傾向が見られた。(図3)
  • 地況・林況を同条件とした検証結果では、皆伐箇所より帯状小面積伐採箇所で強風の吹き込みが抑制され、造林木に与える影響が抑えられると考えられた。
  • 小面積帯状伐採により植栽木への風の影響を抑制し、成長の優れたエリートツリー等優良品種のコンテナ苗を低密度植栽することで、更新コストの削減を図るとともに、造林木の成長と周囲の植生をみながら下刈り回数を削減するなどして、保育コストの削減も期待できると考えられた。

4 技術開発担当機関及びお問合せ先等

  • 担当機関:九州森林管理局 森林技術・支援センター
  • 共同研究機関:森林総合研究所九州支所、林木育種センター九州育種場、宮崎大学農学部
  • 実施箇所:青井岳国有林1099ろ、ろ8林小班(宮崎県都城市)
  • 開発期間:平成20年度~平成29年度
  • お問合せ先:九州森林管理局 森林技術・支援センター、ダイヤルイン(0985-82-2211)

5 参考情報

印刷版(PDF : 479KB)

[九州森林管理局Webサイト掲載情報]
完了報告・中間報告(H22)・実施報告(H23~25)(PDF : 5971KB)
実施報告等(H19~22)(PDF : 6973KB)

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